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2016年4月の記事一覧

ぼくの友達レイモンド

ぼくの友達レイモンド

大学で待ち合わせをする。
いろんな国の学生たち。
見たことのない装い。
嗅いだことのない匂い。
行き交う人々をすり抜けて
レイモンドがやってくる。
やあ元気?と満面の笑顔のレイモンド。
元気だよ、と笑顔で答えるぼく。

司書員のレイモンドは踊るのが大好き。
バレエやヒップホップやワッキング。
舞台でも踊るし、オーディションにも挑戦している。
練習のしすぎで右ひざを痛めてしまったらしい。
少しは休ん

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【近代主義者・福澤諭吉、反動の書?】

福澤諭吉の思想は、一般的に理解されているよりは、かなり複雑であり、統一的理解が難しく、ある種陰影に富んだ思想である。

福澤は、「士人処世論」を書き、昔、武士であった者が、近代社会において、いか生きて行くかを説いた。その中で、「熱心の中にも尚冷算 の一義を忘れず」と述べている。

頭の中で、冷静にそろばん勘定をして行動しなければ、世の中を渡っていけないということである。

近代主義者として当然のこ

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【夏目漱石「門」】

数ヶ月前、夏目漱石の「こころ」を読みましたが、今度は三部作の中から「門」を読みました。

この歳になって再び読む漱石は、まるで宝物のようで、一気に乱読することはやめて、一作品ごと噛みしめるように読んでいます。

あらためて、夏目漱石は文豪であると実感しました。

他の近代文学の小説家とは、はっきりと格が違います。

漱石の作品は、しっかりとその時代のエートスを表現しており、また、現在に至るまで続く

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