「全部自分で」と腹くくるからこそ感謝が生まれる

夫婦喧嘩の原因の一つに「それはお前の仕事だろ」がある気がする。オレはオレの分担をきちんとこなしている、だからお前はお前の分担をきちんとやれよ、と。でもこうした分担制度は、「公平か不公平か」ということがクローズアップされ、ケンカになりやすいような気がする。

私もYouMeさんも一人暮らしが長かったせいか、全部一人でこなすことが前提の生活をしてきたため、「え!掃除してくれるの?ありがとう!」「え!料理してくれるの?ありがとう!」と、本来自分が全部やらなきゃいけないことを相手がやってくれるので感謝しあう形になっている。

家事は実のところ、YouMeさんがほとんどすべてやってくれている。しかし本来ならなるべく私が全部やるべきところをYouMeさんがやってくれているということで、ずっと「あ、これやってくれてありがとう」と言っている。

私はたまにしか掃除とか料理とかしない。それでもYouMeさんは「あ、やってくれたの、ありがとう」と言ってくれる。私は私で「いや、こんなささやかなので申し訳ない、いつも全部やってくれてありがとう」と感謝。

本来なら私が主体で片付けなければならない仕事を、事情があってYouMeさんに頼むと、YouMeさんは「わかった!やっておくよ!」といつも快諾してくれる。本当にありがたい。逆にYouMeさんが頼み事をしてくれたら、喜んで引き受けるように心がけている。いつもやってくれているから。

YouMeさんと今も仲良くやっていけているのは、互いに「本来なら自分が全部しなければならないことを、相手が分担してくれている」という考え方を持てているからかもしれない。だからいつも感謝せずにいられないし、相手の頼み事は喜んで引き受ける。

私は料理がヘタ過ぎて、土日の朝食に食パンを焼くことと、昼食にインスタントラーメンを作ることくらいしか食事に関してはやっていない。実に申し訳ない。料理で貢献できない分、何かでYouMeさんに貢献できないかと考えているが、まあ、YouMeさんの貢献度が大きすぎ。私は頼りっぱなし。

「本来、家事はすべて自分が片付けなければならないこと」と、互いに考え、家事を取り合うくらいにすること。家事をやってくれたら感謝すること。もし相手がどうしてもできない事情が起きた場合、「いや、本来自分もやらなきゃいけないことだから」と喜んで、進んで引き受けること。

全部自分が引き受けるつもり、家事を取り合うくらいのつもりでいても、得意不得意があるので自然と分担が進みはする。しかし、その分担を固定化して考えず、チャンスがあれば全部自分がやるよ、と虎視眈々と狙うくらいでいたら、仲良く過ごせるんじゃないかな、という気がする。

こう言いながら、実のところ、YouMeさんがいつも仕事や面倒を引き受けてくれるので申し訳ない。いつも感謝するしかない。ありがとう。何かで返せないかといつも考える。そんな姿勢に自然になれたのは、YouMeさんのおかげだと思う。

これは夫婦に限らず、家族なら共通して持った方がよい意識のような気がする。一人暮らしなら全部やらなきゃいけなかったことを、誰かが分担してくれる。ありがとう。そしてもしチャンスがあれば自分がやるよ、と虎視眈々と狙う姿勢。それが家族円満の秘訣かもしれない。

実はこれは、職場でも言えるかもしれない。仕事をしないことで評判の人が。「これはお前の仕事だろ?」と誰が言っても動かず、みんな悪態ついたりしていた。
私は、良くも悪くも人に期待せず、自分で全部やる覚悟を持っていたので、その人がやってくれたとき、「ありがとうございます!」

するとその人は、私の案件だけは進んで手伝ってくれた。私の仕事の仕方を観察し、先回りして「これ、やっておこうか?」とまで言ってくれるように。私にとって、その人はよく気の付く、働き者だった。

「これはお前の仕事だろ?」だと、仕事をしてもやるのが当たり前であり、感謝もなにもされない。しかし「これは本来自分で全部やらなきゃいけない仕事」と思っていて、なのに分担しようとしてくれる人がいたら、感謝感激雨あられ。すると感謝された側は嬉しいから仕事が楽しくなる。

だとしたら、仕事って、本来は自分が全部やらなきゃいけないのにこの人がやってくれるんだよ、ありがたいねえ、という気持ちでいた方が、こっちも自然と感謝の気持ちが湧くし、相手も気持ちよく働いてくれるのではないか。

本当なら全部自分でやらなきゃいけないと腹をくくる。家事も仕事も。だけどそれを分担しようとしてくれる人が現れる。それに感謝する。感謝すれば、相手はまた喜んで分担してくれる。また感謝せずにいられない。そんな関係を作っていけたらいいな、と思う。

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