見出し画像

直前期 東大世界史小論述っぽい問題集

とても東大の作問に及ぶクオリティではないですが、頑張りました。
世界史B(実教出版)と世界史の窓を参考に制作しています。
想定解答・採点基準は一番下にあります。

☆問題☆

【1】10世紀後半に独立を果たしたベトナムは、東南アジアの典型的な港市国家とは異なり、イスラーム・ヒンドゥー教の影響を受けることなく中国的な国家として発展した。何故この地域はイスラームやヒンドゥー教の影響を受けなかったのか。当時のベトナムの経済的状況を考慮しながら90字程度で記せ。

【2】明代に東アジア・東南アジア海域で展開した第2次大交易時代は、17世紀後半に終焉を迎えた。この終焉の背景には、日本の銀輸出減少や清による厳しい海禁政策、アメリカ銀の採掘量減少など数多くの事情があるが、当時ヨーロッパ経済が直面していた深刻な事態もこの終焉に大きく関連していた。17世紀の海上交易で重視されていた東南アジアの産物に注目しつつ、第2次大交易時代が終焉を迎えた理由についてヨーロッパ側の視点から60字程度で記せ。

【3】1950年に朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)軍が北緯38度線を越えて大韓民国(韓国)側に侵攻すると、アメリカは急遽安全保障理事会を招集してこれを非難し、北朝鮮への撤退勧告を決議した。この決議は、本来拒否権を発動するはずであったソ連が理事会に参加しなかったため成立したが、何故ソ連は欠席に至ったのか。当時の中国情勢を踏まえながら60字程度で記せ。

【4】1820年代にラテンアメリカ諸国の独立が相次ぐと、メッテルニヒはヨーロッパ列強による武力干渉を計画した。しかし、当時のイギリス外相はこれに反対して諸国の独立を支持した。この外相の名前を答えよ。また、イギリスがラテンアメリカでの独立運動を支持した理由を30字程度で記せ。

【5】元のフビライ=ハンは、都の大都(現在の北京)に加えて北方の草原地帯に上都を建設し、およそ半年ごとに両都市を往復した。この行動が持つ意義は何か。60字程度で記せ。

【6】宋代に中国で発行された銅銭(宋銭)は日本にも輸出されたが、その輸出が最も盛んであったのは宋代ではなく元代であった。元の時代に宋銭が盛んに輸出された背景について、当時の中国における貨幣流通の状況を踏まえながら60字程度で記せ。

【7】19世紀、東南アジア諸国は欧米列強による帝国主義的侵略に見舞われたが、シャム(タイ)だけは独立を維持した。何故シャムは侵略を受けなかったのか、その地理的要因について60字程度で記せ。

【8】1958年に第五共和政を発足させて大統領に就任し、フランス国内で強力な権限を確保したド=ゴールは、以後「ド=ゴール外交」と呼ばれる独自路線を打ち出した。この外交の意図と内容について、120字程度で記せ。

【9】大西洋北部に位置する火山島のアイスランドは13世紀からノルウェーの占領を受けたが、1397年からは宗主国が替わり、以後1940年代の独立までその統治下に置かれた。アイスランドにおいて14世紀末に宗主国が替わった経緯と、1940年代に独立を達成した経緯について、それぞれ合わせて150字程度で記せ。

【10】いわゆる「三大発明」と呼ばれる羅針盤・火薬・活版印刷は、いずれも宋代に中国で発明されてルネサンス期にヨーロッパで改良されたものである。それぞれの発明がヨーロッパ社会に与えた影響について、120字程度で記せ。

☆想定解答・採点基準☆

【1】他の港市国家と異なり香薬など輸出用の特産品を有しなかったベトナムは、海上交易ルートから切り離された。そのため、インド商人やムスリム商人は来訪せず、その文化的影響を受けなかったから。(90字)

・輸出する品物(特産品)を有さなかった +1
・品物の具体例(香薬など) +1
・海上交易ルート、海の道からの脱落 +3
・インド商人、ムスリム商人が来訪しなかった +3
・ヒンドゥー・イスラームの文化的影響を受けなかった +2
(10点満点)

【2】海外貿易の停滞に伴い「17世紀の危機」と呼ばれる経済不振に直面したヨーロッパでは、購買力が低下し香薬の価格が暴落したから。(60字)

・「17世紀の危機」 +3
・「17世紀の危機」の説明
 気候の寒冷化、飢饉・凶作・疫病、人口の減少、海外貿易の停滞、それに  
 伴う経済不振、物価の停滞等 各+1
・17世紀ヨーロッパにおける購買力の低下 +2
・香薬、香辛料 +2
・香薬の価格が暴落した +2
(10点満点、点数超過の場合1の位切り捨て)

