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簡単DIYで宅録環境を整えよう

「宅録」。業界の人にとってはもうすっかり馴染みのあるワードになりましたが、簡単に説明すると「自宅でナレーションやセリフ、音楽などを収録すること」を指します。

私がこの宅録を始めたのは、コロナ禍の2020年初頭。一時的に、築云十年の実家(軽量鉄骨の一軒家)に戻っていた頃でした。その頃は、6畳程の部屋に小さな丸テーブルを置き、そこにマイクとオーディオインターフェースを取り付けるだけという、ものすごく簡素な環境で収録をしていました。しかも、そのマイク類は大学時代のアカペラサークルの後輩から”無償‟で借りる…というダメな先輩っぷりを発揮(苦笑)

まさにこんな丸テーブルにマイクアームを取り付け、正座で収録していました(笑)

さらには、下校中の小学生の会話や鳩の鳴き声、なぜか頻繁に飛び交うヘリコプターのプロペラ音、母が掃き掃除をする音…など、マイクがそれらの音を全て拾ってしまうので、常にタイミングを伺いながら収録をしていました。特に、選挙の時期は頭を抱えましたね(苦笑)

ただ、当時は今ほど宅録に関するチュートリアルも世間に出回っておらず、ナレーション相場も今思うと恐ろしく低価格なものが多かったので、その程度の環境でも、ある種良しとされていたように思います。

そこからどう変遷していったのか?その過程とともに、あくまで一例ですが私の現在の宅録環境についてご紹介していきます。


用意したもの

一時的な実家暮らしの後、現在の環境に至る前は、閑静な住宅街に1R(約5畳)の部屋を借りて、簡易的なワークデスクにマイクを取り付けて収録していました。

ただ、生活をするには少々窮屈だったもので1年で退去し、その後は当時のパートナー(現在の夫)とウォークインクローゼット(WIC)のある賃貸物件を探し、WIC内に軽いDIYを施して現環境を整えました。

余談ですが、各物件を内見する度にWICを見つけては暫く中に籠り、どれだけ外音が聞こえるかを確認するという怪しげな動きをしていたので、不動産会社の皆さんにはさぞかし変な女だと思われたことでしょう…。

さて、本題に戻りますね。
宅録ブースDIY(賃貸向け)のために用意したものは、以下の材料です。

  • 遮音シート

  • 吸音材

  • 防音カーペット

  • 強力両面ボンドテープ

  • 養生テープ

  • アームスタンド

  • デスクトップPC

  • オーディオインターフェース

  • マイク

  • ポップガード

  • 各種ケーブル類


宅録ブースのDIY手順

購入物件であれば、壁に穴を開けることも問題ないかと思いますので、あくまで賃貸物件でDIYをして宅録ブースを整えたいという方は、良かったら以下の手順を参考にされてみてください。

実際に私が使用している宅録ブース(本当は頭上にも吸音材を貼りたいところ)

⑴ 遮音シートを貼りたい壁に養生テープで枠取りをし、その上に重ねるように強力両面ボンドテープを貼り付ける。

⑵ ⑴の上に、壁のサイズに合うようにカットした遮音シート+吸音ボードを貼り付ける。この際、再び両面テープを使用しますが、吸音ボードと遮音シートが上手く貼り付かないことがあるため、その場合は家庭用ホッチキスを開いた状態にして剥がれやすい箇所に打ち込んでいく。

⑶ ⑵と同様の方法で、正面・左右・上、全ての壁に取り付ける。

⑷ モニター、マイクアーム、マイクなどを適宜設置する。

これで、概ね作業は完了ですが、私はさらに床に防音カーペットを敷き詰めました。これは下の階に住む方への対策なので省いても良いかもしれませんが、寒い季節に長時間作業をする際の足元の冷え対策にもなるので個人的にはお勧めです。

録音機材の選び方

現自宅に住む時には覚悟を決め(遅い笑)、マイク、オーディオインターフェースなどを全て後輩に返却し、自身で一から買い揃えました。ちなみに、私はポイントの貯まりやすさと、品揃えの良さ、問い合わせ対応の迅速さから全てサウンドハウスさんで買い揃えました。

具体的なメーカーなどに関しては、今回はあえて記載しません。理由としては、現在使っているものが果たしてベストかどうか私本人も断言できないことと、個々の環境によって選び方は様々だからです。実際に使って収録し、第三者に聞いてもらわない限りには何とも判断が付けられません。

