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月誕生のカラハリ衝突仮説

月がいつ、どのようにして、地球の衛星になったのかについて、これまでのところ満足な仮説はひとつもなかった。

まず、月についての基本的な事実を整理してみよう。

  1. 月の直径は1737㎞で、地球の直径(6378km)の4分の1より大きい。月の質量は、地球の80分の1で、衛星としては例外的に大きい。

  2. 月と地球の距離は、現在のところ38万kmで、一年に3~4cmずつ離れていっている. 

  3. 地球と月は同じ方向で、同じ軌道面を周回している。

  4. 月と地球はお互いに重力で引きあっていて、月と地球の共通重心の回りを回っている。

  5.  月の質量が、地球に大きな影響をもたらしていて、地球の自転がおそくなったほか、海流や潮汐が生まれた。

  6. 地軸は、月のおかげで23.4度傾いて安定している。

月と地球は、同じ軌道面を、同じ方向に回っている。



カラハリ衝突仮説

これらの条件と整合性をもつ仮説が、「カラハリ衝突仮説」である。

今から1億4500万年前に、モロケンに小惑星が衝突した時、ゴンドワナ大陸が割れて、海水が地殻の割れ目から流れ込んだ。地球上の海水はゴウゴウと音をたて、熱いマントルに触れると、一気に1700倍に膨張してマグマ爆発を引き起こした。

「火山の百科事典」によれば,「爆発的噴火を生みだすにあたりマグマの粘性を決定づける効果をもつ海水の役割が重要であると思われる。強力な作用物質は水,とくに海の水であり,火山の元の通路から供給される。

地下の火に到達するやいなや水は突如蒸気となり,弾力性のあるガスが急速に膨張して火山爆発を引き起こす」とある。このおかげで,粘性の高い溶岩流出によるラバ形成と粘性の弱い大規模なマグマ爆発の違いを理論化できた。

フレデフォート(20億年前),ハイベリー(10億年前),クガゴディ(1億8000万年前)の隕石衝突は,地殻を破り地下のマントルに到達したが,海水の供給が(十分で)なかったために,ラバの湧出でとどまった。

東アフリカの大地溝帯を取り巻く山地も,アビシニア高原もラバのようだ。ところがモロケン隕石衝突(1億4500万年前)は大陸を分裂させたから,海水がマントルに触れて,超大規模なマグマ爆発を引き起こしたのではないか。

月と地球が共通重心をもち、同じ軌道上で同じ方向に周回しているというのは、月が地球から飛び出したからだ。天体衝突によって割れた地殻から海水がマントルに流れ込んでおきたマグマ爆発は、月を大気圏外に送り出すのに十分な力をもつ。

月は地球から生まれたのだ。

ヒマラヤもアルプスも、ゴンドワナランドが衝突した衝撃で生まれたと思わせる褶曲構造

月を生みだすほどの大量のマグマ爆発が起きたとすれば,大量で急激な海面変化を伴うはずである。「白亜紀の地球上の海面は今日よりも100~170m 高かった」ことの説明はまったくできていない。「現在あるすべての氷河が溶けたとしても海面は73m しか上昇しない。

白亜紀の海水温度は今より10~12°C 高かったので,熱膨張分は10~13m にしかならない。」「さらに不思議なのは,この大量(数十~100m)で急激(百万年以内)な海面変化がおきた三畳紀から中期始新世(2億5000万年~5000万年前)は氷河のない温暖期であったが,大量で急激な海面変化を生みだすメカニズムとしては氷量変化しか知られていない。」

カラハリ隕石衝突仮説は,海水がモロケン隕石衝突跡に流入しつづけて,月を生むに足るマグマ爆発が続いたとする。そのために膨大な量の海水が蒸発して,地球規模の海面降下が起きたのではないだろうか。世界の大陸のほとんどが堆積岩の平野であるのは,その時まで海中にあった泥や砂の堆積地層が,海面降下によって陸上に姿を現した可能性はないか。

この仮説を2015年3月にアメリカのヒューストンで開かれた「月と惑星の科学会議」に提出したところ、「月の年代が2億年以下というのは,標本の証拠と一致しない」という理由で没にされた。

あとで同僚から,そもそもこの会議はアポロ計画を記念してNASA が始めた政策的な会議だと教わった。事前に知っていたら,演題や予稿にはその旨を􌬠慮しただろうが,むしろアポロの石標本と年代が違うというだけで拒否されたことは貴重な実績ともいえる。

アポロは月に行かなかったのではないか。

アポロ8号と11号は日本映画の特撮技術でねつ造されたという小説もあるほか,NASA の研修生が月の石を盗んで懲役8年の実刑という政治的量刑を加えられた話もある。

ヒューストンで開催された46thLPSC の発表と質疑応答を聴講したところ,アポロの石の年代同定は,酸素17と酸素18の同位体の比率だけをもとに決定していた。あまりに単純すぎないか。こんな雑な測定で、しかもそれを理由に、カラハリ衝突仮説を否定することはあまりにレベルが低いといえる。

また月の石の成分は,石のあるひとつの二次元断面写真を画像解析ソフトの分類機能で分類していた。このやり方で成分の重量比が測定できるわけがない。

アポロが月にいかなかったことを隠すための、「月と惑星の科学会議」に思えた。

トップ画像は、アメリカ地質調査所が公開するGTOPO30の電子標高データを、Google Earthで表示したもの。メガカラハリに400万平方KMの高地があることがわかる。これが1億4500万年前のマグマ爆発の跡だと思われる。

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