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【承認率95%以上】社長決裁の正しい通し方 〜後編〜

社長決裁の正しい通し方の後編です。前回は「正しい判断をしてもらえる状況を作る事」をテーマに書きましたが、後編では、決裁会議での資料、振る舞い、そしてアフターフォローについて書いていきたいと思います。

はじめに

こんにちは、Repro株式会社CMOの中澤です。マーケティング責任者・DX推進責任者として、いろいろな事業会社の中で得た社長決裁を通すノウハウをまとめています。今回は後編です。

前編はこちら→

正直、事業会社にいた時には絶対に書けない内容です(笑)

過去勤めてた会社の社長とかに読まれちゃうと、「あの時のあれは・・・」とか思われちゃうので、なるべく読んで欲しく無いです。

たぶんですが、「マーケティング、なにそれ?」という経営陣のいる中で、費用的にも大きいマーケティング投資の決裁承認を、大変な苦労をして獲得し進めている方も多いと思うのです。

なのでそんなマーケターの皆様に何か役に立てないか?という思いでこの記事を書いてます。


社長決裁会に必要な資料

これについては世の中にたくさん参考になる書籍やブログ等があるのですが、どうも自分にはしっくりとこない場合が多く・・・
なので自分なりの方法論を書かせて貰います。

まずそもそも社長決裁会にのぞむにあたり、どのような資料を用意する必要があるかというと、中澤は以下の3点セットをお勧めします。

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① Executive summary(エグゼクティブサマリー)
決裁会議でプレゼンテーションに使用する資料です。決裁会議の時間が取れなかった場合には稟議の添付資料として使用します。

② 3分資料(エグゼクティブサマリー)
前の会議が押したりで、決裁会議の時間が大きく短縮されてしまった場合への対応資料です。何もトラブルが無ければ使われる事はありません。

② Appendix(補足資料)
説明の際の手元資料、そして参加者にも配っておくべき補足資料群となります。実はこのAppendixの存在が決裁承認の可否に大きく関わってきます。

3分資料について、あまり用意した経験がある人は少ないかと思うのですが、自分の経験上、決裁会議の時間を予定通りに取れない事というのが結構頻繁に起きるので、転ばぬ先の杖として用意しておく事を勧めます。

経営者や経営陣はとにかく忙しいので、コチラの希望通りにはいかないモノです。「ごめん10分しか時間取れない!」と言われてた時に、「大丈夫です3分で説明できるようにしておきました!」とカウンターを返せると、それだけで一目置かれたりします。

決裁資料(Executive summary)の書き方

Executive summary(エグゼクティブサマリー)の理想は「10枚以内」に修め、説明時間自体を20分以内に抑えることが理想です。

そして超当たり前のことですが、最も重要な事は「何を決裁して欲しいのか」を明確かつシンプルに伝える事です。

これを前提とした上で、書くに際に「自分の伝えたい事ではなく、経営者の聞きたい事」を意識して書きます。これは決裁会での振る舞いにおいても同様ですので、後ほど詳しく説明します。

資料を書く上で重要なのが「シナリオ(ストーリー)」です。この順番が極めて重要になります。この型には様々な意見がありますが、講演会などと違って決裁会議の場合においては、自分は以下のシナリオがベストであると考えています。

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各プロセスにおいて何を書くべきか、また、Appendixの資料をどのように取捨選択するべきかなど、より詳しい内容も書きたかったのですが・・・

2021年5月25日に行うコチラのセミナーの参加特典として、テンプレート資料の提供をする事となったので今は書けません!大変申し訳ないです。(ほとぼりが冷めましたら、また記事をアップデートしますね)

すぐに資料が欲しい方はぜひコチラにご参加を(無料です)

一応補足しておくと、初回の決裁会で承認が得られず、2回目以降の決裁会の場合には、エグゼクティブサマリーの一番最初のページに「前回決裁会の振り返り」のスライドを入れます。

ここで前回決まったこと、決裁に至らなかった理由等をちゃんと振り返って社長と認識を合わせておかないと、また同じ議題を繰り返すハメになったり、そもそも「前回、ここはこう合意しましたよね?」という前提条件が変わってしまい、決裁通過率が落ちます。

