高知での講演 学校の先生方向け編

今日は高知県の吉良川小学校で、保育士、小学校、中学校の先生方に向けて子育てに関する講演。
私の友達orフォロワーの方はよくご存じだろうけれど、私の話題の大半は子育て。私の出した本の中でも、2番目に売れているのが子育て本。なんだけど。

実は、子育てに関する講演をしたのは、24日の東京の明照幼稚園が初めてで、本日(日付変わって昨日26日)の講演が2度目。食料安全保障ならもう何十回も講演し、部下育成も、イノベーションの起こし方も結構講演した。でも子育て、教育に関する講演はここ数日で初めてのこと。

特に今日(昨日なんだけど、まだ気分は今日)は、教育関係者でも何でもないただの一介の農業研究者が、なんと現場を持っている学校の先生たちに教育のことを語るという、まあ、はたから見たら滑稽というか違和感しかない話なので、さてさてどうなるんだろう、と思っていた。

さて、到着すると、主催者の先生とはまた別の、会場を提供してくださる学校の校長先生が出迎えて下さった。「で、今日はどんな講演をしてくださるんですか?」ん?どうやら、私が何者か、全然伝わっていない様子。主催者の先生が到着、会場へと移動した。

私は一つ、油断していたことがある。実は、子育てのことをよくつぶやくせいか、ツイッターでもFacebookでも、学校の教師の方からフォローされることが増えていた。Facebookの方では、お友達もたくさん。近頃はどこに講演に行ってもツイッターかFacebookかnoteの読者と会うので、今回もいるだろう、と。

主催者の方が「篠原さんはツイッターのフォロワー数が現在13万4千人です」と紹介してくれたんだけど、会場の先生方、ノーリアクション。それがどうした感。オウ!どうやら私のことを全く知らない人ばかり!予備知識も仕入れていない人たちばかり!イエイ!アウェイ感!

東京の明照幼稚園では、園長先生が私のFacebookの記事(ツイッターの書き込みのまとめ)を、園の通信でしばしば紹介していたらしく、保護者の方々の中ですでに温まっていた。また、ツイッターやFacebook、あるいは私の子育て本の読者もいて、受け入れ態勢が整っていた。ところが今日(昨日)は!

私について何の予備知識もなく、「農業研究者がなんで教育を語るの?」と、不思議に思っている先生方であることが分かり。オオウ!さあ、ここからどう話すべか?試されているぜ、イエイ!という感じでスタート。

最前列には、「早くこの時間が終わらないかな」と、目をつむり、話を聞かないよオーラを漂わせているベテランの方お二人がいて。さあ、この二人の目を見開かせることができるか、試されているな!これは試練だ!乗り越えて見せるぜ!と闘志をたぎらせ、話を進めていった。

結論を言えば、若い先生方は、目に光が宿り、メモを熱心にとってくださる方もいて、少しは手ごたえを感じることができた。でも、手前のお二人の目を見開かせることができなくて、残念。今後の課題だなあ、と反省。何より、私がしゃべり過ぎた。もっと会場から意見を聞くべきだった。これも反省。

終了後、吉良川小学校の校長先生から、「授業をどうしたらよいか、実践的で具体的なアイディアを聞きたかった」と言われた。なるほど。でも私は教育現場の人間じゃないから、わからないんだよなあ。だから今日も、実際には教育の話は一切せず、子育ての話だけをしたつもり。わからんものはわからん。

学校の先生は、たくさんの生徒を抱えて、しかも発達がまちまちの生徒たちを同時に相手しなきゃいけない。なんだかんだ言っても、私は塾を10年やっただけで、それも一人一人を丁寧に指導することができるほどの小規模。私がかかわった子どもは100人程度。学校の先生なら3年で超える人数。

もし私が学校の先生だったなら、どうしたらよいか途方に暮れてしまうだろう、という点は、講演の中でも正直に述べた。私の気づきは、一対一で指導できる場合でしかない、少人数ならではの気づきを、多数の子どもを同時に相手にする現場で通じるか。私には正直、分からない。だから語れない。

果たして、講演を聞きに来てくださった先生たちに、何か私が提供できたものがあるのか、正直心もとない。ただ、今日(昨日だけど)、私はたくさんの気づきと課題を頂いたように思う。こうした機会を下さった先生には、感謝しかない。よくぞ私を講演者としてお呼びくださった。

主催者の方と、土佐塾の先生と3人で、その後飲み会。語った、語った、語った!フィーリングがこんなに会う人に出会える幸せ!教育の現場を長年持ち、日々研鑽を重ねている先生がたと、こんなに話が合うなんて!私は農業研究者なんだけど、なんだか自分でも不思議だけど、でもすごく嬉しい。

講演の中で、言うか言うまいか迷ったんだけど、言ってしまった内容。「小学校に入るまでは、子どもは学習意欲のカタマリなのに、小学校に入って、1,2年生はまだいいとして、3年生にもなるとほとんどの子どもが学習意欲を失ってしまう」。まあ、先生にケンカ売っている話。

でもさすが、私を面白がる主催者の方が呼んだ先生方、そこに対して妙な反感の色を出さなかった。で、レイチェル・カーソン「センス・オブ・ワンダー」を紹介した時、複数の若い先生がウン!ウン!とうなづいてくれた。

以下の記事の、星空を眺めた親子のエピソード
https://note.com/shinshinohara/n/nab00da2b2762
を紹介し、「もしかしたら教える以上に、子どもが興味関心を抱くように、それを知りたい、分かりたい、という気持ちを起こさせることが大切なのではないか」と話すと、多くの先生方がメモしておられた。

私には、学校の先生方が日々とりくみ、悩んでおられる現場のことは分からない。私は教師でない以上、これはこれからもずっと分からないままであることは間違いない。ただ今回、現場の先生方と直接お近づきになることができ、語り合うことができたことは、今後の私にとってとても大きな糧になると思う。

まあ、先生方に私が何を残せたのか、正直さっぱりわからない。でも、私はものすごくたくさんの収穫を得ることができた。考える材料が一気に増えた。今後、観察したいテーマがワサッと増えた。ちょいと研究者魂が燃えてくる。本当に貴重な機会を頂いたと思う。超感謝。

明日は土佐塾で中高生相手に講演。先生にお願いして、「いままで試したことのないやり方、試していいですか?」と言ったら、快く引き受けてくれた。どうなるかわからんけど、やってみよう。実験、実験。私は研究者だから、何が起きるのか分からないことを試したい。明日(今日だけど)が楽しみ。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?