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市場流通は悪

市場流通における青果業界に営業販売として20年以上身を置き、国内の第一次産業発展の為、日々想う事を発信しています。

ここ近年、青果業界において産直ECなる取引が業界に新しい風を吹き込んでいますね。

個人的には、この取引、素晴らしいと感じています。
なによりこの国内における青果業界に数ある課題を解決する為にスピード感をもちながら、若い世代が多くの施策を行っている事が素敵だなと感じています。

 なんとなく若い世代は、youtuber的なビジネスやインフルエンサー的な広告ビジネスに飛び込んでいるのかなとおもいきや、調べれば調べる程、意外に若い世代が国内の第一次産業の発展を着目してくれている。

やっぱりこの日本という国は素敵な国だなとうれしく想っている今日この頃です、、、、、が

 その反面で、古い体質で昔ながらの習慣がまだまだ残る市場流通における青果業界は、非難をあびる事が多いのも事実です。

国内自給率が低下を極めるのは市場流通のせいだとか、
生産者が農業を続けられないのは市場流通のせいだとか、、、

確かに

生産者→ JA → 市場荷受会社 → 仲卸 → スーパー →消費者

この流れでは中間業者が多すぎて生産者にお金が残らないじゃないか

という事から様々な批判を受ける事は多し、そのような情報を載せる媒体も多い。

 でも、皆さんに知っていただきたいのは、市場も仲卸もスーパーも決して大幅な利益はとれてないという事です。むしろ赤字経営が全国の市場の約3~4割になってきています。

というのも、今年もそうですが、私の感覚で言えばこの10年間、やはり国内の気象状況は間違いなく大幅な変化を起こしています。

 夏場の高温、冬の暖冬、春秋も気候が安定しない中、生産者の方は自分の生活を守るため、また国内の消費者に青果物を届ける為、必死に作物を作ってくれています。

しかし、厳選された青果物であっても市場に到着した時点での痛み、腐敗等は年々増しているのが現状です。

そこから仲卸→スーパーに行く中でさらに品質劣化が進み、返品等という事は日常茶飯事になってきているのです。

ではその腐敗等の返品された金額処理をどこが負担しているか

  それは市場荷受会社と仲卸とスーパーで負担しているのが現状です。

 例えば100ケース頂いた商品の内50ケースが、市場到着時点で腐敗により販売不能となった場合、市場荷受会社が産地に全部返品して0円でした、なんてことはありません。

 最低限、今後の継続した出荷の為、生産者さんに、配送費+DB代資材代を込めた最低価格(大体ケースあたり500円位)は会社の負担で返すようにする所がほとんどですし、仲卸やスーパーだって1~2日で腐敗を起こした商品にいくらか代金を返す。このような事が全国の市場流通では行われているのです。厳密に言えば、腐敗の起きている商品にお金をつけ、さらに廃棄処理費用+廃棄場への配送費等上乗せしているのが現状です。

 これは市場に継続した出荷をしていただき、またここ数年同じ青果物を作る事すら困難になってきている生産者の方々への敬意と感謝をもって全国各地の市場でとりおこなわれている事です。

また、良くスーパー量販店で、売っている商品が安すぎる!!こんな売価で中間業者に利益をとられたら生産者にはお金が残らないではないか!!!!

なんて事もざらに媒体でとりあげられますが、

これも市場荷受会社と仲卸とスーパーの3社で分担することが行われているのです。
(全国的に見ればしてないところもまだ多いかもしれませんが、、)

例えばよくある記事では

100円でスーパーで販売する商品に対しスーパーの利益が20%
残り80円に対し仲卸の利益が20%
残り64円に対し市場荷受会社手数料8% 
残りの58円に対しJA手数料とって、、、、、、

なんて、実際流通においては理想中の理想中の理想中の、、、、(×2000)

理想です。

365日商売やって、こんな日は10日もないですから、、、

ではどうやって特売商品が店頭に並ぶかというと、
100円に対し、生産者に75円返さないといけないとなると
残りの25円を市場荷受と仲卸とスーパーで分けてこの商品を特売しましょうとなりますし、相場が高騰したタイミングでは
原価160円のものを100円で特売打ちたいとなれば差額60円を3社分割で赤字を受け持ちつつとり行っているのです。

(↑ 特売赤字の仕組みについてはまた後日)

こうやって国内の青果物は安心安全でかつ中間業者の負担額ありきでなるべく生産者の負担が減るような仕組みが市場流通では行われているのです。

この現実を報道せず、さも全ての市場流通における関係業者が
生産者を食い物にする悪というような表現をされるのは、どうかと思います。もちろん、市場流通における長所、短所はありますし、国内全ての生産者を支えれているかというとそうではないのが現実ですし、そこを変えていこうとする産直ECの出現は素晴らしいと思っています。

どうかこの第一次産業がますます発展し、なにより、自分達の子供たちの世代に食料危機というような世界だけは避けなければいけない。

市場流通と産直ECサイト、ともに長所を生かしながら国内がより素晴らしい世界になればと思います





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