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書評:ジョージ・オーウェル『動物農場』

革命後の新体制とは誰の手にあるのか?

今回ご紹介するのは、ジョージ・オーウェル『動物農場』。

オーウェルが描く、社会主義体制への痛烈な皮肉が込められた作品である。

当初人間によって支配されていた動物農園において、動物達の革命が行われる。
リーダーは最も頭が切れる豚であった。

革命は成功し、人間達を駆逐することに成功するが、以降そこに敷かれる新体制は、革命の首謀者であった豚の思うがままになっていく。

まずは、ライバルになり得るもう1匹の聡明な豚の追放。

意味のない建造物を立てることを課すことで、住民達を労働に縛り付ける。

字の読めない(≒頭の良くない)動物達を巧みに騙しながら法を少しずつ改竄していく。

時間の経過と共に老いた知恵者も命を失っていき、かつての記憶がコミュニティ全体から失われていく。

こうした過程を経て、遂には豚による専制支配は完成を見ることに。その姿は、まるでかつての支配層であった人間と見紛うほとの禍々しさを備えるまでになってしまった。

革命という甘美な響きの裏側で虎視眈々と進行する新支配者の野心。それに気付くことができない衆愚としての動物達。

人間に対する警句は『一九八四年』以上であると思われる作品であった。

読了難易度:★☆☆☆☆
社会主義体制皮肉度:★★★★☆
独裁支配進行プロセス具体度:★★★★★
トータルオススメ度:★★★★★

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