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LTVを高めるたった一つの方法 Part2

LTVのお話第2回目です。前回のPart1ではLTV構成要素のうち、顧客からの収益面、主には顧客維持率をどう上げるかを中心に論じましたが、今回はLTVを経営活動とどう連動させていくのか、そのマネジメント面のお話をしたいと思います。(主に小売業を対象に書いてます)

LTVをマーケティング課題から経営課題にするためには?

主にマーケティング的な話題として取り上げられるLTVですが、本来は最重要な経営課題の一つであり、企業経営マネジメントにおける最重要KPIの一つです。

企業の本業から得られる収益(キャッシュ)である、営業キャッシュフローは、基本的に「顧客」から得られる付加価値の対価であり、企業が持続的な成長を果たしていくには、LTVを高めていく事が最も大事な活動となります。

Part1でもお話した通り、LTVは一定期間における、新規顧客と既存顧客から得られる利益から、その獲得及び維持にかかったコストを引いた金額であり、以下の数式で表されます。

LTV=(平均購買単価x購買頻度x購買継続期間)ー(新規顧客獲得コスト+既存顧客維持コスト)

Part1については、こちらになりますので、合わせてお読み頂けますと幸いです。


マーケターはLTVを向上させていくために、様々な戦略や戦術を考え実行していくわけですが、LTVを経営戦略や経営レベルのマネジメントと連動させていくには、LTVを経営コックピットとなる、「財務諸表」とリンクさせ、経営陣と共通言語の中で、認識を共有していく必要があります。

企業の経営レベルのマネジメントは、通常、財務会計と連動する「管理会計」によって行われます。そして、多くは1年間の会計期間毎に、「年間の戦略と計画」が作られ、それが「管理会計」上の年間予算となり、「財務会計上」の予算として公表され、年間を通じて、予算実績管理を行い、KPI及び計画のチューニングを行っていきます。

よって、LTVと経営活動をリンクさせる為には、「管理会計」に「LTV」の概念、及びそれらを向上させる為にかかる活動コスト等を連動させ、「経営戦略」に活動自体を組み込んでいく必要があります。

LTVと連動しない予算編成活動

私は約15年間に渡りマーケターとして活動してきたのですが、少し変わった経歴として、1社目のソフマップ、2社目のGDO(ゴルフダイジェスト・オンライン)において、マーケターと兼務で「経営管理」の責任者を担当していました。

その為、多くの企業の経営管理責任者等と話す機会がありましたのですが、多くの企業が、予算編成や経営管理において、マーケティング活動と全くリンクせずに運用されているなと感じました。

年度の予算編成及び経営計画を立てるには、まず、来期の売上予測(収益予測)を立てる事になるのですが、話した企業の多くが、単に過去5年の売上トレンドに来期の環境変化等のの予測を加味して予測値を出しています。

また、計画立案時も、「店舗」「商品」別に、トップダウンか積み上げ式で「売上計画」を立てており、「顧客のLTV」といった観点での、収益予測や売上計画を基準していないケースが殆どでした。

これでは、LTVやマーケティング活動と予算編成、つまり経営計画全体をリンクさせる事は難しいと言わざるを得ません。

LTVを基準にした予算編成の必要性

収益の源泉は顧客です。そして一般的な小売業であれば、その収益は「新規顧客」と「既存顧客」の合計から生み出され、「既存顧客」の収益がその6割程度を占める事が多いと思います。

既存顧客から得られる収益は、ある程度の精度で「予測」する事が可能です。よって来期の売上を予測する場合にも、顧客を起点に考える事で、単なる予想ではなく、論理的な裏付けを持った形での「予測」が可能となり、それを元に計画を立てる事が可能となります。

また計画の立案においても、新規顧客をどう獲得し、既存顧客をどう維持するのかといったマーケティング戦略を先に立て、それによる、顧客計画を元に、商品の販売計画や、店舗別売上計画を立てる事で、より精度の高い計画の立案が可能になります。

LTVを起点とした予算編成・管理会計の手法

では、具体的にどのようにLTVを経営管理活動に組み込んで行けば良いのでしょうか? 2002年の「ロバート・C. ブラットバーグ」の著書、「CEM カスタマーエクイティマネジメント」で記した方法に、実際に経営管理の実践の場で改良を行った方法をご紹介したいと思いますが、かなり長文になりますので、続きは、Part3で書きたいと思います。




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