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This is the "STAR WARS" ~『マンダロリアン』シーズン1を見て~

昨年末にディズニーデラックスで配信が開始され、先月にファーストシーズン最終話を迎えた、"スター・ウォーズ"シリーズ初の連続ドラマ『マンダロリアン』。

舞台は、EP6『ジェダイの帰還』から5年後、EP7『フォースの覚醒』の25年前。銀河帝国の亡き後、新共和国の手が届かない辺境で賞金稼ぎとして生きる"マンダロリアン"の物語です。

スターウォーズの新しい映画が公開される時に「EP1~6(今だったら9まで)を見ておいたほうがいいよ」というのと違って、『マンダロリアン』は映画で描かれているメインストーリーの延長線上にはあるものの、単品でも十分に楽しめる作品になっています。

ただ、よりこの世界観を楽しむには、やはり最低限の旧3部作(4、5、6)は押さえておくのがオススメです。


以下、個人的な感想やら考察やら。

※※※※ネタバレが含まれます。※※※※



This is the "STAR WARS"

ジャワが居たり、タスケンやピットドロイドが居たり、モスアイズリーのカンティーナが出てきたり・・・という、馴染みのあるスターウォーズの世界だけど、よく知るジェダイとはまったく別のお話。

賞金稼ぎは、基本的に情よりも自分の利益を優先して動くため、仲間といえども下手に信用すれば痛い目を見る。
その「誰が味方で誰が敵なのか分からない」ドキドキ感や、「この人は悪者なのか?良い者なのか?」「次はどうなっちゃうの?」という、予想のつかない面白さが詰まっていた。

そして、それというのは、まさに『スカイウォーカーの夜明け』に物足りなさを感じた要因でもある。

旧3部作を彷彿とさせるレトロな雰囲気を持ち、西部劇や日本の時代劇の要素を交えながら、新たな銀河の広がりを見せてくれた『マンダロリアン』は、最高のスターウォーズ作品だった。


謎多き主人公 マンドー(ディン・ジャリン)

この話の主人公である通称"マンドー"について、初めは彼がどんな人なのか、良い人なのか悪い人なのかも分からず、1話ではまさに賞金稼ぎらしい無慈悲な"ヤバい奴"だと思ったのだが、ストーリーが進むにつれて、悪い人ではないんだなということは分かった。

顔と名前は最終話でやっと明らかになり、かつて幼い時に戦争で両親を亡くしてマンダロリアンに救われた孤児であったということも語られたが、それ以外にはまだまだ謎が多い。

ちなみに、「マンダロリアン」はかつては惑星マンダロアの出身者を指す言葉であったが、マンドーことディン・ジャリンが非出身者であるように、今は出身や種族に関係なく、"教義"の一つとされているらしい。


とにかく愛らしい ザ・チャイルド

スターウォーズの世界に彗星のごとく現れた、小さなクリーチャー。
彼についてはマンドー以上に、もはや謎でしかない。

まず、名前が不明。
ネット上では「ベビーヨーダ」という愛称で親しまれているが、ヨーダはEP5『帝国の逆襲』で亡くなっている。
このドラマはそれよりも後の話なので、ヨーダと同じ種族であることは間違いなさそうだが、ヨーダ本人ではないのだ。

確かなのは、50歳の赤ちゃん(男の子)で、フォース=センシティブであるということ。
「なぜフォースを使えるのか」や、「1話の時に、なぜあの場所に一人でいたのか」「なぜ帝国軍に存在が知れているのか」などは、一切分かっていない。

先ほど、『ヨーダと同じ種族』という書き方をしたが、実はヨーダの種族名や母星などはこれまで明らかにされておらず、謎に包まれている。

EP1『ファントムメナス』には、ヤドルというこの種族のジェダイが登場していて、正史以外(レジェンズ)にも、この種族のジェダイは存在しているらしい。
レジェンズに関しては勉強不足で網羅できていないのだが、もしこれまでに同じ種族でフォースが"使えない"キャラクターが出てきていないのだとしたら、この種族はみんなフォースが使える、ということもあり得るのかもしれない。

それから、気になるのは、彼はEP7~9の時に存在していたのか?ということだ。
あれだけ強いフォースを持っていながら、続3部作の中では、ザ・チャイルドの"ザ"の字も言及されていない。

まあ、そんなのは後付けでしかなくなってしまうのだが、「もしかしたら悲しい結末もあり得るんじゃないか」とか、あるいは(フォースを使える者がみんなジェダイやシスになるわけではないので)「マンダロリアンの道を行くのかも」とか、色々と妄想が膨らんでしまう。…あぁもう、この子のことを考えているだけで楽しい。


