心耳という叡智(こころの耳で聞く)
二メートルはある額縁に収められたモネ「睡蓮」。両まなこの水晶体がくっついた。小二のわたしは親に着いていくのも忘れ立ち止まる。足が棒になり吸い込まれる。絵の持つ吸引力のせいか、むしろ放たれる放出力か。青のようで青でない、虹よりも多い色数の巨大なカンバスに、小二のわたしは動けないままだった。死にたるモネと対話がはじまる。練り込まれた黄色、尖った紅色、絵の具から光のコトバたちを受けとりながら、わたしもまた、光の放つコトバを同じように聞き出そうとする。モネという筆を通して。心眼という