田中さん1

「人類のために誰もがハッピーになれる医療」を目指し、最先端医療の腸内フローラ移植臨床研究会を設立された“田中三紀子さん”

病院では原因も解決方法も分からなかった長女の病気が、腸内フローラ移植で改善したことをきっかけにその可能性を感じ、多くの人に知ってもらい、誰もが健康でハッピーになれる世の中にしたいという思いで活動されている、一般財団法人腸内フローラ移植臨床研究会 評議員の“田中三紀子さん”にお話を伺いました。

プロフィール
出身地 大阪府
活動地域 関西を中心に全国
経歴および活動 2008年結婚してもママになっても、女性達の能力を発揮できる場を創りたい思いで一念発起し、HP作成や顧客データ管理など販売促進を一括で手掛ける株式会社アビリティーズを設立。2017年に娘さんの劇的な変化をきっかけに、腸内フローラの可能性を感じ、多くの方に知ってもらうための活動として、一般財団法人腸内フローラ移植臨床研究会を設立し、全国の医療従事者との繋がり、講演会開催などを手掛け活動中。
座右の銘 「継続は力なり」

目の前で娘の変化を見て、これは本気でやらなあかんと思いました。

Q1. 腸内フローラとの出会いのきっかけは何ですか?

田中三紀子さん(以下、田中 敬称略)  
 2017年の春、アビリティーズに大阪の腸内フローラ移植専門クリニックのHPリニューアル依頼がきたことが、出会いのきっかけです。

 長女が、海外留学をきっかけに、10ヶ月で20kg痩せる程体調を崩しました。帰国後、体重は元に戻っても体調は中々戻らず、病院では原因も解決方法も分からない状態でした。企業に就職しても体調が戻らない為、結局1年で辞める事になりました。

 腸内フローラ移植専門クリニックのHPリニューアルの仕事に携わる中、彼女自身が体調不良の原因は、腸内フローラの乱れかもしれないと思うようになり、移植を受けることになりました。

 移植後、彼女に劇的な変化が起こりました。今まで娘は、みんな馬鹿で死んじゃえばいいのに!こんな汚い世の中に、何で私は生まれてきたんだろう?という想いがあったようです。その状態から、移植の翌日「太陽おはよう!」と思えるぐらい、物凄く心から元気になる変化がありました。
 5年間病院でも、統合医療を学んでも誰一人、腸内フローラが乱れていることを教えてくれませんでした。この変化は、本当に凄いと思いました。
 そこで、臨床検査技師であり、この腸内フローラ移植の開発者である清水さんに、腸内フローラを勉強したいのでセミナー開催を提案しました。

 実は、医療業界で腸内細菌は、最先端の医療として各学会で多くの論文が出ていることを知りました。ドクターは、薬での治療には限界があること、腸内細菌が様々な病気に関わっており、その研究が進んでいること認識されていました。しかし、腸内細菌は容易に変えられないという固定概念があり、ストレス、食事、不摂生が続くと簡単に乱れるということも知りました。その乱れを戻すのは、至難の技だそうです。

 目の前で娘の変化を見て、これは本気でやらなあかんと思い、今までご縁のあった統合医療を推奨されている先生たちに、娘の話と共に、ちょうどその頃に出版された“うんちのクソヂカラ”という本を送りました。それを読んだ先生方が、8月下旬から続々とクリニックに見学に来てくださいました。
「腸内フローラが移植で変わる!?」これが事実なら本当に凄いことだということになり、ちゃんと組織だった研究を進めようということで、財団法人を設立し、11月に第一回総会が行われました。

細菌と人間は共存光栄、本当は自然が上手く作り出してくれている

Q2. 腸内フローラとの出会いを通して、どんな気づきがありましたか

田中 統合医療を勉強していたので、対処療法には限界があると分かっていました。だから、食事、睡眠、運動に気を使いましたが、それだけでもなかなか病気が改善することもなく、試行錯誤していました。腸内フローラを知った時は、すごいことを知ったと思いました。今世界中の医学会、特にアメリカでは莫大な予算を使って、腸内細菌の研究をされています。しかし、未知のことが山のようにあります。

