見出し画像

読書感想文?【盆土産】

夏の読書感想文と言えば
三浦哲郎作 短編 【盆土産】ではないでしょうか。



中2の国語で学習した人も多いはず。

真夏の寝苦しさに乗じてもう一度読み直してみることにした。


短編文学を読むのもいいですよ🎵


1.私の「盆土産」



私の実家の盆土産もエビフライほどの感動はなかったものの、それなりに驚きがあったものだ。
横浜にいた父の弟はよく、子ども達を連れて夏帰省してきていた。
当時駄菓子屋さんを経営していたらしく、はやりのビックリマンチョコが1つ30円だった時代、箱ごとお土産で持ってきてくれていた。
私と妹はお菓子、弟はシールが大好きだった。
田舎に住んでいるので、都会のお土産は特に楽しみだった。

いとこたちは、神奈川、静岡、福岡、広島、など散り散りだった。
夏休みに父の実家にみんなで蚊に刺されながら雑魚寝したのはいい思い出だ。

祖父がよく
「おい、これでスプライトを買ってきなさい。」
と私たちにお小遣いをくれていた。
近所の雑貨店で売っている大きな瓶のスプライト。

栄養や添加物に敏感な母も、その時は目をつぶっていた。
じりじりした暑い日に、車の通らない路地を雑貨屋まで歩く。
200メートルくらいしかなかったように思うが、スプライトの瓶が重たくて帰りはへとへとだった。




2.祖父が亡くなって

祖父が亡くなって数年経った頃。
広島に住むいとこのお姉ちゃんがお盆に結婚相手を連れてきた。
お姉ちゃんは妊娠していた。16歳だった。
相手の男性は18歳。2人とも髪の毛が茶髪でチリチリパーマをかけていた。俗にいう「暴走族」で知り合ったのだという。

父はそれをみてイライラしたのか18歳の男性に
「おい、腕相撲すっぞ。俺より弱かったらお前はアヤを嫁にする資格がねえんだ。」
と言った。

酔っぱらった父が腕相撲だけでおさまるはずはなかった。あっという間に、仏間は乱闘場と化してしまった。


当時中学生になったばかりの私は、恥ずかしくて家を飛び出した。
夕暮れで街灯の少ない田舎道を歩いて帰った。(自宅までは3キロしか離れていないけど)






結婚の報告にきたヤンキーの旦那さんもお姉ちゃんもアホだけどうちの親も大概だ。あんなのと張り合うなんて気が違っている。





頭が混乱していた。
いらだちと気恥ずかしさと、情けなさと。
第一、16歳で妊娠するとはどういうことですか?私と4つしか違わないのに何してんだか。暴走族って何ですか?おじちゃんは何してたの!
うちの親も馬鹿すぎる!
てな具合。


一年後、いとこのお姉ちゃんは離婚した。
お互い中卒だもん。無理だわね。

いとこのお姉ちゃんは私が結婚する頃再婚して静岡へ嫁いでいったという。

3.私には美しくて切ない子ども時代の思い出はない

久しぶりに盆土産を読んでみて。

私が熊本に住んでいた32年の間、情景が美しくて切ない思い出など皆無だった。
親戚が持ってきた「忘れたい盆土産」はたくさんあるけれど。忘れられないほどの盆土産はない。

高校の時に着物ビジネスで借金した父の姉に親が2000万も肩代わりしたことで我が家は激貧となり、田舎の県立高校しかいけず、大学も地元の大学に進まなければならなかったこと、とか。
親戚が帰ってくるたびに「金」の話にしかならない父の実家に行くことももはや苦痛だった。
いとこと結婚して不倫された挙句泣きながら盆に帰省してくる、母の妹。
今は縁遠いけれどたまにいとこ達が甘えて母のいる実家へ家族ごと来る。
私は親に金をせびった事もないが、いとこ達は叔母である私の母にたいそう金額をせびり貰って帰るのだとか。
自分の親に貰えばいいのにね。

はっきりいって、もううんざり。



周りの人と比べるのは滑稽だけれど。
もっと幸せな子ども時代を過ごしたかったなぁ・・・

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?