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千円の価値

市場流通における青果業界に営業販売として20年以上身を置き、
国内の第一次産業発展の為、日々想う事を発信しています。

よく生産者の方々とお話をする機会が(コロナ前には)あったのですが、そこで私が行っていたのは、「千円の価値」の話をさせて頂いておりました。

生産者は生産者でありながらイチ消費者であるわけです。
私も営業販売として顧客に勧める担当者としては、数円でも高く販売していかなくてはならない身でありながらイチ消費者なわけです。

私「もしこの頂いた青果物がひとつ千円で売れたら最高ですね」

生産者「大金持ちになるな~w」

私「もしこの青果物がひとつ千円で売られていたら買いますか?」

生産者「買わないな、、、、」

私「ではいくら位なら買いますか?」

これは別にマウントをとりたいとかそんなつもりはなく、
一昔前では相場の軽く2~3倍の値段を言われるような今で言うパワハラのような事が日常茶飯事であった頃に、生産者の方から本音を聞き出す為に会話に取り入れていたコミュニケーションの一つなのですが

こんな会話をした時に生産者の方から

「資材がいくら、人件費がいくら、配送費、農協手数料他が、かかるからこれくらいで売れたら来年も作れるな~
でも、自分が買うならこれくらいかな~」
という内容が出てくれば

そこでその生産者の方々がこの青果物を作るのにかかる再生産コスト
そして消費者の目線を持っているかを確認するわけです。

もちろん場面やその場の雰囲気や話す相手にもよるので↑を使う時は要注意してください、、、。

 入社当時はバブル後の余韻を持った高齢の生産者の方々が多く、まだ携帯電話も普及し始めた頃でしたので、私のような情報、経験の少ない若輩者は、まともに会話をさせて頂く機会もなけりゃ、適度にあしらわれてばかりだったわけですが、だからこそ生産者の方と会話をさせて頂く少ない貴重な時間に、この消費者の目線を持ちながらも自分が作る青果物にかかるコストをしっかり認識している生産者でないと自分もその生産者の方の青果物を精一杯、販売努力していけないと内心思っていました。

当時がここで書けない程いろんなことが、めちゃくちゃだったという事もありますが、、、、

 もちろん、頂く青果物全てにおいて販売努力していたわけですが、長年に渡って商売する上では、なにより信頼関係ありきだと思っていましたし、それを測る上で、自分も含めた一般消費者の千円の感覚を同調できる相手を探す為、このようなコミュニケーションをとっておりました。

 ただ、毎回言うように国内の第一次産業というのは年々衰退の一途を辿っていると個人的には感じている中では、「対 食料」 という部分においては、この千円という感覚の底上げをしていかなくてはならないと思っております。

 昨年、国産たまねぎが大高騰し1ネットあたり高い時期で598円や698円で売られていたことにもわかるように、極論ですが、国産の食料が高くて買えないなんてことが、すぐそこまで来ているように思っています。

もちろん、給料が上がらないのに食費なんてお金をかけられない!
なんて方もいると思います。実際私もそうです。

 でも、食費にお金をかけず、安い輸入品に頼れば頼るほど、その輸入品
ですらもう国産を上回るような価格になってきているのは事実です。

世界でもトップクラスの安心安全な国内青果物を守る為にほんの少し
「食べ物」にお金をかける

というより食べることを楽しむといった文化をより一層
「家庭内」で根付かせていかなくてはいけません。

でも家庭内で青果物を調理する方が、栄養価のある食べ物たくさん食べれて結果、↑の方が圧倒的にコスパが良いんですけどね。






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