【3】ソ連は、国共内戦で勝利した中華人民共和国が中華民国にかわり国際連合の代表権を得るべきだと主張した。これに対しアメリカは一貫して中華民国を支持し、中華人民共和国を承認しなかったため、ソ連はこれに抗議する目的で安全保障理事会をボイコットした。(119字)

・中国の国連代表権問題について触れる +4
・前年(1949年)に内戦で中華人民共和国が勝利 +1
・中華人民共和国が中国本土の支配を確立 +1
・中華民国が台湾に追いやられた +1
・ソ連の主張の内容 +2
・アメリカの主張の内容 +2
・アメリカとソ連が対立 +1
・ソ連が抗議、ボイコット +1
(10点満点、点数超過の場合1の位切り捨て)

【4】カニング。ラテンアメリカをイギリスの海外市場として確保するため。(27字)

・カニング +5
・イギリスの海外市場拡大、経済的進出、市場の確保いずれでも正解
 大意が合えば +5
(10点満点)

【5】元が北方の遊牧国家と中国の農耕・都市文明の双方を視野に入れ、両者を代表する国家となったことを意味した。(51字)

・大都が農耕社会、上都が遊牧社会にそれぞれ対応するものであることを見抜く +4
・大都と上都の移動が、遊牧・農耕社会の双方を視野に入れるものであったことを記述する +3
・元が遊牧・農耕社会を代表する国家となったことを記述する +3
(10点満点)

【6】宋代まで中国の貨幣は銅銭中心であったが、元では銀・交鈔が主に流通した。銅銭は中国で需要を失い、余剰分が日本に輸出された。(60字)

・元では銀・交鈔が流通していた +4
・宋代までの銅銭中心主義からの転換 +2
・銅銭が中国で需要を失う、余る +3
・余ったので大量に日本に輸出された +1
(10点満点)

【7】シャムが、ベトナムから西進するフランスと、ビルマから東進するイギリスとの緩衝地帯として機能したから。(50字)

・フランスとイギリスの緩衝地帯であった +4
・フランスはベトナム、インドシナから西進していた +3
・イギリスはビルマ、インドから東進していた +3

【8】アメリカへの対抗姿勢を示す意図。核実験を実施して核保有国としての力を誇示し、NATO軍事機構から脱退した。アメリカのベトナム政策を批判して中国を承認し、西ドイツとの関係改善を成し遂げた他、当時アメリカと協力関係にあったイギリスのEEC加盟を拒絶した。(120字)

・アメリカへ対抗する意図 +5
・核実験 +1
・核保有国としてフランスの力を示す +1
・NATO軍事機構からの脱退 +1
・アメリカのベトナム政策批判 +1
・中国の承認 +1
・西ドイツとの関係改善(難) +1
・ドイツ敵視の風潮打開(難) +1
・アメリカとイギリスが協力関係にあった +1
・イギリスのEEC加盟を拒否 +1

(10点満点、点数超過の場合1の位切り捨て)

【9】14世紀末にノルウェー・スウェーデン・デンマークの3国から結成された同君連合のカルマル連合は、デンマーク王女のマルグレーテを盟主としたため、アイスランドの宗主権もノルウェーからデンマークへと移行した。第二次世界大戦中にナチス=ドイツがデンマークを占領すると、アイスランドはデンマークの支配から脱却した。(150字)

・カルマル連合の結成 +3
・ノルウェー・スウェーデン・デンマーク +1
・デンマークが盟主 +1
・マルグレーテ +1
・宗主権がデンマークに移行 +2
・第二次世界大戦 +2
・ナチス=ドイツのデンマーク占領 +1
・デンマークによるアイスランド支配の終結 +1

(10点満点、点数超過の場合1の位切り捨て)

【10】羅針盤は遠洋航海を可能にし、大航海時代の出現を促した。火薬を使用した火器の普及は騎士中心の戦術を後退させ、鉄砲で武装した歩兵中心の戦術を主流にした。活版印刷は書物の制作を従来の写本より迅速・安価なものとし、新たな知識や思想の普及に貢献した。(120字)

・羅針盤が遠洋航海を可能にした +1
・大航海時代の出現、ヨーロッパの海外進出を可能に +2
・火薬を使用した火器 +1
・火器の具体例(大砲、小銃) +1
・軍事革命 +1
・軍事革命の内容(騎士中心→歩兵中心) +2
・騎士の没落を招いた +1
・活版印刷は製紙法と共に広まった +1
・グーテンベルクの改良 +1
・書物の制作の迅速・安価化 +1
・従来の写本と対比 +1
・新たな思想、知識の普及に貢献 +2
・宗教改革で活躍 +1
(10点満点、点数超過の場合1の位切り捨て)


この記事が参加している募集

#世界史がすき

2,710件

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?