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ざっくり知りたい。インボイス概要/今知っておきたいインボイス制度②

ようやく完成したインボイス制度解説のセミナー資料。noteには全6回に分けて書いておこうと思います。

前回は「消費税の基本的な仕組み」の話でした。最初から見たい方はこちらへ。


インボイスとはなにか?

インボイスと言われると、なにか特殊な新しいものが必要なのかな?と思ってしまいますね。私もはじめて聞いた時、今までのものとガラッと変わってしまうのかなと思いました。

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インボイスとは、「売手が買手に対し、正確な適用税率や消費税額を伝えるための手段」であり、「登録番号や消費税額などの一定の事項が記載
された書類や電子データ」ということです。

用語の説明は大事なので、できるだけそのまま書きましたが、結局何なの?何か新しい書類をつくるの?

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「インボイス」と呼ぶ請求書は結局、書類だけの話でいえば今までの請求書にさらに「事業者の登録番号」などを追加したものになります。この記載事項に関しては別途④で説明しますが、イメージは下記のような請求書などがインボイスになります。

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インボイス制度は仕入税額控除の要件が変わること

前回の再掲になりますが、このインボイスと言われる書類の保存が消費税の仕入税額控除の要件になる、というのが令和5年10月1日から。

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消費税納めてないから、簡易課税だから関係ない、とはいかないのがインボイス制度です。直接は関係なくても、消費者のみしか対象としていない事業者以外のすべての事業者が知っておきたい制度。

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仕入税額控除とは、すこし難しい言葉かもしれません。

理論的には、消費税は消費者がお店で支払った消費税を各事業者が税務署に納税することによって納税されていく税金です。

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お店で何かモノを買って1,000円払った消費税は、そのお店が原材料等の購入で払った消費税を引いた差額を税務署に納めます。この場合は1,000円引く700円で300円の納税。

またその次の原材料等を販売した真ん中の会社もまた、その商品の材料等を購入した際に払った消費税を引いて納税します。真ん中の会社は700円消費税を預かって300円消費税を払ったので、400円を納税します。

最後に一番左の会社は原材料をどこからも仕入れていなければ預かった消費税300円を納税。

このように預かった消費税と支払った消費税の差額を各会社が納税していくことによって、消費者が負担した1000円の消費税を納税していくのが、間接税と言われる消費税の仕組みです。理論上は。

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さきほどインボイス制度は、令和5年からは今までの請求書などではなく「インボイス」と言われる記載事項を満たした請求書などを保存しなければ、この「差し引く消費税」を認めませんという制度です。

そうすると、さきほどの真ん中の会社でいくと、仕入れ業者からインボイスがもらえなければ、本来1,000円-700円=300円の納税で済んでいたものが、1,000円の消費税から700円を差し引くことができず、1,000円を納税しなければならないこととなります。

※制度開始から6年は一定割合を控除できる経過措置はありますが、これまたややこしくなりそう。


インボイスを発行できる事業者は課税事業者のみ

じゃあみんなインボイスを出したらいいじゃないか、というとそうはいかないのが大変なところ。

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インボイスを発行するためには、税務署長に登録申請をして登録をしなければなりません。この登録申請の受付が制度開始2年前の令和3年10月1日から始まります。いよいよ来月ですね!

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そして消費税の「課税事業者」でなければ、インボイスを発行する事業者に登録することができません。免税事業者はどうすればいいのか、ということは次回の記事でご説明します。

登録申請自体は簡単で、e-Taxにより申請と紙による申請ができます。通知まではe-Taxは早く紙では遅くなるようで、2週間~1か月程度が予想されています。

そして申請日ではなく、通知される登録年月日以降にインボイスを交付できるようになります。

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この登録申請は、10月1日からスタートします。

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既に事業をしている人でインボイス発行事業者の登録をしようと考えている人は、インボイス制度がスタートする令和5年10月1日に登録されていたいですよね。

その場合、困難な事情がある場合を除き、登録申請はインボイス制度開始半年前の令和5年3月31日までに済ませておく必要があるということになっています。

この点、どのように実務上対応がなされるかは分かりませんが、基本的にはきちんと令和5年3月31日までに申請するようにしましょう。

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おわりに

今回はいよいよ登録申請が開始されるインボイス制度について、ざっくりとした概要と申請スケジュールについてお知らせしました。

どうして仕入税額控除の要件が変わるだけで大変なの?と思われるかもしれません。

そのあたりについても少しずつ説明していきますが、次回はインボイス制度が導入された場合に問題を抱える「免税事業者」について説明していきたいと思います。


【今知っておきたいインボイス制度①~⑥】
インボイスを知るその前に。消費税の基本的な仕組み
②ざっくり知りたい。インボイス概要 ※今ココ!
免税事業者がインボイス制度開始までに考えておくこと
何をどう書く?インボイスの記載事項
売手側から見るインボイス制度理解のポイント
買手側から見るインボイス制度理解のポイント

※令和3年9月現在の法令・通知情報であり、「適格請求書等保存方式の概要 -インボイス制度の理解のために-(パンフレット)(令和3年7月)」の内容に基づき一般にわかりやすく解説したものです。
正確な情報はこちらをご参照ください。



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