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私が体験した奇妙な事。其七

十年前の私が語る。『おい』

十年ほど前の事だった。そのころの我が家は、全員で食事をする習わしだった。別に強制ではないが、親父を中心に食事をするのが当たり前だった。

ある日の事だった。
親父は正面からテレビが見える特等席に座っていた。好きな日本酒をちびちびとやりながら家族そろってバラエティ番組を見ながら食事をするのだ。私の席は親父の左隣だった。
おふくろもいるし、小さな子供もいる。嫁さんは、私の顔を見るとご飯をよそい始めた。
いつものなごやかな風景。

私が座ろうとしたときにとつぜん耳元で大きな声がした。

「おい」

親父が呼びかけてくる。
「なぁに。なにかあるの」と笑いながら親父を見た。
親父は変な顔をしていた。
「ん? 呼んでないぞ」
「いま、おいって声かけたよ」
「呼んでない」
親父は不思議そうな顔をしていた。
私は、嫁さんやおふくろの顔を見た。みんな不思議そうに私を見ていた。
誰も親父の声を聴いていないのだ。
でも、確かに親父の声だった。
「空耳かな」と笑いながら私は座ってご飯が盛られた茶碗を受け取った。
それ以上誰もそのことは話さなかった。私しか聞こえていないのなら、それはそれでいい。
でも、胸の奥に何かしこりのようなものが残っていた。

親父はほどなく、病院で肺がんが見つかった。
肺炎にもなり、脳梗塞も起こした。
医者からはあと一週間ですと言われ、親戚や親父の友人に連絡をした。
それでも持ち直し、一時家に戻ってはきたが、半年ほどで亡くなった。


まだ書いていないこともありますが、あとはなかなか文字にしずらいこともあり又の機会に。一応、私が体験した奇妙な出来事は終了しましょう。7という数字も好きなので。
そんな一般の人が体験できることは多くありません。ましてや、私のように霊感など自分では感じていなかったり、悪霊などの存在を信じていないものにとって、書けることはもともと少ないのだと思います。怖さを求めるというのはちょっと違うものになってしまっているのかなとも思います。

私は心霊物のビデオが大好きです。最近すこし飽きてきている気もしますが。ほとんどが粗悪なCGであったり、作り物だったりします。
ま、それを楽しんでいるとも言えますが。
廃墟に誰かかはいると物音が、そりゃしますよ。人が入ると体温や重さが加わります。それをビデオで撮ろうものなら、灯りも熱量です。
カメラと何かしらの灯りを設置すれば熱は生まれます。風も起きますよ。無視も小動物も動きます。カメラも埃や、シャッター速度でいろんな写真撮れます。最近のスマホだと、一度に一枚の写真を撮らず合成しちゃっていることもあります。
だからそんなにいくつもvideoシリーズが生まれるほど怪異なんて本当はないのだと思っています。楽しんじゃうんですけどね。

でも、誰かが街の中に紛れていたり、ふとしたひょうしに自分で妙に思えることはあるような気がします。
誰もいないはずの所に何かがいるような気がしてならないとか、体が危険を感じたりとか。それは何故なんでしょうかね。

人のいない林道の奥地などで自然にだかれて寝ると、いろんな物音がします。鳥や動物たち虫の声、木々かすれる音、草の葉がざわめく音。ものすごくよく眠れる時もあれば、何かが気になっているときも。人間だって動物ですから、聞こえる音のほかにもなにかが聞こえたり感じたりするのかもしれません。

これからあと、題名を変えて人から聞いた話や、創作怪談なんかもいいかなと思っています。よろしくお願いします。

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