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トランジションの真っ最中

佐宗 邦威さんの「じぶん時間を生きる TRANSITION」を読みました。内容は、トランジション理論を紹介しつつ、ご自身がまさに経てきた、また経ているトランジションについて経験を共有。かつ、先行きを考察するものとなってます。

本で扱われているこのトランジション理論が、「俺、まさに真っ只中にいるわ!!!」と、とても刺さりました。引用させていただきつつ、自分のこれまでと今を、理論に則って整理してみようと思います。


トランジションの紹介

まずは本に書かれているトランジション、および理論をざっくりご紹介させてください(誤認識あったらごめんなさい)。

トランジションとは

「トランジション」とは、外的要因による変化を「チェンジ」と呼ぶのに対し、内的要因からくる変化を言うとのことです。自分のあり方//無意識なんかが、知らず知らず変化していっているのに外部環境が変わっておらず、ズレができてしまった時に起こるのでは、とも説明されてます。

トランジション理論

で、その際、トランジションは3つの段階を経るそうです(理論自体は米国の著名な人材コンサルタントであるウィリアム・ブリッジズ氏が提唱したもの)。

  • 終わらせる段階
    これまでなんとなく惰性で続けている生活や習慣、仕事などをしっかり終わらせる段階。それによって新たなものを受け入れる「余白」が生まれる

  • ニュートラルな段階(ニュートラルゾーン)
    方向感覚が失われて、進む方向を探索する段階
    。不安にも襲われやすい。日々の感覚に意識を向けて、感性を刺激する活動を積極的に行う。

  • 次のステージを始める段階(再生期)
    進むべき方向を見つけて、モードを切り替えてその方向に向かって積極的に行動に移していく段階。

またブルース・フェイラー著「Life is in the transitions ~Mastering Change at Any Age(未邦訳)」で225人に人生のトランジションについてインタビューした内容が、いくつか引用されている。刺さったのは以下。

  • トランジションの期間は4〜5年と答えた人が最も多かったとのこと。いつから自分のトランジションが始まったかは後述しますが、「なかなか先が見えない…」と思ってた矢先だったので、納得感あり。

  • 3つの段階のトランジションは、クリアに段階を踏むのではなく、行きつ戻りつするとのこと。これも正に。時間をかけて、いまやっとこさ終わらせきったような感覚が出てきたので、納得。

トランジション理論の説明する3つの段階が、自分において、いつから始まったのか、どう経験されたのか、どこに向かっていくのか(あるいは行きそうなのか)。それぞれの段階と照らし合わせながら、書いてみます。

終わらせる段階

前述の通り、この段階は次のステップに向けてこれまで続けてしまっているものを手放す段階。自分にとって、終わらせる段階の始まりはいつだろう?

  • 勤めていた環境保全団体を退職したタイミング。仕事の意義も感じ素敵な同僚もたくさんいて、自分とその能力をエンパワーしてくれる素晴らしい環境だった。けど、マーケティングから人事領域に興味が出て、転職をした。

  • 転職先を、先も決めずに退職したタイミング。けっこうな向こうみず。

  • 同時にコーチングに出会った時でもあり、もっと自分のペースとスペースを尊重しようと生きようと決めたタイミング。

  • そのあと転職かフリーランスをうだうだと悩み、フリーでやってみよう!と決めたタイミング。

  • その後しばらくお世話になっていた(かつ収入の大部分を占めていた)マーケティング案件を、いろいろ考えて完了したタイミング。

ここ4〜5年の出来事で、どれも終わらせた感覚があって、これが一番!と、甲乙つけ難い。何を終えたのかはっきりとは分からないけれど、ただすこしずつ、昔の自分の何かを終えてきたように思う

もう一つ刺さったのが、なぜ終える必要があるか、という説明。著者は、自分が放っている小さな光に気づく余白を生むため、と書いてます。

社会は価値あるもの=強い光で溢れている。既存の自分の価値観において良いと思う光は、そんな明るい世界でも識別できる。けど転換期に見つけたい、見えにくい自分の小さな光は、そういう世界では気付くことが難しい。なので、見知った世界から離れ、余白を生み出すことが必要だ、と書いています。

それを受けて出てくるのが、1年ほど前から再びコーチをつけていること(コーチがコーチを付けるのはよくあります)。39歳になって少ししてから、40歳以降の自分が響いて生きていける方向が分からなさ過ぎて(未来が見えなさ過ぎて)、けっこうな絶望感に取りまかれてました。