Youtubeに投稿されているマイク使用感の説明動画や、WEB上の口コミを元に思い切って購入するか、専門店で相談するか、もしくは一度レンタルして試してみるというのも一つの手かなと思いますね。

ただし、PCに関してはノートではなくデスクトップをお勧めします。それはPCの個体差もありますが、ファンの音がどうしてもマイクに乗ってしまうからです。特に、以前動画制作のためmouseのゲーミングPCを使用していた時に、その音にかなり苦戦しました。また、コスト面からもデスクトップの方がかなり抑えることができました。

現在は、収録時のみWICからPC本体だけを出して、モニターのみWIC内にある状態で収録をしています。引き戸タイプなので、どうしてもPC本体とモニター類を繋ぐケーブルの隙間ができてしまいますが、然程影響は感じていません。ただ、エアコン、空気清浄機、浴室の24時間換気などは、いかなる季節も全て止めて収録をしています。

高速道路も走る大通り沿いに住んでいるため、車の音およびパトカーや救急車のサイレン音はそこそこ聞こえますが、ここまで環境を押さえておけば意外とマイクには乗りません。とは言うものの、最初にお伝えしたように各々の生活環境によって大きく変わってくるので、一概にこれが良いとは言えないのが難しいところですが、一つ参考にしていただければと思います。

防音室の購入

私は断念しましたが、自宅スペースに余裕があるという方は、やはり「防音室」を購入するのも一つの手だと思います。以下に、いくつか参考例を挙げてみました。

  • OTODASU

  • YAMAHAの防音室

  • だんぼっち

全て見にいきましたが、どれもなかなか存在感があり私の自宅環境での設置は断念せざるを得ませんでしたが、自宅にゆとりのある方には一つの選択肢として検討しても良いかと思います。

ただし、これら防音室の主な目的は「外に出る音の軽減」なので、物によっては自ら別途吸音材などを内側に付ける必要があるものなどと各々特徴が異なりますので、気になる方は実際に見に行くことをお勧めします。

ちなみに、YAMAHAの防音室をはじめとした様々な防音室には中古販売もあります。タイミング次第ではSALE価格のかなりお得な商品も出てくるので、一度見る価値はありかなと思いますよ。


オーディオ編集ソフト

こちらも無料のものから月額3000~3500円のものまでとピンキリですし、どこまで自分が作業ができるか、こだわるかにもよるかなと思います。様々な記事でも既に挙げられているもので言うと、AudacityAdobe AuditionPro ToolsGarage Band(Mac専用)などがありますが、結論個人的には最初は無料でできる範囲でよいのではないかなと思います!

と言いますのも、私自身が無料ソフトを使用しているからです。WEB上で閲覧される動画から地上波で流れるドラマPRまで、無料の編集ソフトで収録したものでこれまで制作側からOKをいただけています。

何より大切なのは、「宅録環境をいかに整えておくか」です。心配な方、より良い音を極めていきたい方は、必要に応じて有料ソフトに切り替えていくという流れでよいのではないかなと、個人的には思います。

実際に宅録収録した案件

地上波日本テレビドラマPR、以下の動画ナレーションも宅録案件です。

WEB上やドラッグストア内の小さなモニターで見られるような企業案件も。

いかがでしょうか?日本テレビのPR動画以外に関しては、動画ディレクターの友人達から依頼されて宅録したものになります。やはりスタジオでプロのミキサーさんに録って頂く音とは異なりますが、これはこれで一つ完成していますよね。

極論、iPhoneでも環境さえ整えられればそれなりに良い音を録ることができます。人によっては収録機材を揃えるという初期投資が難しいケースもあると思いますので、もうそれしか方法がないという場合は、ひと先ずはそこから始めてみるのも良いかもしれません。プロとして流石にお勧めはできませんが、それでも第一歩は歩みだせるということです…!

前回のnoteでもお伝えしましたが、宅録ナレーターのお仕事は誰でもいつでも始めることはできます。夢や憧れで終わらせず、ぜひ一歩踏み出してみて下さい♩最後までお読みいただき、ありがとうございました。

(そして、もしよろしければページ上部の左サイドにある♡を押していただけますと今後の励みになります…!ありがとうございます。)

ナレーター 石井しおり


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