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ラジオパークで好きを思いだした話


日曜日、ニッポン放送のラジオパーク。日比谷公園にいる間中、私はスキップをしたい衝動をかろうじて堪えていた。

着いてすぐにブースを回って貰ったオリジナルのステッカー。3枚目を貰ったとき、スタッフのお姉さんが「3枚コンプリートですね、おめでとうございます!」と笑顔で言ってくれた。そんなふうに話しかけられるなんて思っていなくて、ありがとうございます!と、思いがけず大きな声で返事してしまって、それが自分でもおかしくて笑った。

ガチャガチャもやった。欲しかったトートバッグが1回目で見事出たのだけど、わくわくを味わいたくてもう一回やった。今度は巾着だった。かわいい。
ここで小さな問題が発生する。下げてきた小さなサコッシュにはカプセルは2つも入らないのだ。少しだけ悩み、春コートの両ポケットに1つずつ入れるという方法に落ち着いた。カプセルはリサイクルにして中身だけ持ち帰るという選択肢もあったのだけれど、これはカプセルごと宝物にしたかった。細身のシルエットのコートはポケット部分が両サイドともぽっこりと丸く膨らんで、周りから見たらさぞ滑稽だろう。けど、いい。

お目当ての佐久間さんとあのちゃん、ラフラフのステージまでにはまだだいぶ時間があった。
いろいろなブースを見て回り、それから飲食エリアにも行ってみた。
考えてみれば、自分が食べたいものを自分のためだけに選ぶなんて場面はここ何年もなかった。私は今、何を食べてもいいし、食べなくてもいいのだ。
しばらくうろうろし、途中でクリーピーナッツのZIMAの大きな看板を写真に撮ったりして、結局、森林鶏のからあげとふくしまの地酒飲み比べ3点セットを購入した。
ふくしまの地酒は3種を並々と注いでくれたので持ち運んでいる間に少し溢れてしまって、おっとっと、とひとり呟きながら立ち止まって一口。え、めちゃくちゃ美味しい。思わずまた笑みが零れる。
公園の冊に腰掛けて、塩レモン味のからあげと、地酒を味わう。美味しい、天気がいい、みんな笑っている、隣にやはり一人で腰掛けている可愛らしい大学生風の女の子。この子もラジオリスナーなのかなとか考えて勝手に親近感を抱き、また一口地酒を呑む。
そんなことをしていると、メインステージから「明日があるさ」が流れてきて、聴きながら公園の緑の向こうの高いビルと青い空を眺めていたら知らず知らずのうちにじんわりと涙が流れてきた。

涙を拭い、地酒でいい気持ちになった体でメインステージに向かう。ちょうどラブライブ!のステージが始まるところで、芝生に腰を下ろして観覧した。可愛くて、プロで、可愛くて、ファンになった。今度のラジオ、聞いてみよう。

さて、佐久間さんとあのちゃん、ラフラフのステージが始まった。レポ禁止とのことだったので、詳しくは書けないけれど、とにかく最高だった。あのちゃんはかわいくて頭の回転が速く、佐久間さんは、佐久間さんだ、と思うと震えるほど感動した。あと、松永さんが愛されていることが嬉しかった。
なによりここにいるたくさんの人がラジオが好きなんだ、オールナイトニッポンを聞いているんだと思うと不思議なような、愉快な幸せな気持ちになった。

ここ数年の私はといえば、家事と育児と仕事に追われ、自分の時間など殆ど無かった。
時々時間ができても、好きなことも、やりたいこともとうの昔に忘れてしまっていた。何を食べてもおいしくない、心から楽しいと思えない。ずっと孤独で、あとずっとひどく肩が凝って痛くて仕方がなかった。
積極的に死のうとかは思わないけれど、生きることにも積極的になれなかった。
日曜日の朝、全てが嫌になって半分家出の様な状態で荷物もほとんど持たずに飛び出して、思い切ってラジオパークに向かった。
決死の覚悟で地下鉄に乗った。大袈裟な、と言われるかもしれない。けど、必死だった。
日比谷公園は想像以上に近くて、あっけなく到着した。行きたいと思っていたところに行けるなんて。こんなにすぐ非日常になれるのか、自由になれるのかと驚いた。知らなかった。

学生時代からずっとラジオを聞いていた。ここ数年の虚無のような日常の中でも、ラジオだけは聞いていた。
ラジオが好きだ。ラジオパークに行って「好き」という気持ちを思いだした。
1度心が動いたら、連鎖するようにするすると他の「好き」も思い出した。
ひとりの時間、自然の中で風を感じること、本屋さん、図書館。
そうだ、私は本を読むことも好きだった。帰りに本屋さんに寄って、ずっと読みたいと思っていた「ナナメの夕暮れ」を買って帰った。

いい一日だった。
間違いなく人生の中で忘れられない一日になると思う。本当に笑っちゃうくらい大袈裟だけどそう言わせてもらおう。
積極的に生きようと思えなかった私が、来年のラジオパークに行くことをもう今から楽しみにしている。心待ちにしている。
自分のためと、ニッポン放送のスタッフの皆様への感謝の気持ちを表したくて、ここに書きます。
重…って思われるかな。そしたらごめんなさい。

余談だけれど、となりに座っていた男の子が笑いのタイミング等から絶対にラジオリスナーで、クリーピーナッツのラジオを聞いてるんだろうという感じがして、勝手に想像した雰囲気からハガキ職人の○○さんかな、なんて、まさか、こんな一万人の中でそんな偶然あるわけ、と自己完結していたのだが、その○○さんのTwitterでラジオパークレポを見つけて、実際にあの場にいたんだ!と驚愕した。本当に本物だったかもしれない。だとしたら、あの日あの場で会えたどの人よりも感激だ。

#ラジオパーク

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