そして、マンドーとザ・チャイルドの間に徐々に絆が芽生えていくのも、見どころのひとつだ。

マンドーは、初めはザ・チャイルドを獲物としてしか見ていない感じでそっけないのだが、3話で思い直して助けだしてからというもの、積極的に話しかけたりするようになって、どんどん心の距離が縮まっていく。
このほっこり感というのは、今までのスターウォーズ作品ではあまり感じたことのない感情で、新鮮だった。

果たして、今50歳のザ・チャイルドは、マンドーが生きている間にどれくらい成長するのだろうか。
どうにか、会話ができるくらいにはなってほしい(dadとか呼んでくれたら最高…)。

マンドーが船から降りる時、ザ・チャイルドに「いいか、絶対に動くなよ」と念押ししたのに扉が開いたら隣にいたり、グリーフが「魔法の手を使おう」と言ったらヒラヒラと手を振り返したり。ザ・チャイルドの愛らしさとユーモアは、このシリアスな世界観において緩和剤の役割を果たしてくれている。


各エピソードの感想やら考察やら

1話から8話まで全部面白かったのだが、中でも特に好きなエピソードは、4話と7話と8話だ。

そして、6話についても語る余地があると思ったので、書いておきたい。


【Chapter4: 楽園】

この回は、黒澤明監督『七人の侍』のオマージュがされていて、『ローグ・ワン』が好きな人は好きなんじゃないかと思う。

そして、キャラという心許せる仲間との出会いや、オメラという女性の登場によって、マンドーの人間らしさが垣間見れた回でもあった。

オメラとはなんだかいい雰囲気で、少なくとも向こうは気がある感じだったが、今後再会することはあるのだろうか。

気になるのは、ソーガンの農民たちが武器の扱い方を知らなかった中で、オメラだけは銃の撃ち方を知っていたことだ。
だから、もしかしたら彼女はただの農民ではなく、過去に何かがあったりして、それが今後のストーリーに関わってくることもあり得るかもしれない。

いずれにしても、農民の子どもたちはザ・チャイルドにできた初めての友達だったので、また一緒にのびのびと遊んでいる姿(と、それを優しく見守るマンドー)が見られればいいなと思う。


【Chapter6: 囚人】

6話は他と比べて雰囲気の違う異色な回であり、多くの謎を残した回でもあった。

このエピソードで出てきた人物は、なんだかみんなクセが強い。

シアンというトワイレック種族の女性は、マンドーの元カノなのだろうか…。
私には、どうしてもマンドーが好きなタイプには思えないのだけど。

ドロイドのゼロは、顔がこわい。
目がでかくて、なんだか虫みたいですごく不気味だった(あの型のドロイドは『クローン・ウォーズ』にも出てきていた気がするが、実写化は初めてだと思う)。

先述したような、賞金稼ぎのつながりの危うさや厳しさといったものが表されているのが、まさにこの6話(と5話)だ。

まず、そもそも彼らはクインの救出作戦という名目で集められていたが、本来の目的はそれではなく、最初からマンドーを捕まえるか殺すために集められていたのだろう。

5話で登場したトロは、ザ・チャイルドのことを知ってマンドーを裏切ったが、6話のこの人たちはザ・チャイルドを見てもそういった反応はしていなかったし、価値があるということも分かっていないようだった。
あの反応というのが、ザ・チャイルドが目的の仕事ではあったものの、彼についての詳細を知らされていなかっただけなのか、あるいはザ・チャイルドは関係なくマンドーに対するなにかの報復をしたかったのか、ただ単に気に食わなかっただけなのか、意図はまったくつかめない。

ホラーチックな演出が絶妙で、マンドーが一人で四人を相手にじわじわと追い詰めていくさまがかっこよくて、最後(仕事を完遂したところでランとクインが裏切ろうとするものの、ビーコンが作動していて新共和国のパイロットが来るという流れ)にはめちゃくちゃスカッとして、とてもエキサイティングな回だった。

ただ、マンドーが結局四人を生かしておいたり、新共和国の兵士(ダヴィン)を撃とうとしなかったりというのは、最初の方にはもっと"ヤバい奴"だったことを考えると、若干キャラがブレてしまっている気はしなくもなかった。

