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「心理的安全性」について学ぶ【DEI#29】

こんにちは。中小企業診断士のさとうたろうです。
ダイバーシティに関するトピックを紹介しています。

ダイバーシティについてコンサルティングを進めようとすると寄せられるのが「女性優遇ではないか」「逆差別ではないか」という発言です。

どうしても ダイバーシティ = 女性登用 というイメージが強く、
それに対して嫌悪感が示されるケースが一定程度存在します。
このようなコメントは、男性だけでなく女性からも寄せられますので難しいところです。

そうした時には、「Inclusionから始めよう」、そんなご提案をさせていただきます。Inclusiveな職場環境は皆にとってプラスになるからです。
そしてInclusionに大きく関係があるのが「心理的安全性」です。

今回は、エイミー・C・エドモンドソン氏の「恐れのない組織」をレビューさせていただきつつ、心理的安全性について何度かに分けて学んでいければと思います。

心理的安全性とは?

第一部では「心理的安全性のパワー」として、その概念を紹介しています。

対人関係のリスクをとっても安全だと信じられる職場環境であること。それが心理的安全性だと、私は考えている。意義ある考えや疑問や懸念に関して率直に話しても大丈夫だと思える経験と言ってもいい。心理的安全性は、職場の仲間が互いに信頼・尊敬し合い、率直に話ができると(義務からだとしても)思える場合に存在するのである。
心理的安全性は、単なる職場の個性ではなく、リーダーが生み出せるし生み出さなければならない職場の特徴だということである。(中略)明らかなのは、心理的安全性の条件をうまくつくり出せるグループ・リーダーがいる一方で、つくりだせないリーダーがいることだった。

心理的安全性はどんな組織であっても作ることができます。なので、中小企業が大手企業に立ち向かうためには大きな強みとなるはずです。
以前、「インクルージョンはリーダーの務め」ということをご紹介させていただきましたが、それに通ずる部分があります。

だがそれ以上に悪いのは不安にはやる気を引き出す力があると、多くのマネジャーが ― 意識的にも無意識にも ― 相変わらず信じていることだ。(中略)これは仕事が単純で、作業者が問題にぶつかることも改善を提案することもまずない場合なら、有効かもしれない。だが、学習や協力をしなければ成功できない仕事なら、不安がやる気を引き出す要因になることはない。

「強い姿を見せることがリーダーシップ」だと思っているのは、よくある誤解ではないでしょうか?
心理的安全性を高めるための一番のステップは、
リーダーが直面する課題や制約、弱い部分を共有することと言われます。
あなたは、もしくはあなたの上司は弱い部分を見せていますか?

心理的安全性のある組織は、単なる仲良しチームではない

会議では互いに「礼儀正しく」話をするが、その後、廊下で個人的に会話をする時には「実は賛同できない」と言い、結局、会議で話し合った結果が実行されないことが少なからずあるのだ、と。(中略)心理的安全性とは、さまざまな観点から学ぶために建設的な対立を厭わずに率直に発言することなのだ。

これもよくあるのではないでしょうか?
最近だとリモート会議の裏で、SNSで本音トークが繰り広げられていることも・・笑。
心理的安全性と聞くと優しいイメージがありますが、対立を厭わない、というかその場で対立したとしても、関係性を維持できる組織ということかと思います。そのためには皆でビジョンを共有することも重要と言えそうです。

信頼と心理的安全性には多くの共通点があるが、その概念を置き換えることができない。(中略)信頼とはあなたが他者をとりあえず信じてみるということであり、心理的安全性とは、あなたが例えば支援を求めたり過ちを認めたりしたときに、他社があなたをとりあえず信じてみようと思ってくれるということなのだ。

芦田愛菜さんが、以前「信じる」ということについて、
「その人自身を信じているのではなくて、自分が理想とする人物像に期待していること」、「(裏切られたというのは)その人の見えなかった部分が見えたということ」とコメントしていたことを思い出しました。

あとはアイシールド21というアメフト漫画の、キッカー・武蔵の言葉
「キッカーが頭に置いていい世界は ボールと右足だけだ 味方が守ってくれんのを疑っちゃいけねえ 信じてもいけねえ 仲間を思いすぎる甘さがお前の敗因だ」という言葉なども思い出しました。

「信頼」は、時にコミュニケーションを阻害し、組織にとってリスクになることがあります。
「きっと気づいてくれるだろう」「誰かが言ってくれるだろう」
だから「私がリスクを取って発言する必要はないのだ」。
こういった積み重ねが知らぬ間に組織のリスクを増やしているのです。
「反逆者のアイデアが組織を救う」こともあります。

本書の冒頭では、エドマンド・バーク氏の言葉(1756年)が紹介されています。

行動力と判断力を、不安ほど巧みに、心のなかから根こそぎ奪う感情はない

私にとって、とても納得的な言葉でした。

今回は「恐れのない組織」の第1部を中心にご紹介しました。
引き続きレビューしていきたいと思います。
最後までお読み頂き有難うございました。

【参考・引用】

恐れのない組織――「心理的安全性」が学習・イノベーション・成長をもたらす
エイミー・C・エドモンドソン (著), 村瀬俊朗 (著), 野津智子 (翻訳)
出版社 ‏ : ‎ 英治出版 
発売日 ‏ : ‎ 2021/2/3

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