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嫌いな上司との付き合い方

悩んで落ち込んだ時、必要なのは理性
邪魔なものは感情
その邪魔者を追い出してから
理性だけで、原因をクールに分析して
解決方法を見つける習慣をつけましょう

美輪 明宏


「Sさん(派遣社員)が上長の指示に従わず
 業務に支障が出ているそうです。
 改善するよう注意してほしい」
 
派遣先企業の人事担当者から
唐突にこんな連絡をもらいました。
 
派遣社員Sさんは47歳の女性。
これまで問題なく1年半ほど就業しており
仕事ぶりも高評価をいただいておりました。
 
しかし、この4月に異動してきた
新しい部長さんとの相性がかなり悪いようです。
 
「上長の指示に従わない」
 
これが事実なら、改善する必要があります。


ネガティビティ・バイアス


早速訪問して、Sさんと面談。

状況を確認すると
新部長に対する不満が出るわ出るわ・・・
 
部長さんはメガネが似合う
細身で50歳ぐらいの男性
4月の人事異動で地方の支社から
本社に来られた方です。

着任早々、Sさん含めて
部署のひとりひとりと面談を実施されたとか。
担当業務の内容やボリュームの確認など
現状把握ということでしょうか。
 
その際、Sさんが他部署から依頼され
引き受けている仕事があることを知り
「今後その仕事は受けないように」
と言われたとのこと。
 
これにSさんは憤りを覚えたらしく
たちまち嫌いになったようでした。
 
その後も
他部署の人との(長めの)雑談を
部長に注意されたことで
急速に反発心が増大した模様。
 
心理学に「ネガティビティ・バイアス」
という言葉があります。

ネガティブな出来事に対して過剰に反応し、
より強く長く記憶にとどめる傾向のことです。

つまり、悪い印象のほうが残りやすい。
 
人間関係にネガティビティバイアスがかかると、
嫌な部分ばかりが目について
減点法で人を判断するようになります。
 
さらに「確証バイアス」もあるので
最初に認知されたイメージを
裏付けるような情報しか認知せず
さらにそのイメージを強めていく。  
 
Sさんは、いくつかの業務指示に対しても
「納得できない」と感じているようでした。
 
もうSさんは完全に
部長を毛嫌いしていましたので
おそらく態度にも出ているんだろうな
と聞けば聞くほど心配になりました。


やってはいけないこと


確かに、嫌いな上司と仕事をすることは
多大なストレスを生むでしょう。
 
ただ、絶対にやってはいけないことがあります。

 
①上司の指示を無視する
 
どれだけ嫌いでも
上司の指示や話を無視してはいけません。

組織で動いている以上、
指揮命令者の指示通りに行動すること
が求められます。

それを無視してしまうと
自分自身の評価を下げてしまいます。

 
②不機嫌な態度を取る
 
無視はしなかったとしても
嫌いな気持ちを態度に出すことも
よくありません。

自分では隠しているつもりでも
ふてくされたような態度は
相手に伝わりやすいものです。

そのような態度を取られると
上司も気分を害してしまい
さらに仲は険悪になるでしょう。

表に出さず、感じよく対応するのが大人
というものです。
 
そして「感情的に反抗する」ことは
絶対にやってはいけません。

仕事の指示や考え方に対して
意見を述べることは必要かも知れませんが
感情的にキレたり、暴言を吐いたりするのは
御法度です。

それが正論だったとしても、周囲からは
「反抗的」「自制心がない」「キレやすい」など
様々なレッテルを貼られてしまいかねない。
もちろん上司との関係性も悪くなる一方です。

 
③愚痴や悪口を周囲に話す

上司に対する愚痴や悪口を
周囲の人に話すことも避けたほうが賢明です。
自分の印象が悪くなります。

最初は共感してもらえるかもしれませんが
頻繁に話していると
うんざりした気持ちにさせてしまいます。

 
④出社拒否・バックレて辞める
 
これは言語道断ですね。

周囲の人に迷惑がかかるだけでなく
あなたの信用を失います。
 
 
ちなみにSさんは
この④以外のすべてをやっていました。
さすがに、まずい・・・

相手を変えることは難しいので
変えるのはやっぱり自分自身です。

気持ちはわかりますが、
どう対処すればいいでしょうか。
 
 

