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「有効求人倍率」は気にしない

「有効求人倍率」ってご存知でしょうか?

ニュースなどでよく聞くキーワードですが
きちんと理解している人は案外少ないようです。

昨日、新卒社員の同行で企業に訪問しまして
採用手法の提案を行なってきました。

その際、先方(人事担当者)から
「最近の人材市場、転職市場はどうですか?」
と聞かれたんです。

新卒の彼は「有効求人倍率」に触れながら
頑張って語っていたのですが
説明がたどたどしくて(笑)

今回は、そんな「有効求人倍率」について
求職者目線で深堀りしていきたいと思います。



有効求人倍率とは?


最新(8月29日時点)の有効求人倍率をみると1.29倍となっており
ここ数か月は少しずつ低下しています。

厚生労働省によると
物価高の影響で生活を維持するため
求職活動をする人が増えた影響としています。

有効求人倍率とは
求職者1人に対して何件の求人があるか
を示しています。

「就職のしやすさ」の目安になるとともに
「景気動向指数」としても注目される指標です。

例えば
求職者100人に対して求人が200件あるとき
有効求人倍率は2.0倍となります。

人手が足りず、多くの企業が
積極的に求人募集をしているときは
有効求人倍率は1を上回ることになり
数値が大きいほど「就職しやすい」傾向
にあることを意味します。

反対に
企業があまり求人を募集しないときには
有効求人倍率は1を下回ることになり
数値が小さいほど「就職しにくい」傾向
となります。

また、有効求人倍率は
景気とほぼ一致して動きます。

有効求人倍率が高い(求人数が多い)場合は
景気が良いとされ
低い場合は景気が悪いと考えられます。

景気が上向くと、企業の業績が向上し
需要が増えることで
求人数が増加するということでしょうね。

有効求人倍率と転職のしやすさ


「1倍」以上か未満か
ここが転職動向を見ていくうえで
ひとつのポイントになりますね。

有効求人倍率が1以上のときは
求職者数に対して求人数が多い状況です。

求職者にとって有利な状況ですから
「売り手市場」といわれます。

有効求人倍率は2倍なら、単純に考えると
求職者1人を2つの求人が取り合う状態です。

一方、有効求人倍率が1未満のとき、
働きたい人の数よりも求人数が少ないため、
1つの求人に応募が殺到する可能性もあります。

選考の倍率が上がり
求人を出す企業側が優位となり
「買い手市場」といわれます。

たとえば有効求人倍率は0.5倍なら
1つの求人に2人の応募が見込める
というわけです。

ちなみに、リーマンショック直後(2009年)は
0.47倍でした。

その後、労働需要の高まりや
労働人口の減少を背景に回復を続け
右肩上がりに上昇しています。

(コロナ禍で2021年に0.84倍まで
 落ち込みましたけどね)

有効求人倍率の注意点


ハローワーク以外での求人・求職が含まれない

有効求人倍率は
ハローワークに申し込まれた求人数を
求職者の数で割った値です。

就職雑誌や民間企業の求人サイトなど
ハローワーク以外で募集される転職・新卒者
の求人は反映されていないということです。

例えば、一昨年(2021年)は
ハローワーク経由で職に就いた人の割合は
全体の約17%に過ぎず、それ以外の人は
民間の求人サイトや職業紹介事業者、縁故など
を通じて職に就いています。

つまり、有効求人倍率が
労働市場全体の需給の実態を表している
とは言いにくいでしょう。

②正社員の求人とは限らない

厚労省の発表における「有効求人倍率」は
正規と非正規の求人は区別されおらず
すべての雇用形態の求人が含まれています。

また、パート・アルバイトを除いた有効求人倍率は別に計算されていますが
こちらも派遣、契約社員が含まれているので
厳密に正社員だけの有効求人倍率ではありません。

有効求人倍率あれこれ


・職種別の有効求人倍率(今年6月時点)

厚生労働省が発表した
職種別の有効求人倍率がこちらです。

ここ数年、飲食系や介護職の人手不足
が取りざたされていますが
建設業もかなり深刻ですね。

逆に、一般事務の職業については
有効求人倍率が低い傾向にあります。

・都道府県別の有効求人倍率(今年8/29時点)

厚生労働省が発表しているデータによると
有効求人倍率が一番高いのは
福井県1.90倍

福井県は製造業が盛んで
特に電子部品・デバイス、化学工業
繊維工業が好調のようです。

全国で一番有効求人倍率が低いのは
北海道大阪府1.10倍となっています。
けっこう差が開いていますね。

ちなみに東京都1.18倍で
愛知県1.32倍福岡県1.18倍です。

都市圏は多くの企業が集まっていて
求人数が多い反面
求職者の数も多いからでしょうか。

ちなみに、有効求人倍率の「有効」とは
「ハローワークでの有効期間中」
という意味です。

企業がハローワークで人材募集を開始する際
その求人は2ヶ月間で消えてしまうんです。

この2ヶ月間に当てはまっているものが
「有効求人」です。
「今、まさに募集を行なっている求人」
と言い換えることもできますね。


おわりに


有効求人倍率が高く
売り手市場であるほど
転職先の選択肢が増えたり
企業がより良い条件を提示したりする
可能性もあります。

ただ、あくまで有効求人倍率は
労働市場全体の概要を
大まかに把握するためのものです。

あくまで参考情報として見る程度で
有効求人倍率だけを指標として
転職時期を決めたり
転職先を選んだりすることは
避けた方がいいと思います。

企業の採用方針や業界動向
求職者のスキルや志向性など
様々な要素を考慮することが大切です。

転職は『思い立ったが吉日』ですね。


最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

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