広島お好み焼き屋【皐月】の看板娘のリムは実は竜の姫巫女様でした! 第3話 目覚め? (17)
第3話 目覚め? (17)
「本当に二人の言う通りで、リムちゃん起きないね」と。
今度は竜の巫女であるリムのことを愚弄する言葉が耳へと微かに聞こえてきたような気がするから。
リムはムカムカと、自身を腹立たせ。
(うぎゃ、あああっ!)、
(ぎぁあああっ!)と自身の脳内で呻ると。
「だろう?」
「でしょう、理香ちゃん」と。
「あっ、ははは」
「わっ、ははは」
「えっ、へ、へへっ」と。
竜の姫巫女であるリムのことを侮る笑い声までもが。
リムの耳へと僅かに聞こえてくる。
まあ、こうなると流石にリムも、自身のお部屋で転寝……。
いつまでもリム自身が寝ぼけているわけにはいかないから。
リムは勢いよく──!
そう、リム自身が睡眠中に、枕がわりに使用していた机の上を。
〈ガシャン!〉と叩き──。
大きな音を立てつつ。
リム自身が座っていた椅子を勢い任せに後ろへと下げ、立ち上がれば。
自身の両手を上げ──。
リムの深い眠り。
安息の時間と妨げた者……。
嘲笑った者達へと威嚇──!
「うぎゃぁ~おっ! ぎゃぁ~おっ! ぎゃう! ぎゃう! ぎゃぁあああっ! 誰じゃっ! このリムの安らぎある眠りを妨げ! 目覚めさせようとする愚かな者、人間達は誰じゃぁ~?」と。
リムは不届き者達へと後先考えず。
先ずは罵声を吐き、吠えてやった。
でっ、その後は、嘲笑いが聞こえた方へと向け。
「ぐる、るるる」と呻り、威嚇をすれば。
リムの瞳にぼんやりと、三人の影が見えたから。
「そなた達は、そんなにわらわに食ろぅてもらいたいのかぁ~!」と。
リムは三人へと更に罵声を吐き。
「今から貴様ら三人のことを我が食ろぅてやるわ! わっ、はははっ」
リムは最後に、自分のことを侮る三人へと高笑いをおこない。
竜神化を始めようと試みると。
「きゃぁあああっ!」
リムの目の前で甲高い絶叫が放たれる。
それも何処かリムが聞き覚えのある絶叫と。
「リムちゃん、また寝起きが悪い」
「竜田って本当に寝起きが悪いよな」
「うん、だから、サチもリムちゃんのことを本気で起こすのは躊躇いがあると言うか? いや……」
「うん、俺も嫌だな、竜田のことを起こすのは。いつも、こいつ、こんな感じだから」と。
リムの聞き覚えのある声と言うか?
リムの親友であるさっちゃんと。
さっちゃんの幼馴染でクラスメイトの上ちゃんの声……。
それも、リムに対して苦笑いと、呆れた声音で、二人は呟くと。
「そうなの?」と。
絶叫の声の主であるクラスの委員長、理香ちゃんの動揺を隠せない声音が聞こえてきたと思うと。
〈トン!〉と。
リムは頭の頂点を軽くチョップされたから。
「痛い」と言葉を漏らせば。
「竜田、目が覚めたか?」と。
上ちゃんがケラケラと笑いながら告げてきたから。
「うん」とリムは頷くと。
「理香ちゃん、ごめんなさい。驚かしたみたいで」と。
リムは慌てて、自身の両手を合わせ──。
理香ちゃんに対して、リムは拝むように何度も謝罪をした。
「ごめんね、理香ちゃん」、
「ごめなさい」と。
ペコペコと頭を下げ謝り続けたよ。
リムが寝ぼけて、理香ちゃんへと威嚇──。
リムは呻りながら、理香ちゃんの身体をバラバラにして食らうとまで。
リムは荒々しく言ったと思う?
た、多分ね?
だってリムの周りにいるさっちゃんや上ちゃん、理香ちゃん以外のクラスメイト達が。
「わっ、ははは」
「あっ、ははは」
「うっ、ふふふ」と。
リムのことを高笑いしながら。
リムにことの成り行き、敬意を丁寧に教えてくれるから。
リムは本当に恥ずかしいのと。
学級委員長の理香ちゃんに対してリムは大変に悪いと思う。
だから平に、平に理香ちゃんへと謝罪をしたよ。
「うん、もう、謝らなくてもいいよ。リムちゃん。リムちゃんは可愛いから許してあげる」と。
理香ちゃんはリムへと告げると。
ニコリと満身の笑みを浮かべながら。
自身の碧眼の瞳を潤ませ始めるリムの頭を。
彼女は気にするなと、優しく撫でてくれた。
◇◇◇
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