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「あなたのヤドリギ---届いた詩集から---」心に浮かんできた言葉(013)

こんにちは「てると大吉」です。
水無月の頃。今日は素敵な詩に出会ったことを書きます。

先日、『根橋麻利詩集 川辺の響き』という詩集を届けていただきました。

2012年にお父様を亡くされ、その喪失感を埋めるためにいつの間にか詩を書き始めたと、あとがきには記されています。お父様のこと、ご自身のこと、さまざまな作品の中で僕が立ち止まったのは「小諸城址」という作品。

その後半部を引用させてもらいます。

枝を広げて 空を支える欅の大樹(たいぼく)に
ヤドリギが 無数の灯を
優しくともしているようだ
古城の城壁は 堅固に聳え
季節外れの東屋に いまは誰もいない

ともにすごした歳月を重ねて
いつしかわたしは
あなたのヤドリギになれたのだろうか

鈍色の雲から ふいに粉雪が舞い降りる
いにしえの光芒も いまは夢のごとく

わたたしは天守台から
小諸の空を
穏やかなこころで見つめていた

*ヤドリギ・・・榎やブナ・欅などの落葉高木に寄生する寄生木。ヤドリギの宿った木は枯れないと言われ、その生命力から西洋では神聖な植物とされている。

2023.5.27発行 潮流出版社『根橋麻利詩集 川辺の響き』著者 根橋麻利

「あなた」とは著者のご主人、「わたし」は著者自身。
「ヤドリギ云々の話は、専業主婦である自分に感じていた負い目を振り払ってくれた概念(植物)でした。」と話していただきました。

こういう夫婦関係、ご自身の捉え方、とても素敵だと思いました。
夫婦関係も十人十色と改めて思います。お二人は共にヤドリギでいらっしゃるのですね。

立場を通して感じるさまざまな思い。時に「どうして私ばかり・・・」「私なんか・・・」と後ろ向きになることもあります。だけど「子育てや介護、社会からの疎外感に悩んでいるのはあなただけではありませんよ。」と、著者の優しい声が、詩のなかから聞こえてくるようです。

また、詩集のタイトルでもある「川辺の響き」では、自然の中で命を繋いでゆくことが優しい言葉で表現されています。
私たちの命は自然のなかに在ることを忘れてはいけないと思いました。

詩作を通してご自身のものの見方・考え方を深めておられる姿に感動しています。

さて、僕自身はどうだろうと振り返ってみると・・・。
noteを書き始めて2ヶ月。心に浮かんできた言葉(002)「届く」で書いた「伝わる言葉はあるのだ」という出発点に立ち戻ってみます。

今回は根橋麻利さんへの感謝をこめて書きました。
また、別の詩でも書かせてもらいたいと思っています。

今日も読んでいただきありがとうございます。
みなさま、どうぞ良い一日を。

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