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気持ちの共感の前に「関心」の共有で心開く

今回は、相手の気持ちを共感する前に「関心」の共有からすると信頼関係を作りやすいという話をさせていただきます。


相手のことを理解して信頼関係を作っていくときに「共感」することが大事とよく言われます。
私たちがやっている心理相談ではこの相手への共感というものが基本中の基本にとなっています。

しかし、クライエントによっては、すぐに自分の気持ちを話せる方もいれば、すぐには話せない方もいます。
気持ちを話せない方には、人を信頼しにくかったり、傷つきたくない心理が働いていたりするかもしれません。

そのような場合には、すぐに気持ちを聞いて共感からはじめようとするのではなくて、順を追っていく必要があります。

心理相談に限らずに日常での人間関係にも役に立ちますので、参考にしていただけたらと思います。


気持ちを聞いて共感しようとする前に相手の「関心」を共有することからはじめるほうがハードルが低いです。

気持ちから聞いていこうとすると、急に本題にせまったり、問題部分に焦点が当てられてしまいます。
心を開くのが得意ではない方、気持ちに直面したくない方にはハードルが高くなってしまいます。

相手が関心を持っていることを話してもらえるのなら、それに耳を傾けて一緒になってそれについて語り合うと良いと思います。

例えば、趣味の話かもしれませんし、最近あった出来事についてかもしれません。
ゲームやマンガとか、ニュースや世界情勢に関心がある方もいます。

それらの関心事を共有するように聞きます。

関心事と言っても、その人の価値観や信念にかかわることは、重いテーマなので、もう少しライトな話題が無難だと思います。


話しながら、どれだけこちらを信頼できるか、どれだけ自分のペースを尊重してくれるのか、
安心で安全であることを確認しています。

話の主導権をなるべく相手に持たせて、こちらが自分のことを話しすぎないようにすることがポイントです。


私も心理相談をする中で、自分の気持ちをなかなか開示しにくい方も多くらっしゃいます。
自分の意志でというよりも、周りの誰かに勧められて相談することになったような場合はとくにそうです。

困りごとはあるのだけれど、自分からは話そうとはしない。

非常に読書家で文学がとても好きな方がいました。
文学の話題ならいくらでも話す方でしたので、私は関心を持って文学の話につき合いました。
どんどん話してくださいました。

そのうち家族関係の悩みや将来への不安など、本題となる自分の気持ちの部分を話してくださるようになりました。
今度は、私はその気持ちに共感するように努めました。

結果的には、一歩をふみ出す勇気を持つことができて、自分の状況を変えることにつながっていきました。


この例のようにはじめから相手の気持ちに共感しようとしなくても、関心に焦点を当てて共有していくこと。
それによって安心感・安全感を持ってもらい、徐々に気持ちを話してもらえるようになります。

心理相談に限らずに日常の人間関係でも役に立つと思います。



今回は、相手の気持ちを共感する前に「関心」の共有からすると信頼関係を作りやすいという話をさせていただきました。


最後までお読みいただきありがとうございました。


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小林いさむ|公認心理師

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