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抒情詩 「水辺にて」

風が少し涼しくなって
たまに来る運河沿いに来てみたんだ
釣りを楽しむおじさん 散歩を楽しむ親子連れ
肩を寄せ合う恋人達
みんな それぞれの「今」を堪能してるんだな

僕も一人 芝生に腰を下ろして
らしくもなく 想いにふけってみる
この前 ここに来た時は 二人だったな…
あの恋人達みたいだったのかな
些細な事が おかしくて
肩を叩きあって笑ったっけ

僕は なんで今 一人なんだろう
そうだ 僕が ガキだったんだ
君の 小さな裏切りが許せなくて
手放してしまったんだ
 誰よりも 大切だったのに 
君を 籠の鳥にしてただけだったんだ
馬鹿だったな…

そんな事をぼんやり考えていたら
秋らしくも バッタが 膝に止まった
子供の頃なら 喜んで虫かごに入れて…
でも 結局飽きて 存在自体忘れていたんだよな

僕は 膝のバッタを そっと手に取り
草むらに返してやった
あの時の君に
今の この余裕さえあったら なんて考えながら…

さあ そろそろ帰ろう 僕は腰を上げる
そして 少し 深呼吸…
すっかり秋らしい いわし雲が
鮮やかな ピンクの空に 広がっている

僕は 元気です  君は 幸せですか…



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