見出し画像

ボルダリングがメンタルに良い理由

スポーツがメンタルや身体に良いのは説明するまでもありませんが、スポーツの中でも、抑うつや不安などのメンタルの状態を改善するのに効果があるとされる競技があります。
 
ボルダリングです。
 
今回は、ボルダリングがメンタルに良い理由について説明します。

誰でも手軽にできるスポーツというわけではありませんが、ボルダリングを例にメンタルの状態を良くする仕組みを知ることができるので、参考にしてください。



ボルダリングというのは、岩や人工壁などを登るスポーツです。
2021年開催の東京オリンピックでは、ボルダリングを含む「スポーツ・クライミング」が正式種目となり、注目を集めましたよね。
 
ボルダリングジムでは、3~5メートルの高さの壁をホールドと呼ばれる出っ張りを手でつかんだり、足を置いたりして、バランスを取りながら登っていきます。
 
ボルダリングとメンタルに関して、2015年にアリゾナ大学が行なった研究があります。
 
メンタル不調に悩む100人の男女を集め、以下のグループに分けて、8週間の実験を行いました。
 
①    週3時間のボルダリングをしたグループ
②    何もしなかったグループ
 
結果は、何もしなかったグループに比べてボルダリングをしたグループは、4.5倍も症状が改善したそうです。
 
 
ボルダリングがメンタルに良い理由は、つねに自分の体の動きに意識を向けなければいけないからです。
 
人生の悩みについて考えている余裕もなくなります。
自分の手足をどのホールドに運ぶかに意識が向かい、余計なことが頭に浮かばなくなります。
 
これは、マインドフルネス瞑想に似ていると思いませんか?
 
マインドフルネス瞑想は、「今、ここ」に意識を集中させることで、雑念から距離を置きます。
ボルダリングでも、自分の体の動きに意識を集中させることで同じ効果があります。
 
「呼吸瞑想」や「歩行瞑想」は、意識的に呼吸に集中したり、地面への足の離着に集中したりするわけですが、ボルダリングは、意識せずとも自分の体の動きに集中せざるを得ない状況に置かれるのがポイントです。
 
 
とくに抑うつや不安に効果的なのは、「反芻(はんすう)思考」を止める働きがボルダリングにあるからです。
 
反芻というのは、過去の失敗や自分の欠点などのネガティブな内容を頭の中で何度も繰り返し考える状態です。
うつ病の人は、この反芻をよくしていると言われます。
 
先ほど説明したように、ボルダリングでは「今、ここ」に意識を集中せざるを得ない状況に置かれるので、反芻を止める作用があるのです。
 
 
さらにボルダリングで「今、ここ」に集中するコツとして、私は五感を使うことを推奨します。
 
「今、ここ」に集中できていない状態(過去や未来を思い悩む)は、自分の内側に意識が向いている場合が多いです。
その状態から「今、ここ」に意識を向けるには、五感(視覚、聴覚、触覚、嗅覚、味覚)を使うのがポイントです。
 
ボルダリングでは、視覚(カラフルで多様な形のホールド)、聴覚(掛け声)、触覚(ホールドの感触)を意識して使うと、よりマインドフルネス状態になりやすいと思います。
 

 
今回は、ボルダリングがメンタルに良い理由について、つねに自分の体の動きに意識を向けなければいけない状態という、マインドフルネス瞑想との関係から説明しました。
 
 
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
 
 
【参考文献】
『ストレス解消法 イライラが一瞬で消える100の科学的メソッド』(鈴木祐 鉄人社)


【お問い合わせ・カウンセリング】
 
■小林へのお問い合わせは⁠こちら
小林へのお問い合わせやお仕事依頼など。
 
■カウンセリングのお申し込みはこちら
カウンセリングについてのお問い合わせやお申し込み。
 
小林いさむ|公認心理師

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?