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リモートワーク導入のポイント~オフィスは目指すべき場所【DEI#28】

こんにちは。中小企業診断士のさとうたろうです。
ダイバーシティに関するトピックを紹介しています。

ダイバーシティ経営を提案する上で、
最近避けて通れなくなっているのが、「フレキシブルな働き方」です。
フレキシブルな働き方=ダイバーシティというつもりはないですが、
フレキシブルな働き方を拡充しないと優秀かつ多様な人財を惹きつけることが難しい時代になっていると思います。

ハーバード・ビジネス・レビューの2022年3月号は、
『「働きやすさ」のマネジメント』がテーマであり、様々な示唆があります。特に印象に残った点についてtake noteしたいと思います。

まずは「The Future of Flexibility at Work」と言うレポート記事より。

最近のレビューが示唆するように、テレワークを行う従業員(その多くは女性だ)は、より多くの家庭の用事を担い、より深刻なワークライフコンフリクト(仕事と家庭の対立)を報告する傾向がある。

テレワークを導入すれば、それで従業員満足が向上すると思ってはいけないということです。テレワークに適したマネジメントやポリシーが必要です。

すべての業務には、何らかのフレキシビリティを与えられる権利がある。必ずしもテレワークが選択肢にならない場合も、組織はオフィス勤務者と、現場の最前線で働くフロントワーカーの両方にフレキシビリティを提供するべきである。フレキシビリティを稀少な、あるいは特権的なリソースとしてみなしてはならない。

よくあるのが、
「自分のチームの業務はフレキシブルワークには馴染まない」
「フレキシブルワークなんて導入できるわけない」と、管理者が早々に諦めてしまっているケースです。
「アンコンシャス・バイアスで端からそのように決めつけていないか」、
見直していく必要があります。

では実際にはどうすればよいのでしょうか?
筆者は「フレキシビリティをすべての労働者に提供することは、実際に可能である。」と述べています。

企業が1時間単位の柔軟な勤務スケジュールを短いシフトで組んだり、急な有給休暇申請をペナルティなしで認めたりすることはできる。現実問題として、危機的状況でエッセンシャルワーカーを支援するためには、このような配慮が不可欠だった。

現場業務にはリモートワークを提供することは難しいですが、
「フレキシビリティを提供する努力は怠ってはならない」と理解しました。
又、上記を実現するためには、サポート人財を確保する必要性についても述べています。そもそもの人員不足については常日頃から見直していかなくてはなりませんね。

ポリシーやルールについても注意する必要があります。

自社のリーダーや従業員を無作為に選んでフレキシビリティの説明を求めた時に、誰もが明確に答えることができ、その内容が一致している必要がある。

「リモートワークは設けられたものの、そのルールやポリシー、評価体系が確立していない」というのもよくある事例です。

こうした観点は、
12QUESTIONS About Hybrid Word, Answeredというレポート記事でも取り上げられています。

ハイブリッドチーム内でリモートワークを実践する者は、上司に直接話しかけられる出勤者に比べて自分が見劣りするのではないかと悩むことが多い。たとえば、出勤者よりも厳しく査定されたり、業績評価が低くなったりするのではないかと思うのだ。そうした不安が現実なものにならないようにするのは、マネジャーの責任である。

近接性バイアスと呼ばれるそうです。
出社しないと自分の評価が低くなると思うと、安心してリモートワークはできないですよね。
同様のことはRemote Work Isn’t a Perk to Toss into the Mixにおいても述べられています。

問題の一端は、リーダーに昇進した人たちが、実際には何の管理スキルも持ってはいないということ、タスクがオンラインになるとさらにそれが悪化するということかもしれません。

厳しい言い方ですが、新たな働き方へとシフトしていく中で、管理者自身が変わる必要があります。もちろん、会社はそのためのトレーニングの提供が必要となります。

尚、ポストコロナのマネジメントでは、共感力がより重要になっていると言われています。
「共感力の高いマネジメントを行っている組織の従業員は、自分の職場環境がインクルーシブ(包摂的)であると答えた割合が2倍以上」という調査もあります。

そして一番心に残ったのが以下の言葉でした。

ロサンゼルスの設計会社パーキンズ・アンド・ウィルのプリンシパルで、インテリアデザイン担当ディレクターのミーナ・クレネックによると、(中略)端的に言ってハイブリッドワークでは、オフィスは出社して当然の場所ではなく、目指す場にならなければならないと強調する。

「週●回は出社しなければならない」等のルールが従業員の不満につながっているケースがあります。
強制されるのではなく、社員自身が出社したくなるオフィスを皆で考えていきたいものですね。

【参考・引用】
DIAMONDハーバード・ビジネス・レビュー 2022年 3月号 特集「「働きやすさ」のマネジメント」
出版社 ‏ : ‎ ダイヤモンド社
発売日 ‏ : ‎ 2022/2/10

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