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銀盤のプリンス出てた?と巻き戻した。大物多数出演なのに、アクなし映画

エース級が集まると、とたんにグダグダになる。サッカーでも野球でも個人の能力がいかに高くても、そこはチームワークで戦うもの。全体のバランス感が大事だ。お笑い番組なんかも、よく観るほうなのだが、西に東にと面白戦闘力が53万越えしている芸人が集まっても、意外と面白くならないことも。

やっぱりバランスってのは大事なんだよね。料理も同じく…ってクドイ?

さて、当映画、『殿、利息でござる』結論からいって、いい映画だわぁ。面白い。展開がいい。江戸時代であることに、時代的な必然性というか、これを現代に置き換えたらつまんない。史実に基づいているにせよ、不条理な身分の差や、立場の違い、社会貢献への意識なんかが江戸時代だからこそ、いい!ってことになる。と、お話の枕からまたそれた。。。

で、バランスのお話に戻ります。レビュースタート!

いい俳優が集まった映画はつまんない、をひっくり返した映画

どの映画なんて言わないけれど、たいがい誰が主役やねん、この人伏線ぽく出てるけどチョイ役かい。目立ちすぎで話が入ってこない。演技プランが違いすぎる。やっぱ、この人悪目立ちしてる。

みたいに、いい俳優が集まると、ごった煮感が強くて、見たことも味わったこともない「アク」が出る。アク取りを監督や演出ができればいいんだけど、どうにもこうにもアクじゃなくて、「ニオイ」にまでなっちゃうと、もう取れない。煮込めば煮込むほど、邪悪になってゆくものだ。

キャストを見てみよう

阿部サダヲ・瑛太が集まると、とたんにグダグダになる。サッカーでも野球でも個人の能力がいかに高くても、そこはチームワークで戦うもの。全体のバランス感が大事だ。お笑い番組なんかも、よく観るほうなのだが、西に東にと面白戦闘力が53万越えしている芸人が集まっても、意外と面白くならないことも。

やっぱりバランスってのは大事なんだよね。料理も同じく…ってクドイ?

さて、当映画、『殿、利息でござる』結論からいって、いい映画だわぁ。面白い。展開がいい。江戸時代であることに、時代的な必然性というか、これを現代に置き換えたらつまんない。史実に基づいているにせよ、不条理な身分の差や、立場の違い、社会貢献への意識なんかが江戸時代だからこそ、いい!ってことになる。と、お話の枕からまたそれた。。。

で、バランスのお話に戻ります。

いい俳優が集まった映画はつまんない、をひっくり返した映画

どの映画なんて言わないけれど、たいがい誰が主役やねん、この人伏線ぽく出てるけどチョイ役かい。目立ちすぎで話が入ってこない。演技プランが違いすぎる。やっぱ、この人悪目立ちしてる。

みたいに、いい俳優が集まると、ごった煮感が強くて、見たことも味わったこともない「アク」が出る。アク取りを監督や演出ができればいいんだけど、どうにもこうにもアクじゃなくて、「ニオイ」にまでなっちゃうと、もう取れない。煮込めば煮込むほど、邪悪になってゆくものだ。

キャストはこんな感じだ(敬称略)

<がっつり出演>阿部サダオ・永山瑛太・寺脇康文・妻夫木聡・きたろう・中本賢・橋本一郎・西村まさ彦・千葉雄大・竹内結子

<サラリと出演>重岡大毅・堀部圭亮・松田龍平・草笛光子・山崎努

<ビックリ出演>羽生結弦・中村ゆうじ・芦川誠

重くないですか?キャスティング、喰い合い感強くないですか?
これがどうにもこうにも、調和している。意地悪いひとは意地悪く、破天荒なひとは破天荒に、意思の強い人は強い人に、こずるい人はこずるく、とキャラクター設定がしっかりしている。もちろん、物語の進行に合わせて、キャラクターの芯の部分は変わらないけれど、良い感じになっていく。

カタルシスっていうとムズイけど

カタルシス=精神の浄化、映画で言うならば「観終えたあとの心の高揚感」。この映画はカタルシスッテる。実はこの映画の前に2本レビューが溜まっているのだが、今見たばかりのこの映画のレビューを書いている。ははは、これが高揚感なのだ。映画とは本来、こんな「よぉおおおおし、俺もいくぜ!」的な単純にして、自力では難しい高まりを与えてくれるものであって欲しい。これはもう、好みなんだけど。

