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「保育コンサルテーション」とは~幼保の先生と心理職のコラボレーション~

みなさんは「保育コンサルテーション」という言葉をご存じですか?
保育や幼児教育に携わる先生でも「聞いたことがない」という方のほうが多いかもしれません。

「保育コンサルテーション」は、日頃の子ども達の姿をよく知っておられる幼稚園や保育園などの就学前施設の先生方、つまり保育や幼児教育のプロと、私達、心理のプロが協働(コラボレーション)しながら子どもの育ちを多面的に捉え、支えていくための、相談方法です。
幼稚園や保育園などの就学前施設の先生が、「気になる子」「どう接していいか分からない子」について、カウンセラーに相談することができます。

相談を受けるカウンセラーは、子どもの集団生活の様子をたくさん見てきた心理士です。「気になる子」「どう接していいか分からない子」を心理や発達の側面から見立て、先生方が「気になっている」言動の原因を探り、理解の仕方を伝えたり、関わり方について助言したり、先生方と一緒に考えていきます。
キンダーカウンセリング(*)や保育園の巡回相談活動の中で、カウンセラー(巡回相談員)が実際に子どもの姿を観察した上で、実施されていることが多い相談形態です。

違った角度からその子を理解するための「保育コンサルテーション」
「幼稚園版スクールカウンセラー 導入・活用・実践ガイド」日本法令 p66 図表3-1 より 

時々、「外部の人に、園の方針や、保育の仕方について言われるのはちょっと…」と誤解されることがあるのですが、「保育コンサルテーション」の目的は、心理の視点を日々の保育に生かしていただくことにあります。カウンセラーが園の教育方針や、先生の保育の方法等について、指導したり介入するものではありません**ごくたまにですが例外はあります)

また「アドバイスを受けたら、自分達の業務が増えるのでは」「凸凹を理解するようにと言われ、人手を増やさないとできない配慮を求められるのでは」と思われることもあります。これまで、実際に民間の発達支援事業所等から「現場の事情を無視した」そのような助言をされたことがある園に、多い誤解です。

心理士が行う「保育コンサルテーション」は、先生方と心理士、お互いの専門性を尊重しながら行われます。カウンセラーが一方的に理解や配慮を求めるものではありません。
私達、心理士の保育コンサルテーションには、子どもにとってベストな方法を頭に思い浮かべながらも、先生の経験年数やスキル、園や学年の方針、保護者との関係・・・なども考慮しながら、先生方への負担が少なく、園で実行することができる方法を提案することが求められています。
先生にどれだけ熱意があろうとも「今、ここでできること」は、先生によっても、状況によっても変わってくるからです。しっかりとお話しを伺いながら、その時の子ども、先生、園に合ったオーダーメイドの支援を提案ができるようにと、心がけています。

〇 少しだけ宣伝 〇
本来は、キンダーカウンセリングの活動の中で、カウンセラーが実際に子どもの姿を観察した上で実施することが多い「保育コンサルテーション」ですが、当ルームでは、新型コロナウイルス感染症の拡大を機に、zoomで全国からカウンセラーに相談していただけるプランを設けています。先生から子どもの様子を聞いたり、予め撮ってもらったビデオを見せてもらったりしながら保育コンサルテーションを持つことができます。

先生からの個人的な申し込みも歓迎ですが(個人コンサルテーション)、学年担任全員参加で一人の「気になる子」への理解や対応の仕方を共有したり、園主催のミニ園内研修として手の空いている先生複数名で参加していただくプラン(グループコンサルテーション)もお勧めです。
 ご質問やご不明な点がありましたら、気軽にホームページの問い合わせフォームからお尋ねください。
〇 宣伝終わり 〇

*キンダーカウンセリング
関西の一部の府県の私立幼稚園に導入されている、スクールカウンセラーの幼稚園版の活動をするキンダーカウンセラーが行う相談活動のこと。
乳幼児期を専門とする心理士が、幼稚園などの就学前施設からの依頼で園を訪問し、先生が「気になる子」の活動様子を観察して、助言したり一緒に考えたりする活動です。園によっては、保護者がカウンセラーに相談できる「保護者相談」もできます。

**ごくたまにある例外
子どもの心身の発達段階に、ふさわしくない取り組みを見かけたときには、声をかけさせていただくことがあります。例えば、子どもの年齢には早すぎる運動遊びの設定などです。「まだ関節が柔らかく定まっていない年齢なので、身体の一部に過剰な負担がかかる取り組みは、発達的にはよくないと思います」など、理由とともにお伝えするようにしています。


〇 キンダーカウンセリングや保育コンサルテーションについて詳しく知りたい方へ 〇


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