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『推し、燃ゆ』感想 -つらみと誘惑のミルフィーユ-


率直な感想としては、自分の推しが燃えたときにここまで狂えるかは自信ないものの、
普通にえぐい話だなーと思いました。ほんこわ的な。

私自身は推しが許せないことしたらたぶん一気に現実に引き戻されて冷めるし、おそらくそれで正気を保つタイプな気がするけど、
主人公にはだるい現実と疎外感があって、なにがあろうと推しを推すことで命を保ってる感があります。

推し活は多かれ少なかれ自己愛が入ってくるものだけど、主人公の場合、自分の存在意義と推しがほぼ重なるベン図みたいになってて、
推しに堕落させられてるのか推しで生き延びられてるのかもうわからん(でもたぶん後者なんだよな)状態でジリ貧になっちゃってるのがつらい

正気を保つために推してるけど、そのせいでどんどん正気を失ってってるのが救いがなく、ひたすらひりひりした…

ただ、主人公の推しへの没入感とか恍惚感には、ある意味憧れるというか、オタクとしては身に覚えがあると言うか、常に脳の弱い部分をひっかかれてる感覚があり、つらさと仄暗い誘惑のミルフィーユ地獄でした

だとすると冒頭で推しが燃えたら冷めるだろうと言ったけど、冷めるのは倫理感に反するからとかじゃなく、ただの防衛本能故かもしれません

つらくて一回しか読めてないのですが、今後読み返すことあるかな…
でもなにかが炎上したときにはうっかり手が伸びそうだし、出るべき時代に出た作品だなあと思いました。

おわり

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