映画の内容はスカッと気持ちいい

原作が歴史学者の磯田道史なので、おぉそういうの知らんかった、というディテールがいい。銭と小判、つまり使っている「貨幣」と「金」の関係。換金率が後半のポイントにもなってきたり。そもそも、「肝煎きもいり」なんて知らんかったわ。※肝煎:江戸時代の村の首長みたなもの(農民身分に与えられた位)。村の政治をあずかった農民。

ディテールがしっかりしていると、物語の仕掛けが分厚くなる。江戸時代などの時代物をみていて、ヅラが気になったり、刀の持ち方が気になったり、そんなことを気にしなくなる。スッと、没入できる。そういう点で、磯田氏の緻密な原作が物語を面白くしている。

もちろん、そこからの脚本起こしなので、脚本家の構成もよかった。

で、物語が分厚いから、グーッとむかっ腹エッセンスがチャージされる。ずる賢い引っかけ問題みたいな、いわゆる「壁」が立ちはだかる。それをジリジリとぶち壊す、あぁまた新しい壁だ!またぶち壊す。この壁と破壊の種類が手を変え品を変えだと、面白くなっていく。

役者たちは、そのシナリオから現代の僕たちの世界にひき戻さないようにするための存在で、特に時代ものだと、ふとした瞬間に、この人は前の映画でこんな役やってたなぁ。最近テレビで観ないなぁ、なんて没入感阻害アラートが鳴るんだけど、鳴りかけたら、止めてくれる。むしろ、鳴らないようにしてくれる。今回のキャスティングがよかったのは、こうした没入感阻害アラートをぶっ壊してくれる、そんな存在だったのだ。

やっぱ、妻夫木聡ってすげえな

妻夫木聡、アイドル俳優みたいなものだと勝手に思っていた。ウォーターボーイズも観てないし、まぁ、いわゆる男前で最近コメディっぽいノリも、みたいな俳優かと思っていた。私がバカでした。『ある男』の演技もよかったんだけど、今作は良かった。特に良かった。役どころが大人しめ・控えめな存在なんだけど、前に出ない演技をしているように見えるのに、存在感が強かった。単に強い・弱いの演技者がいるから、コントラストとして、弱い控えめな演技にも注目される、というものではない。

言語化が難しいのだけど、一言で言うと「そこに、生きてた人」みたいな演技だった。この役柄を演じるために、この台本を読むために、家から来た人ではなく、「そこに、生きてた人」だった。

個人的には妻夫木聡が持って行った映画だなーと思った。

いい俳優が揃っていても、つまんないってことは多々ある。だけど、良い脚本があれば(原作)、これはいい俳優が揃うと、もしかすると、良い映画になるのかもしれない。阿部サダヲが若干薄まっていた気もするし、西村まさ彦が若干味濃いめだったかもしれないけれど、きたろうの無言の演技感と、寺脇康文の程よい力のなさ、千葉雄大の長いものに巻かれる感、永山瑛太の物語を進める感、竹内結子のちゃきちゃき感、その他…。なんだかごった煮なんだけど、お互いが中和し合うみたいな演技プランがよかったなぁと。

何度も言うけど、僕は演技の専門家じゃありません。
※阿部サダヲの濃いめトンコツ系が観たい方はこちらのレビューを

知恵を出し合って、上申して、社会を変えていく。それも滅私奉公の精神で。気高い人たちのお話だし、大人が好きな話だと思う。

タイトル改題ってのがよかったな

原作は評伝「穀田屋十三郎」の名だったが、これを「殿、利息でござる」とするあたりがいいな。うまい。でも、殿への申し送りとしてのエッセンスはあんまりなかったんだよな。どちらかと言うと、藩に対して、萱場杢(松田龍平)仙台藩の出入司(財政担当者)に対してなんだよなぁ、上申が。

内容的には「殿、利息でござる」というと利息をいただきますよ的でいいんだけど、殿にそんな言い方する?みたいには思うのよね。

キャッチ―でわかりやすいんだけど、ここだけ殿と宿場の農民たちがフラット感あってちがうんだよなぁ。いいタイトルなんだけど。ホンマは「宿場の人、利息(もらってきた)でござる」がわかりいいんだけど、魅力0です。

最後に羽生結弦が出てきて、んが?あれは、羽生結弦では?仙台ゆかりやからか。サンドイッチマンも出てるかも(出てません)と巻き戻して見直した一作、『殿、利息でござる』、ぜひご鑑賞くださいませ。(こちらも小説版買ってきます!)


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