クレヨンロケット


ある幼稚園のお遊戯の時間
「みなさん、この画用紙に好きなものを書いてください!」
先生は一人一人に画用紙を配る。

「僕は地球を飛び出して宇宙を旅するんだ」
そうたかし君は言ってクレヨンを持って描き出す。
「あらあら、たかし君。画用紙の中からはみ出さないでね。」

はみ出した分を先生は慣れた手つきでパパッと消していく。

言った側からたかしの描くロケットは勢いよく画用紙をはみ出す。
気づいた先生が慌てて消しにかかる。

たかし君は得意げな顔で
「先生、消したって無駄だよ。先生が消す以上の速さで僕のロケットは飛んでいるんだ。」

画用紙から床、壁へと高度を上げて行き窓を透過していく様子を先生は呆然として見る。

クレヨンを使い切ってもたかし君のロケットは大気圏を突き破っていた。

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