 腸内細菌を電子顕微鏡でみると、種別ごとに、まるでお花畑=フローラの様に見えるから、腸内フローラと言うそうです。腸内細菌は、相互間で色んな関係を持ちながら、代謝産物を出してくれます。よく、悪玉菌は悪者のように言われますが、ボディガードの様な役割もしています。
 本当に自然が上手く作り出してくれていると思いました。実は、腸内フローラのバランスに黄金率はないらしく、良いフローラバランスは、みんなそれぞれ違うそうです。その様な、個性もすごく面白いなと思います。

 それまで私は、便は食べ物のカスだと思っていました。本当は、8割が水分、残り2割の内半分もしくは2/3が腸内細菌だそうです。残りは、小腸の剥がれ落ちた壁と食べ物のカスです。
 江戸時代は、1日5回大便をしていたそうです。 今は、1日1回出たら便秘じゃないと思っていますね。だけど、バランスの良い人は、朝出てご飯の度に出る、1日4回前後排便します。なぜ便の回数が減ったかと言うと、腸内細菌が悪いのはなく、細菌の餌である食物繊維が現代の食事では、十分な量が取れていなくて、餓死状態になっているからです。だから、いい食事をきちんと食べ、運動や睡眠など生活習慣を見直すことは大変重要です。
 細菌は悪いイメージがありますが、実は、みんな口腔内や膣の中に細菌が1兆個ぐらいあります。赤ちゃんは腸内細菌ゼロなので、出産の時に膣をなめるように出てきます。だから、帝王切開の場合、お母さんの腸内細菌をもらわずに生まれてくることになります。細菌と人間は、共存共栄なんです。細胞や血液、脳は、自分の中にありますが、医学的に、口から食道、肛門まで筒なので、体の外になります。だから、腸内細菌や常在菌は、体の外にあると考えられています。そのうち誰もが、菌と共存共栄することによって恩恵があることを、分かるようになることを期待しています。

腸内フローラを、難病の治癒や予防に繋がる活動として人類の健康のために役立てて欲しい

Q3. 腸内フローラとの出会いから、どんなビジョンを持ち、実践をされていますか

田中 以前、免疫療法がすごく叩かれたように、統合医療や民間療法的なことは、決して追い風ではありません。関わって下さるドクターたちは、自由診療として腸内フローラ移植に取り組んでいただいているので、良い意味でも悪い意味でも、目立ちます。特に、保険診療より、説明責任も大きいため、そういうリスクを負いながら、医療を変える必要性を感じる先生方が集まり、学会を作り、医療維新のパラダイムシフトを今から起こそうと活動されています。
 国や地域を超え、研究者も臨床者も大学や医師会などの組織の枠に囚われず、今までの固定概念を超えた医療が始まっていることをとても嬉しく思います。臓器ごとに細分化された医療は、人を部品の集合体のように考えているように感じていました。医療に関わるすべての人が自分達の目先のことではなく、人類にとって何が幸せなのか考えて欲しいです。私たち自身も、病気になったら保険を使って安易に薬で症状を抑えたらいいという考え方を改め、自分自身の健康は自分が主治医となって守るという気持ちを持ってほしいと思います。それは、今まで人類が培ってきた様々な医療をよりハッピーな方向に進める力となると思っています。
 健康は、何より代えがたい幸せだと思います。この腸内細菌たちは、神様が与えてくれた人類に対する贈り物なので、ちゃんと受け取り、人類の健康のために役立てて欲しいと思います。

 腸内細菌たちの立場からみると臓器間にもネットワークが存在しているのです。腸内細菌たちを整えると糖尿やアレルギー、精神疾患など、様々な不調が改善するという研究が進んでいます。だから、治せないと思っている医者と治らないと思っている患者さんに対して、新しい選択肢がある事を伝えたいし、病気になる前に腸内フローラ検査を受け、予防に繋がる活動にしていきたいです。今は、腸内フローラ移植は他に治療手段がない人が検索して探しだし、見つけてくださることが多いです。

