活版印刷01

文字組の今昔

 かなりお久しぶりになってしまいましたね。繁忙期がちょっと落ち着いてようやく一息入れられるようになりました。
 平生ものぐさなので宛名を都度書くのが面倒臭すぎて、ビジネス用の封筒の宛名欄に、ハンコ屋さんで作ったゴム印を押しています。

最近は更にものぐさが加速して、都度押すのすら面倒になって、新しく封筒を買った時にまとめて数十枚分バババッと押しています。
 今日はそんな作業をしている最中に、ふと頭に思い浮かぶことがありました。そういえば、こうしてハンコを押す作業って印刷の源流なんだよなあと。そこから大学のグラフィックデザインの授業で印刷博物館に行った日を思い出しました。


昔は今よりもずっと制限のある文字組

 印刷博物館には実際に活版印刷を体験できる参加型の展示があり、そこで私も自分の名前を名刺サイズの紙に印刷しました。IllustratorやInDesign上のトラッキングやカーニングで長体(文字を細長くする)をかけずに詰めることが可能ですが、活版印刷ではそれができないのです。
 ヘッダー画像のように一文字ずつブロックになったものを組み合わせて印刷するので、出来合いのものよりも字間を更に狭くすることができないんですね。そのため、字間を広げてバランス良く余白を作ることで文字を組む必要があります。PCだったら簡単に文字間を狭くできるので、本当に衝撃を受けました。昔はこれが当たり前だったんだから本当に凄いなと。


今の文字組環境は本当に便利でありがたい

 月並みだけど便利な文字組環境に感謝しなければなあと思いました。情報ぎっしり系のカタログで文字間をぎゅっと狭めるのはほんと必要なので……。
 でも狭めるばかりに頼っていると本当に文字組力が低下しそうなので、また広げるor長体縛りで文字組の練習もしたいなと思いました。

 印刷博物館すごく面白いのでまた機会があれば行きたいな〜と思います。次回は絶対前に刷った時のものよりも綺麗に自分の名前を組みたい!

 ちょっと調べたら2020年のリニューアルオープンに向けて、活版印刷の体験ができる展示場は今月末から来年3月末まで休館のようですね。とても面白い場所なのでぜひ行ってみてくださいね。

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