けど、いま色々と終わらせて、自分が未来に焦ることすら終わらせることができてきて、やっと十分な余白ができて、小さな光に気づけるようになってきたなぁ、と感じてます。小さな光に気づけるようになると、いつでも未来の可能性が開かれてると信じれて、生きていく喜びを再認識したようにも思います。

ニュートラルな段階(ニュートラルゾーン)

終わらせた結果、生まれた空白の時期。新しいものが入ってくる時期であり余白もあるがm同時に何者でもなく、恐れとも対峙する時期である、とのこと。

恐れは、とてもよくわかる…!前述した通り、いまコーチをつけてます。そのきっかけとなったのは、その先の自分をいくら想像しても愉しく充実した像を描けない、閉じた未来しかないという閉塞感と絶望感と恐怖でした。

それは前述したニュートラルな段階の特徴でもある、それまで機能していた方向感覚が失われたことが大きかったように、ほんとうに思います。

それまでの自分は、2つ、大きな方向に動いていてました。1つは、コンプレックスを解消する方向。もう1つは、自分の価値観において位が高いと勝手に置いていた人たちに近づくこと、でした(詳細は割愛)。

終わらせる段階で、そういった方向が、実は楽で響く自分であるとは違うんだ、と手放した。手放した解放感や心地よさは素晴らしく、しばーらくその状態を味わっていました。

が、しばらくすると、それまで有効だった方向決めが機能しなくなってしまい、曲がりなりにも見えていた未来が想像できなくなってしまったんです。とはいえ新しいやり方で方向を探る、決めることもできない…で、冒頭、40手前の閉塞感に陥っていた、という訳です。

いまはそれらも手放し、終わらせることも(だいたい)できて、やっとこさニュートラルゾーンに入ったなぁ、というのが実感です。前述した通り、自分の中の小さな感覚に気付くようになり、この段階の説明に納得してます。

本では、この方向感覚を失った時につきまとう恐怖を乗りこなすおすすめが、3個記載されてます。そのうちの1つにカウンセリングやコーチングを活用することが挙げられてて、手前味噌話にはなりますが、自分の体験からもその有用性を声を大にして言いたいところです。

次のステージを始める段階

わたしはまだ、この段階には至っていません。前の段階で、心に響くものを探している段階です(あるいは、心に響くことを感じられるようになろうとしている段階かも)。

なので実体験と照らし合わせることはできません。が、著者はこの段階では(ご自身の仕事と経験を踏まえて)「ビジョンメイキング」をすることを勧めています。自分へのメモがてら、ピンときたポイントを残しておきたいと思います。

  • ニュートラルゾーンであれこれトライしたものから、淡い光を放ったドットを重ねていき、ぼんやりとしたところからビジョンを描く。

  • ビジョンを描く際は、言葉よりも前に、手を動かして「感じる」ことが肝要。直感から論理へ繋げたほうが新しい概念に近づきやすい。

  • ビジョンを実行に移していく際は、地に足をつけること。時間においてもリソース配分においてもポートフォリオで考えるのを勧めている。

自分のビジョンを描くことは、愉しそうです。すこしずつ感じ出しているいまの感覚を、一度、絵にしてみようと、いまは考えてます。

(本の後半では、トランジション後の世界について、ご自身の経験、インタビューの内容を踏まえて5つのテーマについてシェアします。仕事・住まい・食・コミュニティ・教育で、今後の社会を実体験などを踏まえつつ具体的に見据えられてます。触れないので、興味のある方はぜひ読んでみてください)

いまは愉しみたい

いま一度、トランジション真っ只中にいる自分を鑑みてみると、よくやってるなぁ、が出てきます。

収入はたいそう少なくなってますし、先行きは全くもって不透明です。社会的役割をしっかりとこなしている「大人」にもなれておらず、いつまで自分のことばかり集中してるんだと、責める自分も出てきます。

そういったサボタージュや不安、恐れに屈さずともにいている、という点において、よくやってるよくやってる、と自分を褒めてあげたいんだと思います。

地に足は着いてなくて、置いておいてる課題もたくさんあります。それらにはいましばらく待ってもらっておいて、いまは、このトランジション期を十分に活かしたい、と著書を読んで改めて思いました。

のんびりとニュートラルゾーンを愉しんでましたが、より感性に意識を向けながら、より世界と関わるよう行動していきたい。し、何か面白そうなことがあれば、ぜひ声をかけてもらえると嬉しいです。


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