「工夫に驚く」と「工夫をほめる」の違い・・・何に親バカになればよいのかの考察

(親バカになると子どもをダメにするのではないか、という意見に対し)
私は親バカ大賛成です。私、子どもの自慢しまくりですよ、ツイッターでも。ただし
・必ず「等身大」の子ども
・成績などの外面的なところはスルー(無視)
・工夫、継続、苦労を惜しまないこと、など、能動性がなければ実現しないことに驚く
ことにしています。世間体を意識した自慢をするのはNG。

成績とか結果・成果は、その子そのものではなく、その子の「外側」で起きたことなんですよ。その子に何かが起きたら実現が難しくなるリスクのあるもの。こんな「外側」で起きたことを親がほめたり自慢したりすると、子どもは不安になります。「次も同じ結果を出せるとは限らないのに」

その不安がしんどさを生み、しんどいから楽しくなくなり、成績を伸ばすための勉強や、結果や成果を出すための作業が楽しくなくなり、苦役に変わります。やがて続けられなくなり、成績も結果も成果も出せなくなっていきます。結局「楽しくない」からです。

「外側」をほめたり自慢したりすると、楽しくなくなります。
私は、子どもが楽しく何でも挑戦し続けてくれたらそれが一番、と考えています。「楽しく能動的に」に最高の価値を感じています。
その状態を子どもが続けられるよう親がアシストするには、工夫・努力・苦労に驚くことが最適かな、と考えています。

何とか克服しようと工夫すること、諦めずにものにしようと努力すること、苦労をいとわず取り組むこと、これらを「楽しんで」取り組めるなら、子どもは学習能力において最強の状態になります。楽しんでるから飽きない。飽きないからのめり込む。のめり込むからいつか解決し、ものにしてしまいます。

中でも「工夫に驚く」ことが一番大切だと考えています。失敗をものともせず、工夫を重ねる子は、必ずものにします。失敗からも学びます。成功しても別の道を探る「工夫」を重ねます。しゃぶり尽くすように「工夫」するから、その現象のスペシャリストになります。

しかも、別の分野に工夫のしがいを感じたら、さらに領域を広げていきます。このため、深くて広い知識と技能を身に着けていきます。工夫を楽しむことは、最強の学習姿勢だと考えています。こうした姿勢を子どもが身につけるのに、親ができるアシストが「工夫に驚く」だと考えています。

ここで気をつけたいのは、「工夫に驚く」のであって、「工夫をほめる」ではないことです。
美大で指導しておられる先生の話によると、「工夫をほめるとすっとその工夫を繰り返すようになり、進歩や変化がなくなる」のだそうです。これは芸術を志す人間にとっては致命的な状態です。

これに対し「工夫に驚く」の場合は、前に見た工夫を見せられてもそれはもはや工夫ではなく、繰り返しに過ぎません。だから驚きはありません。だから同じ工夫に私は驚きません。
子どもは直感的にそのことに気がつくようです。「驚かすためには新たな工夫に挑戦する必要がある」ことに。

だから、「工夫をほめる」と違って、「工夫に驚く」だと、子どもは新たな工夫を重ねて親を驚かそうとします。同じところにとどまろうとしなくなります。常に変化し、進化します。深く広く学ぶようになります。このように、「工夫をほめる」と「工夫に驚く」では結果が全く違ってしまうと考えています。

私はだから、子どもの工夫に驚いてばかりいます。ツイッターでも親バカ丸出しで「うちの子がこんな工夫をしました!」ってよく投稿しています。子どももその投稿を知っていて、「こんなもんじゃない、もっと面白い新しい工夫をしてみせる」と意気込むようです。

「工夫に驚く」はある意味、子どもが工夫しようとする「能動性に驚いている」とも言い換えられます。能動性は、その子の内面で起きていることです。成績や結果・成果のような「外側」ではなくて、「内側」です。こうした「内側」に「驚く」と、子どもはとても誇らしく感じるようです。それが楽しさを倍加し、能動性を高めるようです。

だから私は「工夫に驚く」を、特に推奨しているのだろう、と思います。そして「工夫に驚く」は、大いに親バカを発揮して世間様に「すごいことが起きました!」とお伝えしてよいと考えています。
というわけで、何に親バカになればよいかの考察でした。

具体的には「これ、よく思いついたねえ!どうやって思いついたの?」と驚き、不思議がる反応がよいかと。
「この工夫はすごいね!偉い!」みたいなのは「工夫をほめる」になるのでまずいです。それは工夫をほめてるようで、実際には結果をほめてるので「外側」を評価しています。

その工夫を思いついた内面のメカニズムに驚き、不思議がり、面白がるのがよいかと。するとこれは子どもの「内側」に着目していることになります。子どもは、自分の力だけではどうしようもない「外側」を親がスルーして、「内側」に着目しようとしていることに敏感に気づきます。

これが「僕(私)を見てくれている」という感覚になるようです。「工夫をほめる」ではなく「工夫に驚く」を推奨するのは、そうすることで自然と子どもの内面に着目することになり、子どもが安心して工夫し、挑戦し続けることになると考えているからです。

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