決裁会議の日程は慎重に選ぶ

これ、かなり重要です。この選択を間違えると承認率が大きく落ちます。

決裁を判断する社長も人間ですので、決裁会の時のコンディション、特に精神的なコンディションがその判断に大きく影響を与えます。なので、いかに社長の精神コンディションが良いタイミングを狙うかが、重要になります。

社長は忙しいので、当然、かなり前から予定を押さえておく事は当たり前のお作法です。ただ、その前後の予定に気を配る必要があります。

単独で決裁会議の予定を組める場合には、前後に「紛糾する予感しかない」会議があるコマは避けます。

例えば「人事系の会議」や「重要な戦略案件」の会議などです。また、翌日に取締役会や銀行訪問など「社長にとって重要なイベント」があるコマも、避けた方が無難でしょう。

共に、社長の精神的コンディションを大きく乱す可能性があります。決裁会議での当たりが異様に強くなったり、社長の心ここにあらず、という状況になりがちです。

社長決裁会議が毎月1回というふうに予めルール化されている場合は、同日に他にも多くの決裁事項が上がる可能性があるため、できるだけ早いタイミングや、心がホンワカしそうな案件の後ろに持ってくるようにします。

この調整で力を発揮するのが、前編で書いた「社長秘書や経営企画室と仲良くなっておく」というテクニックです。

これらの協力者を使って、自分にとって最も有利なタイミングに決裁会議が設定されるように「(裏)工作」します。

自分が予定を入れた後に不穏な会議が前に突っ込まれた場合にも、協力者に予め意図を伝えておくことで、さりげなく日程変更の調整をかけてもらいましょう。

決裁会議でのプレゼン方法について

いよいよ本番です。決裁会議の前に資料を送付しておくのは当たり前ですが、社長は大変にお忙しい人。80%以上の確率で事前に目を通している事は無いでしょう・・・。なのでその前提で望んで下さい。

そして再度繰り返しますが、最も重要な事は、「何を決裁して欲しいのか」を明確かつシンプルに伝える事です。

これを前提とした上で、項目ごとに説明していきます。

① 自分が伝えたい事では無く、社長が聞きたい事を説明する。

決裁資料の部分でも書きましたが、プレゼンにおいて大事なのは「自分が伝えたい事ではなく、社長が聞きたい事を説明する」という点です。

これは本当に大事でして、決裁の目的は「正しく判断してもらう事」なので、相手が聞きたい事、理解したい事にフォーカスする事が前提となります。

② あえてツッコミどころを用意し、決裁資料に余白を用意する。

この理由ですが、往々にして決裁者というものは、何かしらその意思決定に自分の意見を反映させたいもの、というところからきています。

ただその気持ちを、決裁案件の「可否」にかかわる重要な部分で発揮されてしまうと、決裁会自体が紛糾してしまい、案件自体が通らない可能性が高まってしまいます。

よって、あえて決裁案件の本筋にダイレクトに影響しないようなポイントで、「ツッコミどころ」を用意しておき、適度な「ガス抜き」を行います。

そして、「素晴らしい意見ありがとうございます!ぜひ、プランに反映させて頂きます!」という姿勢をアピールし、気持ちの納得度を高めるために、予め用意してある「資料の余白」に、その場でその意見を書き加えます。

なんだったら書き加える時に、二重丸で囲うくらいの事をやってもいいかもしれません。

③ シュミレーションは3つ用意し、リスクは全部晒す。

案件のシュミレーションはできるだけ「グッド、狙い通り、バッドの三つのシナリオ」を用意しておきましょう。合わせて、あえて想定される「リスクは全部晒す」ようにします。

リスクについては、大きめのリスクを並べ、それぞれ自分たちが「検討した内容」と「至った結論」を書いてください。解決可能なモノはその旨を、解決できないモノはその旨を記載します。

