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クラスに「聴覚過敏」の子がいることに気づいたら…

この記事は、「感覚過敏」に気づくことの難しさ ~聴覚過敏・子どもの場合~ の続編です。

さて、みなさんのクラスに聴覚過敏の子がいるとわかったら、どうすればいいでしょう?

ポイントは、三つあります。
一つは、周囲の大人が正しく理解すること。二つ目は、刺激から守ってあげること。三つ目は、その子が自分で対処できるようにサポートしてゆくことです。

1.「周囲の大人が正しく理解する」
聴覚過敏に限りませんが、感覚過敏は「わがまま」であったり「我慢がたりない」といった誤った認識をされがちです。一番よくないのは「そのうち慣れるだろうから放っておく」というもの。

慣れるものではありません…。

ただし、聴覚過敏はストレスが多い環境では強くなり、ストレスが少ない環境では弱まるという研究結果が出ています。聴覚過敏が強く出ているときは「今、ストレスが多くなっているのかも?」というバロメーターにしてあげることができます。

2.「刺激から守ってあげる」
「不快」をまだ言葉で表現できない発達段階の子の場合は、速やかに刺激から守ってあげることが大切です。その音が聞こえない場所に移動させるなどの物理的な対応になります。

あと、刺激の側を変化させられないか、を考えることもできます。
例えば合唱の歌声がダメな子であれば、クラスのみんなに「元気な声」で歌うことから「きれいな声」で歌うように変えられないか、担任の先生に働きかけてみます。

幼稚園や保育園にありがちな「元気な声で歌いましょう!」は、ほとんどの幼児さんにとって声を張り上げることです。みんなの声を張り上げた「歌いかた」は、聴覚過敏がある子どもには暴力的な騒音でしかありません。
「自分も一緒に楽しく歌う」とか、「みんなと歌うと気持ちいい」なんていう学びには結びつきにくいでしょう。でも「きれいな声」だとその場にいられる子は少なくありません。

それから、一斉指示で大事なことを話すとき、クラスに「しーん」という静かな状態ができてから話す習慣をつくってもらえないかも、提案することがあります。
多くの場合は、みんなで「しーん」という状態をつくる練習からしてもらうことになるので先生は大変なのですが…。

個別の指示をする時も、できるだけ、他の音が少ない場所で話すよう心掛けていただけるようお願いしたりもします。

3.「その子が自分で対処できるようにサポートしてゆく」
私は、その子が言葉でのコミュニケーションがとれる発達段階の子であれば
「今、この音うるさいよね?」「みんなの声、大きすぎるって思ってるよね?」と声をかけることにしています。たいていの場合、頷いてくれるので、「A君には、みんなが平気な音が大きく聞こえるんだね。」「丈夫だよ」「うるさかったら、耳をふさいでもいいからね。それでもうるさかったら、お部屋の外に出てもいいからね」「(担任の)先生には、なおこ先生(私のことです)から言っておくからね」などを、状況に応じて話します。

そして、担任の先生にはA君からSOSがあったら対応してあげてほしいと伝えます。

最初の「A君には、みんなが平気な音が大きく聞こえるんだね」は、必ず伝えるようにしています。その理由は・・・。答えは、次の記事「キンダーカウンセラーが子どもの『感覚過敏』に気づくとき~その後の対応まで~」

に書いていますので、よろしければお読みください。


◇ こちらは 大人版 ◇
私と話をしている時に、ご自身の「聴覚情報処理障害」に気づかれた方の貴重な体験談を、ご本人の許可をいただいて記事にしました。


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