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【生産性のモノサシ】 普段使いのPLANとDO (1)

「全体最適のプロジェクトマネジメント」 岸良裕司、2011

 PDCAのPLANとDOはプロジェクトマネジメント(以下PM)そのものだと思うのですが、一般的なPMの教科書は大げさすぎて、日常のPDCAでは使いこなせません。岸良さんの本を参考にして「普段使いできるPLANとDOのマイ・マニュアル」をつくってみました。いわばPMのアレンジレシピです。


プロと素人は何が違うのか?

 プロとはPMを本業にしている人のこと。素人とは他に本業があるのだけれどPM(つまりPLANとDO)に取り組まざるをえない人のこと。現代のほとんどの職業人は素人PMだと思います。

  1. プロに比べてPMに使える時間が圧倒的に少ない。PMに手間をかけられないからこそ、簡単な原理とツールで取り組む必要がある。

  2. 本業を持っているということは、本業での発言力がある。本業での交渉力はプロより素人の方が強い。

 ですから、出来るだけ少ない原理とツールで、コミュニケーションを活用したPMを心がけた方が、効果が出てしかも楽しい。コミュニケーションに時間を使うためにも、PMのためのペーパーワークは出来るだけ減らす必要がある。

3つの原理

  1. PMは不確実性のマネジメント ー そもそも未来が100%確実ならPDCAはいらない

  2. 俯瞰、先読み、バッファが大切 ー 不確実性は管理(コントロール)できないのだから

  3. 質問が大切 ー 経験、感性、知恵を総動員するために

3つのツール

  1. ODSC (Objectives、Deliverables、Success Criteria)

  2. 工程表 ー ガントチャートよりフローチャート

  3. 問題点一覧

原理その1 PMは不確実性のマネジメント
そもそも未来が100%確実ならPDCAはいらない

 一般的な教科書には「プロジェクトは一回限りの成果を生み出すこと」と書いてあります。 「一回限り」ということは、これまで経験したことがないことに挑戦するということ。だから想定外のことが必ず起こる。「不確実性をマネジメントする(やりくりする)」ことがこの仕事のコツになります。

 なお、「オぺレーションは類似の成果をくりかえし生み出すこと」と書いてあります。オペレーションでは仕事が流れ作業になりますから「ボトルネックをなくし、滞留をなくす」ことがコツになります。

 とはいえ、プロジェクトとオペレーションは連続しています。プロジェクトにもオペレーション的な要素はありますし、オペレーションにもプロジェクト的な要素があります。

 たとえば、新製品の開発から初期量産まではプロジェクト的ですが、順調に量産出来るようになるとオペレーション的になります。新制度の策定と施行はプロジェクト的ですが、人々がその制度に慣れてくればオペレーション的になります。プロジェクト的かオペレーション的かによって、仕事のコツを使い分けます。

原理その2 俯瞰、先読み、バッファが大切
不確実性は管理(コントロール)できないのだから

 想定外のことが必ず起こるとわかっているときに「一度決めたら必ずやり遂げる」という意味の管理(コントロール)は無謀です。次々と出くわす想定外の事態を予見し、柔軟に対処しながら最終目的を達成するマネジメントが大切になります。 
 そのためには「足元では何が起きつつあるのか、次に何が起きそうか」という先読みが大切。先読みするためにはプロジェクト全体を俯瞰しておくことが大切。それでも想定外の出来事に翻弄されるので工程にバッファ(余裕日程)を取っておくことも大切です。 
 ただしバッファを個人持ちにするとサボって食いつぶしてしまうのは、悲しいかな人間のさが。タスク日程はベストエフォートで見積もって、バッファは全員の共有物として見える化する。

原理その3 質問が大切
経験、感性、知恵を総動員するために

 経験、感性、知恵は、お願いすればポンと飛び出てくるものではない。適切な質問で刺激して聞き出すことが大切になる。生産的な質問から生まれる生産的な対話でチームも元気になるはずです。

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