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高地は晴れている 【詩/環境文学】

さわやかな朝

吹き抜ける風

(今日も夏日の予想)

こころをしずめて
明るい丘陵を崩していく

予想外にねじれていた
銀色のフォーク

(黄身に溺れていく)

鳴動つづく火山の周辺
野いちごの水があふれる
何とも清冽な香りがして

(今日も夏日の予想だ)

ネバーランドで過ごす
半月の休暇

さわやかな朝

眠たげな風

山野草の香りが
沁み込んでいく空気
バレンシアオレンジが
押し流していくやわらかな丘陵

高原はあまねく
産地直送の風でみたされた

(シャリン シャリン シャリン)

恐竜のカケラを
ジャムの香りがくるむ
頂上までつづく
聖母マリアの茨のみち

幌を外したまま
運ばれていく森のけものたち
鳴動する山々と
たてよこに揺れる八十八夜のリズム
野生化していく風が頬を撫でる

もう五月だから
高地は晴れていることだろう

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