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自尊心(自己肯定感)とは


読んでいた本にとてもカッコいい説明を見つけたので、自分用にメモ。

アメリカの心理学者ブレネー・ブラウンは、18歳から87歳までの様々な立場に置かれた世界中の人たちの体験談を20年以上にわたって聞き取り、人間の幸せのパターンを調べてきた。

彼女の膨大なデータが示していたのは、どれだけ弱点があっても、境遇に恵まれなくても、そんなことにはお構いなく、生き生きと充実した人生を送っている人達に唯一の共通点は、自分は、ありのままで愛される価値があると信じている、ということだった。

これが自尊心である。
自尊心とは、これまでの成功も失敗も、できることもできないことも、優越感も劣等感も、喜びも恐れも、カッコいい自分もカッコ悪い自分も、自分の好きなところも、そして嫌いなところさえ、すべてを抱きしめる力である。
自分を大切にする人は、他人を大切にできる。自分を尊敬できる人は、他人を尊敬できる。

自分を愛するから、仕事を大切にし、人生に意味を見つけることができ、何気ない日常に喜びを感じ、自分を生きる勇気が湧き、友人にやさしくでき、社会が大切に感じられる。

自分を愛する人だけが、人を愛することができる。人とのつながりを感じているから、自分の意にそぐわないことに対して率直にNOと言える。それで人間関係が変わっても仕方がないと覚悟している。彼らにはその勇気がある。
自分を愛する人は、自分を必要以上に大きく見せる必要を感じないから、威張らないし、自慢しない。彼らは、自分の弱さや欠点を認め、失敗を隠さず、間違えれば素直に頭を下げ、打たれ強い。

「人は誰でも間違える。誤った行動は正せばいい」と考えるから、失敗を人格の欠如と受け止めない。人格が傷つかないから失敗を恐れる理由がない。自分を恥じないから、オープンで隠し事をする必要がない。

自分を愛する人は、自分に大切なことを知っている人だ。「私はこれでいい」という確信があるから、NOと言える。自分らしさを大切に生きているから、他人の目を気にせず、「嫌われる勇気」を持ち、カッコ悪い自分に胸を張る、真の勇者だ。

以上「沖縄から貧困がなくならない本当の理由」 樋口耕太郎(2020)光文社新書 からの抜粋である。

自尊心についてこれほどすっきりとわかりやすく説明された文章に、私は初めて出会った。ちなみに「自尊心」は、一般的には「自己肯定感」という言葉で知られている。

「自尊心」は、言うまでもなく乳幼児期から育ち始める。
先日noteでつぶやいた

の、「性格形成」にも大きく影響する。

自尊心は、大人になってから急速に高まるようなものではない。
むしろ、乳幼児期に育ってしまった「自尊心の低さ」は大人になってからも影響を受け続けるし、燻り続ける。

”Well-Being is based on Well-Developing.”(よい人生は、よい発達の上に成り立つ。乳幼児期のよい発達が、その後の幸せな人生をつくる)を信じて疑わずこの仕事に打ち込んでいる一心理士としては、乳幼児期から「自尊心が育つ関わり」を、周囲の大人が自然にしてあげられる、そんな育ちの環境を、全ての家庭に、幼稚園に、保育園に整えるのが夢だ。

上の文には「嫌われる勇気」という言葉が出てきているが、著者はアドラー心理学を学ばれたのだろうか。本書の中には他にも「共同体感覚」という言葉が用いられていた。著者が10年間赤字続きだったホテルの経営を立て直された際の従業員への対応は、カウンセリングマインドに溢れるだけでなく、アドラー心理学そのものの実践のようにも見えた。

タイトルの本質とは少し外れた見方ではあるが、色々な意味で大変興味深い本である。


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