社長や経営陣は決裁において何を基準に判断するかと言えば、結局は、その案件による投資対効果と、成功確度、そして失敗した場合のリスクです。

よって予めリスクを記載し、「ちゃんとリスクについても十分に検討しましたよ、でもどうしても潰せないモノもあるよね、そこは覚悟してね」というメッセージを伝える事で、判断の精度が上がると共に、案件に対する「信頼度」も向上します。

結局、最後は案件を担うチームに対する「信頼」が最後の判断軸になったりするのが現実だったりしますので。

また三つのシュミレーションを提示する事で、「最悪失敗してもこの程度の被害で済むのか」という腹づもりができ、決裁しやすくなります。

引き際を心得、アフターフォローを欠かさない

決裁がその場ですんなり成功すれば、それにこした事はないのですが、そうは行かない事も多いでしょう。

そこで重要になるのが「引き際」です。

決裁会議で社長が難色を示した際、その場でその解決が難しそうと感じた場合には、そこで無理押ししない事です。無理押しする事で泥沼に入ると共に、何よりも社長自体の機嫌が悪くなります。

そこで逆鱗に触れてしまえば、リベンジの可能性を封じられたまま、決裁を否認されてしまいます。

よってこの場合には、とにかく「社長は何に引っかかっているのか?」を明らかにすることに努めます。

何も引き出さないまま、「すいません」といって引き下がってしまう人が多いのですが、ここで「社長の引っ掛かり」を引き出さないと、リベンジの成功率が極端に下がります。

よって、決裁会議で社長が難色を示した際は、社長の引っ掛かりを引き出した上でサッと引きます。

「今日はありがとうございました。次回、本日頂いた疑問やご指摘を踏まえて、○○頃に再度プランをお持ちします」と言って、会議を終了してください。

そして一旦引いた後にリベンジに向けた取り組みを開始するわけですが、その前にやっておく事があります。

それが前編でも書いた、「喫煙所」や「エレベーター」の中で社長(経営陣)を捕まえるテクニックです。

今回はできれば、「決裁会議が終了した直後」に、このテクニックを発動してください。

社長が喫煙者であった場合には、決裁会議が終わったあと高い確率で喫煙所に向かうと思うのですが、その際にバッチリお供します。

そして喫煙所で「今日はありがとうございました」と前置きしつつ、「社長にご指摘頂いた部分、正直気づいていませんでした、指摘いただいて助かりました」と、ジャブを打ち・・・

「本当はもう少し、こうできればと考えているのですが、社長のご意見を伺ってもよろしいですか?」と、あえて社長にアイディアを求めます。承認してくれ!じゃ無くて、アイディアをください!のスタンスです。

決裁会議の場面と異なり、社長の心のガードも下がっている場面ですので、結構、いろいろなアイディアや意見を言ってもらえる事が多いです。

そしてこの行為によって、社長の中で今回の決裁案件が数多ある決裁の中の一つでは無く、ちょっと「自分としても気になる」案件に昇格する可能性が高まります。

そしてここで得たアイディアを、あえて次回の決裁会議に通す内容に盛り込む事で、社長に「この案件には俺も関わってるぞ」と、テーブルのこちら側に引き込む事で、決裁の成功率を上げに行きます。

決裁会議に登場する「敵」のいなしかた

決裁が社長の一存で決まる場合はそれほど問題ないのですが、多くの場合、「社長の取り巻き」「他の経営陣」も決裁会議に参加しているモノです。

決裁案件に関連する部門の経営陣であれば、当然、事前に「根回しや調整」は行っているはずなので(流石に常識なのでココでは書きません)、ある程度、味方についてくれるはずです。

問題は案件に関係しない役員陣や、特に社長の取り巻きスタッフ(経営企画室とか、そういう場合が多い)です。

その中に、「相手にマウントを取る事で、自分の頭の良さや、優秀さをアピールしようとする人」がいる場合、事態は深刻です。なんとなく皆さん頭に浮かびませんか?あの人とか、この人とか・・・・。

そこで重要なのが、そういった方々の「いなしかた」です。

いな‐す
>相撲(すもう)で、急に体をかわして相手をよろめかせる。転じて、相手の攻撃や追及を軽くかわす。

続編書きました

https://note.com/shinya_nakazawa/n/n6d50b7d6d9e5

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