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英語と子供と辞書とランチ (その3)

英語学習で避けては通れないのが辞書を引くということだ。ここで辞書に対する考えや方針を整理しておきたい。

私は携帯の辞書アプリを使っていて、携帯のアプリで一番使うものだと思う。使っている辞書は3つで、Wisdom (英和と和英)、Oxford Dictionary of English(英英)と英辞郎(英和と和英)である。よく使うのがWisdomとOxfordで、Wisdomに載っていない単語を英辞郎で引いている。

「辞書は英和はだめ、英英を使わないと。英語を英語で覚えないといつまでたっても英語脳が作られない。」という高尚な意見を昔からよく聞いた。学生時代に「Longmanの英英辞書が良い」という噂に流され、Longmanの辞書を買った。英英辞書を使っているとCoolで英語ができるような気分になったが、すぐに挫折して英和にもどった。

英和か英英か。現在私は面倒くさいが初見の単語はどっちも引いている。まず英和を使うのは意味を理解しやすいからだ。和訳が確立されていて、かつ自分の頭の中に日本語でイメージが作り上げられている単語は英和の方が意味が頭に入りやすい。例えば、Dictionaryを英英で引くと「a book or electric resource that lists the words of a language and gives their meaning, or gives the equivalent,,,,」となっていて何のことなのかイメージするのに時間がかかるが、英和で引けは「辞書」ですぐに頭にイメージができる。こういう単語は英和の方が効率が良いと思うし、英英を引く必要がないので、引かない。

次に英英を使うケースについて。英英は言源をよりしっかりと書いてあるものが良い。和英でも書いてあるが、語源がカバーされている単語の量が圧倒的に少ない。新しい単語はまずは英和で引いてみて、意味がいまいちしっくりこない(自分の頭の中にその言葉の概念がまだない)、もしくは覚える手掛かりが見当たらないときに使っている。

これは英英と英和の辞書の前提、もしくは目的の違いによる。英和辞書の前提はその言葉の概念をすでに理解していることにある。前述の辞書の場合、「あ、Dictionaryね。それはあの辞書のことですよ」とすでに辞書の概念が分かっているひとにDictionaryと辞書という言葉のむすびつきをシンプルに与えてくれる。そういう前提、目的のものなのだ。これは効率的だ。

他方、英英の前提はそもそもDictionaryも辞書もわからない(あの辞書という概念がまだ頭の中にない)人向けであるということだ。よって、Dictionaryの意味を英英で引くと、辞書というものを丁寧に描写して辞書の概念を教えようとしてくれる。その一環として概念の成り立ちを細かく説明してくれるのである。

例えば「Tantalize」を英和で引くと「じらす、じらして苦しめる」と書いてある。語源の記載はない。まあ意味は分からないではないが、なんかぴったりの日本語訳はなさそうだ。また「Tantalize」と「じらす」という日本語を結ぶつける手掛かりがないので覚えにくそうと感じる。

これを英英で引くと、Tantalizeとは「torment or tease with the sight or promise of something that is unobtainable」と意味が書いてあり、少し場面がイメージできる。さらに英英を読んでいくとギリシャ神話のTantalusからこの単語ができていると語源が書いてある。Tantalusは不死なのだか罪を犯して、その罰として果物と水が手の届くところあるが、いざ取ろうとすると取れないという苦痛をうけている。不死なので死なないのだが、果物と水が永遠にお預けという状態にあるのだ。Tantalusがお預けの責め苦を受けている姿がイメージできれば、10回単純に書くよりも脳に刻み込まれる。「あ、お前Tantalusってない?」みたいなところからTantalizeという単語ができたのだろうなぁと今と変わらない人々のやり取りもも想像できて、一つの単語であまりある刺激を脳に与えてくれる。

英和はダサくて、英英がかっこいいのではない。自分の頭の中にその言葉の概念があるのかを問いながら、英和、英英を使い分けるのが良いと思う。とはいえ、44歳の脳にとって新しいことを記憶するというのは本当に難しい。ドラえもんの暗記パンを今ほど欲しいと思ったことはない。「辞書を引く」という行為が英語を勉強する時間に占める割合の多くを占める以上、ここでも戦略・方針を立て、少しでも効率的に記憶できるようにしておくのが良いと思う。Longmanの英英辞書はかっこいいが、それだけでは効率的に英語を上達させることはできないのだ。次回はランチの意義について書いてみたい。


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