嫌いな上司への対処法



 ①割り切る
 
上司の性格や考え方等について
○○な人だと割り切る。

または「仕事だけの関係」だと割り切る。
 
必要最低限以上の関わりは持たないよう
距離をとる
 
なるべく上司のことを考えないようにすることで
ストレスの原因を減らすことができます。
 
嫌いな上司と雰囲気を悪くしない
最低限の関係を取り持って
仕事をスムーズにこなすことが出来れば
問題ないでしょう。

割り切ってある程度の距離をとることは
賢い選択だと思います。

 
気持ちを切り替える工夫をする
 
これはなかなか難しいかもしれませんが、
気持ちを切り替えることができればいいですね。
 
とにかく仕事に集中する。
 
上司とコミュニケーションをとる際は
受け流す、適当に話を合わせる。
 
とはいえ、
表面上だけは感じよく接するようにして
周りに心配をかけないよう配慮するのが
大人の対応です。
 
苦手意識が強いと、どうしても
態度や表情に現れてしまうものです。

 必要最低限かつ周囲を不快にさせない程度
のやり取りを意識しましょう。

  
③人事や専用窓口に相談する
 
改善が難しいのなら、
勤務先の人事担当や上司の上司に
相談することを検討してもいいかもしれません。
 
大手企業の場合は、法律により
ハラスメント相談窓口の設置が
義務付けられています。
 
気持ちが収まらないのなら
会社の専用窓口に相談してみるのも一つです。

ほとんどの場合
匿名での相談を受け付けているので
相談したことを上司に知られる心配もない。

内容によっては
会社側が上司に指導を行ってくれることも。

 
転職を視野に入れる
 
過度のストレスは身体を蝕みます。
身体に不調が出る人もいらっしゃいますので、
思い切って転職を考えてみる。
 
ただ、その前に考えてほしいことは
上司が嫌いという気持ちが
単なる不満になっていないか。
 
周囲の人は上司についてどう思っているのか
問題を解決できる余地が残っていないか
冷静に検証してほしいと思います。

コミュニケーションの取り方を変えれば
事態が好転するかもしれません。
 
単純な不満を理由に退職をしたという事実は
転職活動において不利になる場合があります。
 
どんな職場にも
自分と合わない人はいるものです。

「自分はすべて正しい」
「相手が100%悪い」 
と思いがちですが、
ある程度は自分の人付き合いの方法を見直す
必要もあるでしょう。

 
ちなみに、Sさんにアドバイスしたところ
すでに末期症状だったようで
③の「ハラスメント窓口に相談する」を
選択されました(汗)

自分を磨く訓練


 
①相手の側になって考える
 
この手の話になると、
多くの方が自身の正当性を訴えつつ
“被害者”の立場として語ります。

ただ、一度立ち止まって
相手の心に“耳を澄ませて”みてほしいんです。

もし、
相手があなただったらどうしてほしいのか?
 
まずは
「わかりました」「なるほど」という風に
あなたのおっしゃることを受け止めますよ、
と敬意をあらわす態度を示す。
これが賢い大人のやり方だと思います。
 
自分の話を受け止めてもらうには
「相手の意見を頭から否定しないこと」
が不可欠ですから。

そのうえで、
相手の言うことを全否定せずに
部分否定で言葉を選びながら伝えていく。
 
着任されたばかりの部長ですから、
より良い組織にしようと張り切っている
と理解してあげる度量があってもいいかと。

嫌われたい人なんていませんしね。

 
②良いところを探す

どんな人にも
良いところや学ぶべきところがあるものです。

人の悪いところを見るのではなく、
良いところを探して、
その部分を尊敬していく。

「この人は自分よりも経験が多いから、
 多くのことを教わることができる」

こうした気持ちを持って接していれば、
相手にも伝わるものです。

他人に対して敬意を払うことは、
人としての基本ではないでしょうか。

「この人の良いところはどこなんだろう」

「この人が持っていて、
 自分にないものは何なんだろう」

真摯な姿勢で見つめれば
必ず見つかるはずです。

 
③鏡の法則
 
結局すべては自分が源泉。

“人は全て自分の鏡である”と考える。
 
上司に
もっと協力的になってもらいたいと思うなら
まずあなた自身が
協力的な部下に変わる必要があります。

自分が「変わる」から、相手も「変わる」
 
人から信頼される方法は
まず自分から先に信頼しちゃうことです。

人間関係は鏡の関係。
嫌えば嫌われるし、信頼すれば信頼される。

人生はブーメラン。
自分が投げかけたものが受け取るものになる
と思っています。
 

最後に


会社は、様々な特徴を持った人間同士が、
家族よりも長い時間を過ごす場所です。

つまり、働くということは
何かを成し遂げる以上に
人と人とのやり取りが大切になってくる。
 
嫌いな上司がいることは、
しばしば大きな悩みとなるでしょう。
 
しかし、嫌いなことを態度に出すことは、
周囲にとっても悪影響となります。
 
あえて厳しい言い方をするなら、
自分の感情をコントロールすることができず、
周囲にマイナスな影響を与える人は
未熟者だと思います。
 
嫌いな部分、苦手な部分は
単なる特徴と捉えればいい。
 
仕事をするのは人です。
“非代替人材”になるためには
人間としての魅力をつける必要があります。
 
社会人として最も大事なスキルは、
「一緒に仕事をして楽しい
 と思ってもらえるかどうか」

ではないでしょうか。

ビジネススキルの前に
人間としての印象を良くすることや
魅力的な人間であることが大切だと思います。
 
「いつも、あの人は楽しそう」
って、めちゃくちゃ魅力的ですよね。

たとえイヤなときも、イヤな顔はしないこと。

いつもニコニコしているだけで
評価が上がっていきます。
 
いかなるときも、
心の平和を乱さない人になりたいものです。

人生は短い
だから友よ、空騒ぎしたり
争ったりする暇なんてないんだ

ジョン・レノン



最後まで読んでいただき
ありがとうございました。

はたらく方たちに少しでも
ヒントや元気をお届けできるよう
投稿していきますので
よろしくお願いいたします。

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