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東京逍遥


青空と美味いものと懐かしい人

 神田明神は親父の実家が氏子で、両親も僕らもここで結婚式を挙げたこともあり、ご近所の氏神様と共に初詣に行くんだけど、今年は控えているもので、松が取れた今日、新年のご挨拶に。そもそも三が日に明神様へ行くには決死の覚悟が必要で、仕事始めを過ぎないと、ここで一日が終わっちゃうんだよね。なので、本日ゆるりと。

 お昼をどうしたもんか?と思ったけど、カミさんの鶴の一声で池之端。外界から遮断された静かで穏やかな二間ぶち抜き空間、炉が切ってある奥の床の間には伊東深水の美人画掛け軸二幅、手前の床の間には柴田是真の高弟、庄司竹真描く鏡餅の掛け軸。

 身も心もお腹も満足の後、待望の最中アイス。この店のスタートは、最中の皮を作る和菓子舗なんだ。食感豊かな香ばしい皮に挟まれた、あっさりしたアイスは外せない。

さてどうしたものかと考えて、ふと思い出した渋谷ヒカリエのアートバザール。アーチスト、クリエイター、ギャラリー等、アート周辺の個人や団体がテーブルに並べるのは、作品、個人のコレクション、本、道具、端材から、キッチュなおもちゃや意味不明物まで、あらゆるものが顔を揃える。

 ここで大昔お世話になった編集者さんと数十年ぶりの邂逅!なのに、出会った途端からアートや建築、京都やバーの話に花が咲いちゃう楽しさ。同い年だから出会ってたものも似てるしね。彼の打てば響く知識と情報力は、あの頃より更に磨きがかかってる。

 他所に比べてどうしても落ち着かない渋谷なのに、同じフロアでやってたサヴィニャックの展覧会の楽しさも相まって、ゆったりした時間を過ごしてしまった。でもっての帰りがけ、しぶちかの隅っこでジモ乳が飲めるぞ情報をカミさんに教えられ、コーヒーより牛乳気分だったもんで、オブセ牛乳(しかも瓶入り)を一気飲み。何が嬉しいって、あの懐かしい蓋抜きが置いてあったんだ。なんだ渋谷、やるなぁ!って見直しつつ、外回りの山手線に乗ったのであったとさ。 おわり。

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