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ロゴの作り方「47 FARMERS PROJECT」編

こんにちは。
グラフィックデザイナーの安村シン(@shinworks_net)です。

吉村知樹さんの主催する農産物オンラインサロン
#農ブラ部」の「47 FARMERS PROJECT」のロゴをデザインさせて頂きました。

こちらは『食べものにとって、心地よい居場所をつくる』ための企画を、
1年間で47個実行する!というもので、

その47個のプロジェクトは、商品企画・ご当地イベント・web作りなど多様なジャンルへと展開していくという構想をされています。

従来の「いわゆる農産」のイメージとは大きく異なる、
まったく新しい「農産物」のプロジェクト。


そのロゴデザインの制作プロセスを記事にまとめました。

1.ZOOM(オンラインテレビ会議)によるヒアリング

ロゴ制作のご依頼を頂いてから、まず初めにしたことは「ヒアリング」です。今回はオンラインのテレビ会議「ZOOM」を使用して、ロゴ制作に必要なことをお聞きしました。

ヒアリングはロゴ制作にとって一番大切なステップだと考えています。
ここをおろそかにすると、「なんとなくこんな感じ」といった
雰囲気だけで作った薄っぺらいモノになってしまいます。

ロゴデザインは、
企業・団体やプロジェクト、企画などの「名称」に
カタチを与える、「顔」となる役割も果たすものですが、
ヒアリングにより、団体について・プロジェクトについて
深く知るほど、理念や特徴をカタチに落とし込むことが出来て
個性を反映した、唯一無二の「顔」となるデザインへとなって行きます。

今回は、スムーズにビデオ会議を進行するために
事前に書面にてヒアリングしたい内容をお知らせしました。

【書面でお送りした、ヒアリング内容】
●ロゴデザインの概要
・なぜロゴを作るのか
・なぜ団体(農ブラ部)を立ち上げたのか
・団体の目標はなにか?

●デザインの方向性
・団体(農ブラ部)の特長
・「どう感じて欲しい」か
・既存ロゴの中で「方向性が近い」デザインはどんなものか?

これらを元にして、オンラインのテレビ会議システム「ZOOM」を使用してヒアリングを行い、デザインの方向性が具体的に決定するところまでスムーズに進むことができました。

マルの中に収まること
幾何学的な模様で何かを表すこと
・色は既にスタートしたプロジェクトLANDFARMさんのイメージを汲んだものにしたい

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ヒアリングの結果、かなり具体的に方向性が見えてきました。

完成形のイメージが見えたことも一つの成果ですが、
ロゴに込めるべき、大きなポイントに感じたことも2点、見つかりました。
47 FARMERS PROJECTの特長が「新しい団体による、農産物の新しいプロジェクト」であること。

そして新しい存在であることを伝えるため
ロゴを見た人が、ある種「なんだこれは!」と感じるような、
それまでの農産物の文脈から外れたデザインで、存在感を打ち出すこと。

この2点が、デザインを掘り下げるために重要なキーワードとなりました。


2.デザインパターンの検証(計114案)

それから制作に取り掛かること、3週間弱。

幾何学模様のデザインは、三角や六角形なども検証しましたが、カタチに余計な意味が出すぎてしまうために
より意味合いがフラットな四角いブロックを選択しました。

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ブロックの大きさ、数。
ロゴ文字の書体、サイズ、入れる位置。
円のなかのカラーバランス

1つ1つの条件を少しずつ替えながら、
より「イメージに近い」ものを探しているうちに、
ロゴデザインパターンはなんと114案にも及びました。

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デザインの制作画面は、もうパンパンです。
(空きスペースを探すのに苦労しました)

色バランスについても、
・青が多すぎると、暖色との対比で「暗い印象」になる
・赤が強すぎると痛そう
など、少しの変化で印象が随分変わってしまうため
一番ちょうどいい塩梅を、たくさん作るなかで検証していきました。


3.初回デザインのご提案

そして検証の末、初回のデザイン提案へと至ります。

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1つめ、A案は「光」をテーマにしたロゴデザイン。

○の中に「47 FARMERS PROJECT」の文字が収まるよう、
7×7マスの四角を作成。
そのなかに、うっすらと重なるたくさんのマルは「光」を表します。
光とは、これまで地方で注目されずにいた生産者・農産物に光を当てることを意味します。

