千葉すず選手と、菰野高校と、体操女子と、関係ない話諸々

千葉すず選手が出場に十分と思われる優秀な成績をおさめながら2000年シドニー五輪への出場を許されなかった件は、当時大きな話題となった。日水連の選考基準が不明朗だということでスポーツ仲裁裁判所にも訴える事態に。なんで、当時の日本の水泳選手で最優秀だった千葉選手が選ばれなかったのか?

当時の日水連の会長だった古橋氏が「チームの足を引っ張るようなヤツは連れて行かない」と発言したという。 https://www.msn.com/ja-jp/news/entertainment/水泳連盟会長にケンカを仕掛けた千葉すず-記録突破でも五輪落ち-裁判-スポーツ界を揺るがせた-あの大問題発言/ar-BB1lS3e0
これまたいかにも日本的な、和を以てというか、そんな理由で選考から外すってアリなの?と当時思った。水泳って個人競技やん。なのにチームワークって何?と。

当時の水泳競技女子で最優秀選手である千葉選手が出ないなら、きっとオリンピックの成績はメタメタになるだろう、と思われた。ところがシドニーでは、日本は3競技でメダルを獲得する快挙!千葉選手が出場した92年は岩崎恭子選手の突発的な金のみ、96年五輪ではメダルがゼロだったのに。

千葉選手が出た五輪では女子は岩崎恭子選手を除きメダルが取れず、千葉選手が選ばれなかった五輪では女子がメダルをとった。結果だけ見ると、日水連の判断は・・・あれ?水泳って個人競技だよね?チームワークって関係ないよね?うーん・・・と、考え込んだことがある。

今年の甲子園予選では、三重県代表に菰野高校が。なんと菰野高校の前監督、6月に選手に暴力をふるったことが明るみになり、解任。この夏から部長だった教員が急遽監督になったのだという。高校野球は監督次第の部分があり、この事実が報道で明るみになったのは準決勝進出が決まってから。

これでは選手も動揺が広がり、勝てないだろうと思ったら、勝ってしまった。しかも菰野高校、スタメンが全員2年生なのだという。3年生がいないというのも意味深。監督が交代しても準決勝も決勝も勝ち進んだ、という事実を考えると、このチームの真の監督と言えるのは。

もしかしたら解任された前監督ではなく、部長を務めていたという新監督だったのでは?という連想が働いてしまうが、真相はどうなのだろう。わからない。しかし、どうしたわけか高校野球は監督次第で選手たちの活躍がガラリと変わるものだし。実力ある選手がそろっていても勝てなかったり。

今年の体操女子は、エースの選手が喫煙、飲酒が発覚してオリンピックに出場できないことに。エースというなら、きっと今年の最優秀選手だったのだろう。この喫煙と飲酒の問題は内部リークだったという。そして何より話題になったのは、タバコや酒程度で出場できないって厳しすぎない?という意見多数。

エースが欠けたことで精神的支柱を失い、団体戦も5人そろわず4人で戦うことになり、成績はメタメタになるかと思いきや、予選を勝ち抜き、8位入賞。出場できなかった元エースの決めポーズを4人で見せ、メッセージも。記事を見ると、出られなかった元エースのためにも、というものが多いのだけど。

喫煙、飲酒の問題は内部リークだったんだよね、という点がモヤモヤ。そして、4人は声を掛け合い、励まし合い、「とても楽しい雰囲気で演技がずっとできて、結果としてもよかったのではないかという印象がある。」と言っている。うーむ。

ここで全然違う話題をば。
リーダーはやたらと優秀、メンバーは平凡、それでもチームとして好成績を挙げるのはひとえにリーダーのおかげ。「うちのメンバーは平凡なヤツばかり、オレがいなけりゃどうなることやら」とリーダーは嘆き、周囲もそれは大変やなあ、と同情。

ところがリーダーが問題を起こして解任。新しいリーダーは調整型で実力は前リーダーと比べると見劣り。メンバーも平凡なんだからこのチームはもう終わりだな、と思いきや。
「え?そんな実力が?」とメンバー一人一人が輝き出し、以前よりも好成績を叩き出したりする事例がある。

あだち充「H2」のライバル校、監督が問題を起こして解任。調整型の平凡な監督に交代。しかし主人公のチームは「むしろ手強くなる」と警戒。実際、それまで特定の優秀な選手しか活躍しなかったチームなのに、メンバーの実力を上手く引き出すキャッチャーが活躍して好プレーの連続。

野球はチームワークの競技だから、特定の選手ばかりえこひいきし、誰かを虐げる運営をすると、チームが暗くなり、実力を十分発揮できなくなることがある。しかしチームワークを大切にし、各人がのびのびと活躍できる空気が広がると、その方がチームとして強くなることがある。

人間って、関係性の生き物だと思う。仏頂面のニコリともしない人相手に漫談を続けるのはなかなかつらい。リアクションのいい相手だと話す側の舌も滑らかになり、ますます座が盛り上がる。人間は相手との関係性なしに実力を発揮することは難しい面がある。

バカにされたりけなされたり罵倒されたりすると、人間は平常心でいることは難しくなる。何でそんなこと言われなきゃいけないんだ?という思考がグルグルし、でも時分に何か問題があったのかも?と自問したり、「でもあんな言い方しなくても」と恨みに思う気持ちが湧いたり。

「人を恨むなんて情けない、自分は自分だ、努力すればいい」と思い直したり、「それにしてもあの言い方はないわ」とやはり悔しく思ったり。思いが千々に乱れて、それだけで精神的エネルギーを消耗し、うつの状態に足を突っ込んだりしてしまう。実力も半分も出なくなったりする。

他方、自分のことを信頼し、任せてくれ、少しでも成果が出ると自分のことのように喜んでくれ、それでいて変にノルマを課そうとしない人と出会うと。とたんに心は伸びやかになり、「この人を驚かすような成績を出したい」と目論むようになり、楽しく仕事ができたりする。

関係性で人間の実力は大きく引き出されたり、逆に実力を発揮できなくなったりする。人間はどうやら独立で能力を発揮できる面は乏しく、周りとの関係性でかなり左右されるものらしい。

関係のない話題はここまで。

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