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重陽物語 第2夜 金南俊の虎退治
第二夜 金南俊の虎退治
赤茶色の土を踏みながら、ナムジュンはなだらかな山道を登っていた。
灌木に挟まれた山道の上の青い空を、初秋の乾いた風が渡っている。
ナムジュンは汗ばむ首筋を大きな手のひらで拭きながら、ぶつぶつと一人何かを唱えていた。
「小さな蟹が歩いている……違うな……小さな蟹が這っている……」
ナムジュンは、山の麓で見かけた小さな蟹の姿を詩にしようとしてさっきから頭を悩ま
第二夜 金南俊の虎退治
赤茶色の土を踏みながら、ナムジュンはなだらかな山道を登っていた。
灌木に挟まれた山道の上の青い空を、初秋の乾いた風が渡っている。
ナムジュンは汗ばむ首筋を大きな手のひらで拭きながら、ぶつぶつと一人何かを唱えていた。
「小さな蟹が歩いている……違うな……小さな蟹が這っている……」
ナムジュンは、山の麓で見かけた小さな蟹の姿を詩にしようとしてさっきから頭を悩ま