そして、ここでも一つ気になったのが、仕事に向かう船の中でシアンが言っていた『アルゾックスリーの話』だ。
彼女は「コイツ(マンドー)の本性を知っている」とも言っていた。
今後、その『アルゾックスリーの話』が語られることがあるのかは分からないが、先述したようにマンドーについてはまだ分からないことが多いので、それが彼を知るひとつのカギになるかもしれないと思った。

これから、あの四人やランがストーリーにどう関わってくるのか、シアンとの関係性は語られることがあるのか、それも含めて楽しみにしておきたい。


【Chapter7: 罰】

トルーパーがずらっと並んでいるところに現れた、モフ・ギデオンの圧倒的悪役感。そして、静かに終わるラストの絶望感といったら。

1話から登場していたクイールは、絶対的な信頼をおける数少ない味方だった。
まさか、シーズン1のうちにいなくなってしまうとは…。

入れ替わりのように、ギルドのエージェントであるグリーフが仲間に加わってくれたが、マンドーにとってこの犠牲は大きいのではないかと思う。

もう、あの「有無は言わせん」が聞けないのかと思うととても寂しい。


【Chapter8: 贖罪】

やっぱり、なんといってもIG-11の活躍だろう。

1話ではザ・チャイルドを狙い、命を奪おうとしていた彼は、クイールの手によってナース・ドロイドとして生まれ変わり、今度はザ・チャイルドを守るために戦った。
7話の時点ではマンドー同様「本当に大丈夫かよ…」と思っていたが、クイールが亡くなったあとに、誰の指示も受けず自己判断でザ・チャイルドを助けに行ったのを見て一気に信頼できたし、スピーダーバイクに乗りながらトルーパーを次々に倒していくシーンは最高に爽快で、心強かった。

だから、彼の犠牲も本当に悲しい。
クイールはあまりに急で悲しむひまがなかったが、IGの最期にはかなりグッときてしまった。

それから、トルーパー同士の会話が見られたのも嬉しかった。

暇つぶしにプラスターで遊んだり、ザ・チャイルドに興味を示して「コイツ何なんだ?」「さあ?モフが食うのかも」なんて言ったり。
ごく普通の雑談でしかないのだが、ああいうマスクの中の"人間"を感じられる瞬間というのがたまらないのだ。ツボを分かっていらっしゃる。

そして最後の最後。
まさか、ダークセーバーが出てくるとは思ってもみなかった。

ダークセーバーは『クローン・ウォーズ』や『反乱者たち』に登場した、マンダロリアンに代々伝わる武器で、実写化したのはこれが初めてということになる。
『反乱者たち』で描かれた話では、ボ=カターン・クライズというマンダロリアンの女性が最後の持ち主であったはずなので、そこからどうやってギデオンの手に渡ったかというのが、今後明らかになっていくのではないだろうか。
(ボ=カターンが実写で出てきたらアツいぞ…!回想でもよし。)


シーズン2が待ちきれない。

シーズン1では、マンドーが追う立場から追われる立場になり、最後には『仲間に返すまで父親として面倒を見る』という大きな任務を背負った。

今後はザ・チャイルドを守り、そして、"大粛清"で帝国に奪われたというベスカーを取り戻していたように、モフ・ギデオンが持つダークセーバーも、現在どこかに潜んでいるマンダロリアンたちのために取り戻そうとするのではないだろうか。


あと、これは余談だが、たびたび議論になっている『ジャンゴとボバはマンダロリアンなのか問題』に何かしらの答えを出してくれたらいいなと思う。
彼らについては「マンダロリアンじゃないけど、アーマーを盗んでつけている」とか、「ジャンゴは元々マンダロリアンだったけど、追放された」など、さまざまな説があるらしい。
まあ、ジャンゴの生きていた頃とは時代が違うので、ストーリーに組み込むのはなかなか難しいかもしれないけど、ファンサービスとまで行かなくていいから、なにかそういった小ネタみたいなのがあると嬉しいかな、と思っている。


さて、次なるスター・ウォーズは、『クローン・ウォーズ』のファイナルシーズンだ。
ディズニープラスではすでに配信されていて、日本でもそろそろ見られるようになる、…はず(頼みますよ)。

そして10月にはまた『マンダロリアン』のシーズン2があり(日本での配信日などは未定)、その先には『ローグ・ワン』のキャシアンやオビ=ワンのドラマなど、映画はしばらくおあずけでも楽しみは尽きない。

先日撮影が終了したというシーズン2が今から待ちきれないけど、1話から8話まで何度でも復習しながら、期待して待ちたいと思う。


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