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「終わりがあるから素晴らしい」

人生には、様々な苦しみがある。

いわゆる「生老病死」は「四苦」と言って、人間の大きな苦しみの代表的なものだ。

生きる苦しみ、老いていく苦しみ、病を得る苦しみ、そして、死ぬ苦しみ。

人間はどうしてこんなにも苦しい「生」というものを迫られるのだろうか。

昔、ある人物に言われた言葉がある。

「ゆうちゃん、人生のほとんどは苦しみだよ。人間の身体も、財産も、借り物なんだ。いつかはこの大地に返さなくてはいけない」

そのときは意味がよくわからなかったが、今になって、その言葉の意味がだんだんわかってきた。

確かにこの身体も、自分のものではない。

大いなる存在から、いっとき借りているだけのものだし、この身体でさえ自分のものではないとしたら、財産や地位、名声なども借り物であることは容易に想像がつく。

いつかは返さなければならない。

私たちが最期を迎えるそのときに、向こうの世界には何も持っていけない。

いつか私たちは、人生において手に入れてきたすべてを失うことになるのだ。

老いることも、病を得ることも、悲しく、辛いことだ。

人間は余りにも無力で、小さな存在である。

しかし、だからこそ人間は素晴らしい存在なのだとも言える。

美しい陶器があれほど珍重されるのは、その脆さゆえである。

桜があのように皆に感動を与え、愛されるのは、その儚さゆえであろう。

終わりがあるから尊く、美しいのである。

私たちは、脆く、儚い存在だが、それゆえに素晴らしい。

この限られた生を、せめて精一杯生きようではないか。

https://youtu.be/Mm6dF9gIo0k

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