相談に乗るときはアドバイスしちゃダメ、答えを言っちゃダメ

結婚したてのころ。YouMeさんから相談があるというので話をふんふんと聞き、意見を述べていたら、YouMeさんがどんどん不機嫌な顔に。「ちょっと待って」と言われ、しばらく黙って待っていた。するとYouMeさんは私に向き合い、次のように話した。

「(一般化しちゃいけないだろうけれど)女の人はね、答えはもう出てるの、ただ話を聞いてほしいだけなの。あなたの言うことくらい、みんな分かっているの。ただ確認のため、話を聞いてほしいだけなの」と言われ、私は目からウロコが落ちた。ええ!そうだったの?!

確かにYouMeさんは私と違って最も適切な解答を即時に出す能力にたけている。私には飛躍しすぎて理解できないので、なぜ現状からその答えが?と尋ね、YouMeさんがウンウン苦しみながら、私に理解できるよう、なぜその解答に至ったか、論理的に筋道立てて解説してくれることしばしば。

そんなに賢いYouMeさんが、私に相談するといったって、私が考えそうなことはすでに分かっているに決まっている。なのに相談するということは、ただ自分だけだと不安だから、話を聞いて、自分で自分の考えに納得したいから。それに気がついて、私の目からウロコが剥がれ落ちた。

ちょいとふざけたマンガだけれど、なるほど、と思うところもあって。これは男女逆のパターンもあるとは思うのだけれど、女性は直観に優れ、男性が考えそうな解答はすべて網羅済みのことが多い。だから男性が偉そうに「それはこうしたらいいんだよ」というアドバイスは余計。
https://yakb.net/man/128.html

でも、相談に乗る際は、これは男女問わず、その人の性格を問わず、アドバイスしようとするより「聞く」、「訊く」がよい、ということに、YouMeさんの指摘で気づかされた。以後、相談に乗ってほしいといわれたときはアドバイスしたり答えを言おうとしたりせず、「聞く」、「訊く」に徹してみた。

相手の話をふんふんと「聞く」。分からない部分があったら「ここはどういうこと?」と「訊く」。すると、こちらが何かアドバイスしたりしなくても相手は思考が深まり、明瞭になり、自分で答えを見つけていくことに気がついた。

なんだ、相談事って、答えを指し示す必要ないんだ。アドバイスする必要ないんだ。ひたすら話を「聞く」、疑問点や分からないことがあったら「訊く」ことで明瞭にしてもらう。ただそれだけで、相談事は解決することを知った。YouMeさんに教えてもらったようなもの。

これは全員ではないと思うのだけれど、どうも男性に少なからぬ傾向として「教えたがる」があるように思う。他方、女性はすでに答えが心の中で出ていても「聞いてほしい」タイプがちょっと多い気がする。そしてこの二つのタイプが話し合うと。
私がYouMeさんの機嫌を悪くしたのと同じ結果になる。

もし身に覚えのある男性がいたら、まずは伴侶の知性、直観の確かさを信頼し、自分がアドバイスしたり答えを教えようなどという不遜な考えを捨て(早い話、自分は賢いというウソを信じないようにして)、相手の話を「聞く」、そして不明瞭なところを「訊く」に徹底したほうが良い結果が出るように思う。

相手の言葉を繰り返すというのは、意外な効果があって。自分の言葉だと気づかなかったことが、人から言われると、改めて思考が深まるということがある。だから、紹介したマンガのように相手の言葉を繰り返すというのは、決してバカにできない。かなり重要。

そしてそのうえで、「ここ、もうちょっと聞かせてくれる?」と、不明点を「訊く」ようにすれば、相手の思考を促し、深めることができ、盲点だったところも埋めることができる。アドバイスしなくても、答えなんか言わなくても、納得づくで思考を深めることができる。

他方、他人から言われた答え、アドバイスは「そんなことわかっているよ」とむかっ腹立つことが多い。たとえそれに気づかなかったとしても、相手が「どんなもんだ」と偉そうな顔をしそうだと思うと癪に触って、そのアイディアを断固として採用したくなくなる。答え、アドバイスはむしろ有害。

それよりは、「聞く」と「訊く」を徹底したほうが、相手は自分自身で思考を深めたという納得感があり、訊かれたのがきっかけではあっても、答えは自分でつかんだ、という納得感がある。だから、自分で導き出した答えには自信が湧き、納得があり、実行に移しやすくなる。

相談事に乗るときは、答えを言わないこと。アドバイスしようなんて厚かましいことはしないこと。ひたすら話を聞き、不明瞭なところは訊く。そうすることで相手の思考を促し、深め、自ら答えを導き出してもらう。それが相談の在り方なのだ、ということを、YouMeさんから教えてもらった次第。

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