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Issue #09 | 不登校

地域・社会の課題を考える「Issue」。

今回のテーマは、「不登校」です。


2022年10月27日。多くのメディアに『不登校』の文言が登場しました。

<教育新聞>
【不登校】小中24万人で最多、9年連続増加 コロナ影響か
<Yahoo!ニュース>
小中の不登校が急増、24万人 コロナ禍、いじめも最多61万件
<読売新聞オンライン>
小中学生の不登校、過去最多の24万4940人…コロナ拡大で「登校意欲わきにくい状況」

その背景には、同日に文部科学省が公表した「令和3年度 児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査」があります。

同調査によると、令和3年度の小中学生不登校児童生徒は、24万4,940人(小学生:8万1,498人/中学生:16万3,442人)と総数、前年度からの増加率とも過去最大の結果に。

出典:令和3年度 児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査(文部科学省)


コロナ禍が一つの要因に挙げられてはいますが、不登校児童生徒数の推移をみるとコロナ禍前の2012年頃から逓増しており、コロナ禍のみで片付けられない背景があることが窺えます。

当事者の子どものほか、学校・社会(地域)・家庭と様々なステークホルダーが存在する『不登校』について、それぞれの実態から見ていきたいと思います。


当事者の実態 | 子ども

子どもたちは、なぜ『不登校』となるのか?
先述の「令和3年度 児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査」によると、不登校の要因で最も多い回答が「無気力、不安」で49.7%。『不登校』と絡めて問題が指摘される「いじめ」は0.2%、「家庭内の不和」は1.7%との結果でした。


ステークホルダーの実態#01 | 学校

『不登校』の子どもたちが増える中、学校現場の対応のあり方が問われています。文部科学省では「チーム学校」を掲げ、教員だけでなく多様な専門性を持つスタッフを配置し、子どもたちの支援を推進。これら専門スタッフとしては、心理の専門家である「スクールカウンセラー」や福祉の専門家である「スクールソーシャルワーカー」の存在があります。


ステークホルダーの実態#02 | 家庭(親)

『不登校』は子どもだけの話ではありません。限られたコミュニティの中で暮らしている子どもにとって、家庭は大切な居場所です。したがって、親としての対応のあり方も大きな影響を持つわけです。“無理をして学校に行かなくてもいい”と思いつつ、子どもの将来の不安や学校・社会の目もあり親自身も追い詰められてしまうケースもあるとのこと。こうした現状に対し、親を支える「親の会」の活動が各地で行われています。


子どものための“多様な学びの選択肢”とは?

2016年に成立した「教育機会確保法」。この法律の成立により、不登校の子どもに対する学校以外の多様な学びの場を保障することが国と自治体の責務となりました。不登校の子どもの多様な学びの場としては、教育支援センターや不登校特例校、通信制高校といった公的な場。フリースクールといった民間の場の存在があります。また、学びの選択肢という観点では、2019年に文部科学省は、ICT等を活用した自宅学習を出席扱い要件とできるとする通知((別記2)不登校児童生徒が自宅においてICT等を活用した学習活動を行った場合の指導要録上の出欠の取扱いについて)を出しています。



【所見 -あり方を考える-】

過去8回の「Issue」シリーズでは、いずれのテーマも社会の課題であるという視点でピックアップしてきましたが、今回のテーマ『不登校』については、あえて事象としてのみ取り上げ、その事象に対する問題としての指摘は避けてきました。それは、『不登校』を問題として見るのは、国や学校といった社会の側であって当事者である子どもたちの気持ちが抜けているのではという違和感を感じていたからです。
(とはいえ、子どもたちの気持ちがどうであろうと、学校というルートを経由しないと実際問題として社会での生きづらさに繋がってしまうという社会構造的課題はあるわけですが。。)

『不登校』の子どもたちの増加をめぐっては、場の不足・支援体制の不足が言われますが、果たしてそうなのでしょうか?

学校に配置されている、スクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカー。
家庭(親)を支える、親の会。
多様な学びの選択肢として設置・運営されている、教育支援センターや不登校特例校、通信制高校、フリースクール。などなど。
官民の努力によって、多くの場・支援体制が構築されてきたように見えます。

『不登校』の子どもたちの増加の本質は、
不登校の要因としての子どもたちの答え「無気力、不安」に現れているのではないかなと。

活気がない、未来が読めない、不確実、混沌…
失われた30年が創り出した社会の雰囲気を感受性豊かな子どもたちも大人以上に感じ取っている気がするというわけです。

子どもにとって、“ガッコウ”とは何か?/“マナビ”とは何か?
こうした根本的な定義をあらためて考え直すタイミングなのかもしれません。


個人としての想いとしては、

“ガッコウ”や“マナビ”には、「子どもの可能性を最大化するためのもの」であるという基本理念があって欲しいなと思っています。

また、子どもたちの視点から考えるならば、“ガッコウ”や“マナビ”の先には、「ワクワクできる未来」があって欲しい。「ワクワクできる未来」を描くために自らが心のエンジンを駆動させ “ガッコウ”や“マナビ”に向き合って行けたら。

ーそんな、子どもたちにワクワクの種を提供できる1人の大人になれたらと。



<参考文献>

▷リディラバジャーナル
・intro 【不登校】「学校に行くのがあたり前」を問い直す
・no.1 なぜ不登校の子どもが増えているのか
・no.3 「我が子が不登校になったら…」不登校の子どもの親が直面する困難
・no.5 子どもの困難を早期発見するために学校ができること
・no.6 誰もが不登校の子どものサポーターに
・no.11 リディラバ安部が語る「不登校」

▷文部科学省
・令和3年度 児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査
https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/seitoshidou/1302902.htm

▷教育新聞(2022/10/27)
【不登校】小中24万人で最多、9年連続増加 コロナ影響かhttps://www.kyobun.co.jp/news/20221027_05/

▷Yahoo!ニュース(2022/10/27)
小中の不登校が急増、24万人 コロナ禍、いじめも最多61万件https://news.yahoo.co.jp/articles/e7885d9b6e7959ac361181ca31ab3f9da533b5cb

▷読売新聞オンライン(2022/10/27)
小中学生の不登校、過去最多の24万4940人…コロナ拡大で「登校意欲わきにくい状況」
https://www.yomiuri.co.jp/national/20221027-OYT1T50118/

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