日本はAI・IT技術の草刈り場

昨今の日本のAIブーム、私は少し心配している。「ガラパゴスAI」になるのでは、と。
特にchatGPTについて日本は好意的で、欧米が規制に入る中、日本は基本、野放図にこれを使ってビジネスを展開しよう、という楽観的な動きが強い。これで一大産業を育てるぞ!と。

しかしchatGPTは海外で開発されたもの。これの利用料は海外に支払うことになる。また、日本でchatGPTを基礎にした各種サービスが開発されたとしても、その普及が国内に限られるのだとしたら、それは日本国内で遊んでるだけのようなもの。日本全体で見れば国外に富が逃げてるだけとなる。

日本はアマゾンやFacebook、インスタグラムなど、海外で開発されたIT技術がもてはやされている。これらは当然ながら海外に富が流出することにつながる。日本はIT技術に関しては、海外企業の草刈り場になっている。

日本は人口が多すぎる(1億2570万人)割に国土が狭く、もし海外から食料や肥料、エネルギーを輸入できなかったら3000万人分しか食料を生産できない恐れが高い。日本人が生きていくためには当面(数十年間)、不足する食料や肥料、エネルギーを輸入し、今の人口を養い続けなければならない。

それらを輸入するには、海外との貿易なり取引なりで儲けを出す必要がある。ところが日本のAIブームは、海外への進出を全然想定していない気がする。国内でウケることを考えたサービスばかりが開発される予感が強い。だとしたら、ガラパゴスAIに人材を投入することは。

海外との貿易に何の寄与もしない、ただの遊びに人材を投入することになりかねない。
日本はこれから少子高齢化が急速に進む。労働力が減っていく。貴重な労働力を、海外との貿易に寄与しない分野に大量投入することは、大きなリスクではないだろうか?

もちろん、日本で開発されたAI絡みの技術が海外に輸出され、それで収益が上がるのなら何の問題もない。それならどんどん進めて頂きたい。ところがどうも、日本で開発されるIT技術はこれまでひどく国内向けなものばかり。AIもそんなことにならないか。

日本はこれまで比較的大きな市場であったために、国内向けに開発するだけでそこそこ稼げたのだろう。しかしAIで遊んでいるうちに、日本の経済はますます縮小する恐れがある。何しろ貿易での稼ぎ手であったトヨタが、電気自動車の台頭でどうなるのかしれやしないのだ。

もし自動車産業がアウトになったら、日本は海外との取引で稼ぐ力を大きく損なう。すると、思うように食料や肥料、エネルギーを購入できなくなる。すると、日本は食うにも困るカツカツの国になりかねない。日本は、何としても海外との取引で儲けられる何かを育てなければならない瀬戸際に立っている。

私はAIで個人が遊んでる分には構わないと考えている。しかし仕事としてAIに取り組むのなら、国内市場向けなんか開発しなくていい。海外で通じる何かを開発して頂きたい。海外との取引で儲けられる何かを開発して頂きたい。貴重な人材を国内向けの遊びに投じる余裕は、日本に残されていないように思う。

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