食べものと人が一番嬉しく出会う瞬間や場所を作る」というプロジェクトの目的に沿って、その瞬間や場所を「ここにあるよ」と示してくれるモチーフとして「スポットライト」を選んだロゴです。


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2つめ、B案は「太陽・時間」をテーマにしたデザイン。

農産物を作るものは何か、と考えた時
それは「時間」じゃないか、と思い至りました。

多くの仕事は、就業時間内に生み出されます。
朝起きて、仕事場についてから終わるまで、
その間に生み出されたものが成果物となります。

が、農産物は、作業をしている間もモチロンですが
寝ている間や、手をかけていない間にもどんどん育って行きます。

「24時間365日、時間の流れこそが農産物を作る。」

そういった発想からロゴを生み出せば、
これまでの「農産=大地・自然」といったイメージから離れた
「あたらしい農産物」を代表する
ことが出来るのではないか。

そんな提案を込めたロゴデザイン案です。


4.フィードバックを元に、再度ブラッシュアップ

上記の2案を提案し、
B案の方向に決定しました。

「時間」の概念にとくに好評を頂き、
その「時間」の表現をより強めることはできないか、
また文字の違うパターンも何かあれば見てみたい、というご相談を受けました。

そこから、またしても検証に突入します。
「時間」の概念を表現するため、
カタチよりも意味について深掘りしました。

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(アートボード外にメモが転がっていたりします)


5.ロゴデザインの再提案へ


その検証の結果、たどり着いたのがこちらの3案です。

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初回の提案時には、
「日が暮れる・日が昇るって、時間そのものだ」という考えから始まったロゴですが、ふとある映像が浮かんできました。

カメラのシャッターを開きっぱなしにすると、
星の軌跡がラインになって現れたり。
一枚の絵に複数の撮影を重ねる「多重露光」の作品には、
同時に複数の時間が収められていたり。

「光の移動」には、「時間」が現れる。
そう考え、「光の移動」をモチーフに加えての
ブラッシュアップをする事にしました。

制作した3案を提案した所、B-1案にて
吉村さんより決定のご連絡を頂きました。

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こちらは、ロゴとしての機能を考えた時に
「わかりやすさを重視したものがあったら、どうだなるろう」と考え、47FARMERS PROJECTの「F」を取り入れてたものです。

47ではなく「F」を選んだのは、初回ヒアリングの段階で
「もし何かの情報を立たせる(強調する)なら47ではない」
という事を伺っていたためです。
47という数字には、各都道府県のことを指す意味よりも、もっと大きく
「全国」や「沢山のプロジェクト」といった意味が込められています。

5.そして納品へ

ロゴ案が決定すると、最後に納品に向けてデータの最終整理を行います。
これでもか、というくらい拡大してみて、0.01mm単位でもデータにズレがないか。作り途中で生まれてしまう、余計なデータが残っていたりしないか。
「入稿データ制作」と呼ばれるステップです。

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こんな風に、ロゴの骨組みだけを表示したりして、データの整理を進めました。(こちら、線と線がズレて重なって、太くなってる部分が…)

また、先の画像では紹介しませんでしたが
マークの横に文字がくるパターンや、文字だけのものなど
形にバリエーションがあったほうが、ずっと使いやすいものとなります。
最終的に納品したデータは5種類です。

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吉村さんにも、ロゴのコンセプトが気に入って頂けて、
またデザインも「かっこよい」と好評を頂きました!

「農ブラ部」そして「47 FARMERS PROJECT」に対する
熱い思いがあったからこそ、
よいデザインに着地することが出来ました。

吉村さん、ご依頼ありがとうございました!

あとがき

以上、ロゴデザインの作り方「47 FARMERS PROJECT」編でした。

いかがでしたか?

ロゴ1つに、
デザイナーは沢山のことを考えて
悩み、調べ、検証しながら

みなさま、ロゴ制作のご依頼、随時募集しております!
(最後までお読み頂き、ありがとうございました!)

サポート頂いた分は、ビール代として、ひとり打ち上げに有効活用させて頂きます。 がんばれます。ありがとうございます!