 今、財団に所属している先生は、栄養療法に精通されている先生が多く、色んな分野の専門医の方がいらっしゃいます。今後は、様々な相談できる医療機関と移植できる医療機関が連携し、患者さんの不調の原因が、腸内フローラかもしれないことを知ってもらい、より良くなる方向に手を組めるような団体にしていきたいです。そのために、患者さんや一般の方に知って、興味を持ち行動に繋がる仕組みやきっかけ作りとして、SNSなどのオンラインとアナログの両方を活用しています。アナログは、講演会、セミナー開催。オンラインは、動画撮影し、YouTubeなどで配信、ブログや先生達の投稿をシェアしています。

 基礎研究費や医療機器、検査機器は、多額の資金が必要なので、補助金の制度を活用し、大学や企業と連携できるアイディアをディスカッションしています。ふるさと納税のような税の優遇制度を活用し、法人・個人広く寄付を募っています。税の控除を受けながら、返礼品として、自宅で簡単にできる腸内フローラ検査をはじめ、寄付の金額応じた各種検査が受けられます。寄付活動を通じで、予防につながる活動を進め、基礎研究や臨床研究も、もっとスピードアップできると思います。

 なんとか1年半やってみて、すごく大変なことも色々ありますが、これをやっていることが、本当に正しいことなら、必ず必要な人とお金は手配されると、根拠のない自信があります。今後もそこは、絶対に揺るがず、人類のために誰もがハッピーになれる医療になると信じてやっていきたいと思います。

破壊のエネルギーは力が空回りしてうまく発揮できないことに気づき、共に生み育むエネルギーに変わった

Q4. どんな心のあり方や認識の変化が今の活躍に繋がっていますか

田中 新しいことを生み出すエネルギーの可能性でしょうか。医療の世界は、男性が主流派だと思いますが、共に生み育むエネルギーは、すごく母性的だと思います。
  20世紀まで、薬によって助かった命もたくさんありましたが、それによって生まれた病気も山ほどあります。例えば、私が子供の頃は、アトピーや鬱を聞くことはなかったです。今は、3人に1人が不妊症、2人に1人がアレルギーを持って生まれ、 約半分の国家予算40兆円を超える額を医療費に使われる世の中が、おかしいことに気づいて欲しいです。

 私の家族が病気になり、薬を増やすことしかできない医者に対し、‶同じ治療をあなたは自分の子供にしますか?″という思いがずっとあって、信頼できる先生に出会えない時期がありました。また身動きが取れず、2年間ずっと寝たきりのお姑さんが苦しんでいる姿を目の当たりにし‶誰のための医療だろう?”と、今の高齢者に対する医療にも疑問がありました。以前の私はすごい破壊のエネルギーを持っていました。″こんな医療は絶対おかしいから、ぶっ壊さないとあかん!″と思っていました。  

 ある時、破壊のエネルギーは、自分の力が空回りしてうまく発揮できないことに気づきました。そして、2017年の春ぐらいに、自分の中で新しいものを作るエネルギーに切り替わりました。本当はそうじゃない先生もいたのに破壊のエネルギーの時は、良い先生とのご縁が上手くできていなかったと思います。そこから変化した時に、腸内フローラ移植出会い、先生方とも今までにない関係性を創ることができたと思います。

 人間の想いの強さのエネルギーの可能性を、この仕事を始めてすごく感じるようになりました。

 病気を治したいという医療従事者の方、そして病気を治したいというご本人やご家族の想い。それが腸内細菌たちのエネルギーを介して、繋がった気がします。それがなければ、1年半で今の研究会は出来なかったと思います。一人一人が自分の能力を最大限に発揮して生み出す力が大きなうねりとなっている、そんな感じがします。

記者 田中さん自身の気づきから、エネルギーが大きく変化していくことで、ご自身の考え方や、引き寄せる出会いが変わっていくことがすごいなと思いました。これからの変化をつくり出していくポイントだと感じました。
本日はご貴重なお話をどうもありがとうございました!

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「一般財団法人腸内フローラ移植臨床研究会」の詳細情報はこちら

【編集後記】インタビューの記者を担当した小畑&所です。
ご自身の意識の変化や娘さんの変化から、腸内フローラや医療の可能性、自然の奥深さ、無駄なものは何一つないことをすごく感じました。
もっと多くの方たちに田中さんの活動が伝わること、さらなる活躍を心よりお祈りしています。

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この記事はリライズ・ニュースマガジン”美しい時代を創る人達”にも掲載されています。

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