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書評:ゾラ『居酒屋』

ゾラが描く19世紀フランスの下層階級の姿

今回ご紹介するのは、フランス文学よりゾラ『居酒屋』。

本作は、19世紀フランスの下層階級を描いた作品である。

読み終えて絶句。言葉が出ない。何たる悲劇か。
19世紀フランスの下層階級の悲劇性が眼前に映じるように描き抜かれている。食と酒と性に溺れ、身を崩しゆく人々がいったいどれほどいたことだろうか。

ゾラを知らずに19世紀のフランスを知ったようなつもりになっていた自分が情けなくなる程である。

否、ゾラの描く人間像は19世紀のフランスに限られた姿ではないと捉えるべきかもしれない。まさしく、人間そのもの、時代を超え空間を超え、人間に通底する一面なのだ。

たとえ現代でも、日本でも、人間は堕落すればゾラの描くようになり得る。快楽と怠惰が持つ恐ろしい破壊性に、我々は常に用心しなければならない。

読了難易度:★★★☆☆
悲劇のリアル度:★★★★★
作品世界の普遍度:★★★★☆
トータルオススメ度:★★★★☆

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