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自信は生んで育てる

3月17日に小学館から「おいしい仕事術」が発売されます。今回はレシピ本ではなく"仕事本"です。その中の-マインド編-から私がもがき悩んだ先に見つけた自信との向き合い方『自信は生んで育てる』を全文公開します。

私は長い間、自分に自信が持てませんでした。
「SHIORIは料理の基礎が分かってない」
「いつまで経っても初心者みたいなレシピ」。

今から10年以上前、度々目にするレシピ本への批判にひどく傷付きながらも、そんな気持ちとは裏腹に〝彼ごはん〟シリーズは200万部、300万部と版を重ねていきました。


料理は独学。情熱だけで突っ走ってきた自覚もあるがゆえに、どれだけ本が売れても調子に乗るどころか実力不足を痛感する日々でした。デビューが早かった分、20代半ばを過ぎると同世代のフレッシュな活躍が眩しく「私のキャリアのピークは終わってしまった...」と、ひとり階段の踊り場に取り残されてしまったような強い孤独と焦燥感を覚えていました。


27歳で結婚を決めた時には「〝彼ごはん〟のイメージから脱却しなければ私に生き残る道はない」という思い込みから焦りがピークに達し、メンタルは崩壊寸前。結婚という人生の節目を前に、一時は引退も視野に入れるほどに自信をなくしていました。


悩んだ末に「つらい現状を打破するには自信をつけるしかない」と学ぶことを決意。日本の家庭料理を支える和食以外のジャンルを学ぶべく、フランス、イタリア、タイ、ベトナム、台湾、香港、ポルトガル、スペインへの短期留学を決行しました。


単身飛び込んだ海外では、料理が生まれた文化的背景や調理の技術、知識を習得しようととにかく必死でした。中学生レベルの拙い英語で言葉の壁はあるものの、それでも姿勢は常に前のめり。長い間インプットがないままアウトプットを繰り返し、からっからに枯渇していた私にとっては目に映るものすべてが新鮮で刺激的。うまくいかないこともたくさんありましたが、学ぶ楽しさに目覚め、息を吹き返していったのです。

こうして料理の基礎を追い求め、世界各国を自分の足で歩き、自分の目で確かめた私は「料理はもっと自由でいい」という真逆の気付きを得ます。

そして、この経験こそが、ブレない信念を持つきっかけになりました。

振り返って考えると、私はここに至るまで2つのステップを踏んできました。

ひとつは「深く納得した自分の考え(料理はもっと自由でいい)」を持てたこと。

これは世間的に正しいかどうかではなく、自分の中できちんと腹落ちしきっている事が重要です。漠然と〝自分を信じる〟という行為は祈るようなものですが、納得という過程を経ることで「自分の考え」を信じることができます。

では、どうやったら自分を深く納得させることができるでしょうか?

やっぱり一番は行動です。自分の目で見る。自分で経験する。これに尽きると思います。

しかし、この行動の前には「そもそもどんな行動を起こすか」を選択する過程があります。私の場合は「現地(海外)で学ぶ」という選択がこれに当たります。

人は〝これしかない〟から選ばざるを得ないのと、自分の意思で選ぶのとでは、納得度が大きく異なります。後者を実現するためには、日頃からアンテナを高く張り、可能性という引き出しを増やしておくこと。その中から〝自分で考え自分で決めて行動した〟という自覚が「より深い納得感」に繋がります。その結果、根拠を持って自分の考えを信じることができる。それが自信の始まりです。

ふたつ目は、自らの手で掴んだ自信を、料理教室という場で周囲を巻き込んだ成功体験に繋げたこと。自分の思考や言動が「沢山の人の笑顔に繋がっている」「誰かの役に立っている」という喜びややりがいに満ちた実感が、私の自信をより確かなものとしてくれました。

周囲を巻き込むというのは難しく考える必要はありません。料理でいえば、家族や友人にふるまってみる。自分の考えをSNSなどで発信するでもいいのです。

自信はある日突然持てるものではありません。他者からの評価でつく自信もありますが、それはまた別の他者からの評価で崩れかねない、脆さがあります。

自らの行動(インプット)で生み、人との関わりの中(アウトプット)で育てていく。自分軸のこの二段階で備わる自信こそ、ブレない芯の強さがあります。

もし、自信が持てない事に悩む人がいたら、今必要なのはどちらのステップか?

自分の胸に聞いてみてください。これから自信をつけていきたい人は、「これでいい」じゃなくて「これがいい」。自分に納得のいく選択を積み重ねる。まずはここから始めてみるといいと思います。



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