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キンダーカウンセラーが子どもの「感覚過敏」に気づくとき~その後の対応まで~

キンダーカウンセラーや巡回相談をしていて、乳幼児さんの感覚過敏に気づくとき。

乳児さんだと、理由がないのに(実際には、大人がわかっていないだけなのですが)泣く、体をよじるなどあらゆる表現を駆使して不快を表明していたりしている時。
幼児さんだと、機嫌が悪くなったり、わがまま(と周囲には見えるよう)な態度をとったりしている時。
に、何らかの感覚過敏があるのでは、と疑います。

具体的な行動で表してくれるとわかりやすいのですが、例えば

〇 聴覚過敏がある場合
両手で耳をふさぐ。保育室を飛び出す。突然「うるさい!」と怒鳴る(周りの子は平気なのに)。

〇 視覚過敏がある場合
まぶしくない場所でもまぶしそうにする、目をつぶる。目が「痛い」と言う。

〇 嗅覚過敏がある場合
「くさい」という言葉をしょっちゅう使う。「くさい(と本人が思っている)人」や「物(部屋の臭いだったりもします)」を避ける。特定のものが食べられない。

〇 触覚過敏がある場合
みんなが浴びているシャワーを極端に嫌がる、恐れる(プールには入れる)。頭を撫ぜると怒る、嫌がる。お着換えの時にお気に入りの服がないと怒る、着替えない。制作の糊を嫌がる。泥遊びをしない。はだしになるのを嫌がる。

など、園で見せてくれる姿から推察することになります。

さて、生まれつき感覚の特徴を持っている人というのは、元の(大多数の人の)見え方、聞こえ方(味覚、嗅覚、触感)を知っているわけではありませんので、その世界がすべてです。つまり「周りの子にとっては平気な環境」に、「いる」ことだけでかなりの「我慢」や「努力」をしなければいけません。想像するだけで、大変です。本人はさぞかし疲れることでしょう。

これが「我慢」や「努力」で乗り切れる程度ならまだ良いのですが、それができずに叱られるようなことが重なると、「みんなが普通にできることが、がんばってもできないダメな自分」という自尊感情(自己肯定感)の低下に結びついてしまうことがあります。

クラスに「聴覚過敏」の子がいることに気づいたら… の記事では、私がキンダーカウンセラーや巡回相談員として活動する中で、聴覚過敏の子を見つけたら「あなたには、みんなが平気な音が大きく聞こえるんだね」ということを、必ず伝えるようにしていると書きました。

これは、「みんなも同じように、我慢しているわけじゃないんだよ」というメッセージを伝えるためです。もちろん、

「ほかの人にはない、あなたの能力の一つなんだよ」
「みんながすごくて、あなたがダメなわけじゃなんじゃないんだからね」

というプラスのニュアンスで。

とはいえ、本人にとって辛いことには違いありません。

「不快」をまだ言葉で表現できない発達段階の子には大人の理解と配慮が欠かせません。決して「慣れる」ものではないことを理解し、速やかに刺激から守ってあげることが大切です。

しかし子どもは発達していきます。ずっと大人が配慮する対応を続けていると、自分から発信できない子になりかねません。(発信しなくても周りが何とかしてくれるので)。

つまり、自分から不快さを発信できる発達段階になったら、具体的な「SOSの出しかた」や「言いかた」を教えてあげる関わりが必要になります。

「担任が変わったり、小学校に進学したとき、その子が困らない対処法を教えてあげる」。これは、乳幼児期の、発達のスピードが速い時期にかかわる私達、支援者は、常に心がけていたいことです。

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